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現実は乙女ゲーよりも奇なり  作者: 春賀 天(はるか てん)
【第3部】
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【8】因縁の再会⑱ (雨降っても地は固まりません!)

【18ー①】



「あ、ここにいた!(タマ)!!」



今度は横の通路から暁さんが駆け寄って来る。



う〜ん。なんだか今日はやたら人が探しに来るなぁ⋯⋯



「暁さん?」


「携帯に電話したのに出ないから、どうしたのかと思った」



やや呆れ顔で心配する暁さんに、思わず苦笑いをする。



ははーー携帯⋯⋯ね。



「⋯⋯暁さん、これ見て」



そう言って私はバッグの中からゴソゴソと取り出して見せた『ソレ』はーー



「はぁ? それってーー」


「じゃっじゃ〜ん! どこでもなんちゃら〜ならぬ、テレビのリモコンだぁっ!!」



そう言って私は得意げにテレビのリモコンを暁さんの目の前に展開した。それを見て暁さんの目がまん丸になるーーまあ、当たり前か。



「なんでテレビのリモコンってーー」


「ふふん、これじゃ『もしもし』が出来んとですよ。いや〜私もビックリっす。まさか、スマホがリモコンに変わってたなんて、もぉ〜笑わらっちゃうね」



⋯⋯本当に笑い場にしかならない。それなら面白可笑しく話した方が羞恥心も少しは薄れるだろうと、おちゃらけて見せると暁さんが満面のイケメン笑顔で笑い出した。



「あははは、なにが『じゃっじゃーん』だよ。要はスマホだと思ってバッグに入れたのがリモコンだったって話だろ? でも普通ならスマホとリモコンなんて間違えようもないぞ? なのにそこは、さすがは珠だとしか言いようがないな。ほんっと、お前といると退屈しねーわ」



そう言って笑いながら暁さんが私の頭をげんこつで優しくコツンと小突いた。


「えへへ、ウケるでしょ。自分でも面白いとーー」



と、言い掛けて背後から、ひょいと手に持っていたリモコンを取り上げられた。そして代わりに「ほらよ」と私のスマホを持たせられる。振り返ると、しかめっ面の弟の康介がテレビのリモコンを掴んでいた。



「康介! 私のスマホ持ってきてくれたんだ。ありがとぉ〜!もう、どうしようかと思ってた〜!」



すると康介は持っているリモコンで自分の肩をコツコツと叩きながら呆れ混じりの息をつく。



「はぁ⋯⋯どうしようって、どうも出来んだろ。それよかテレビのリモコン持っていかれた家の方が『どうしよう』だ」



それを聞いて、さっきまでのヘラヘラ顔が一気に真顔になる。



「あ〜っと、お母さん、怒ってなかった? いや、怒ってるよね? だって今日、お母さんの好きなドラマの入る日だし。うぅ〜帰ったら、また怒られる〜でも、わざとじゃないのにぃぃ」 



思わず頭を抱えると、康介が小さく首を横に振る。



「あ〜怒ってるって言うより呆れてたな。まあ、姉貴のドジは今に始まった事じゃねーし、テレビならブルーレイのデッキリモコン使えるから、そこは大丈夫なんじゃねぇの? それよか姉貴、外でもこんなお馬鹿な調子なのかと思うと、そっちの方が逆に恥ずいわ」


「なっ、こ、これはその、恥ずかしいからこそのウケ狙いというか、通常はもっと普通で真面目にしてるし」


「どうだかな。人の性格なんて、そうそう変わんねーよ。それに、いくら猫被ったところで姉貴は長続きしねーから、すぐ本性バレんだろう」


「ううぅぅ〜」



康介の言うことに自覚があるだけに何も言えず、小さく唸るしかない。すると隣の暁さんがポンと肩を叩く。



「珠、もしかして、こちらはご家族か?」



暁さんに声を掛けられて、ハッと我に返る。そういえば弟達と暁さんは初対面だった。



「あ、うん。えーっと、改めてご紹介します。こっちが私の弟で康介といいます。そして隣が、弟の親友で私の幼馴染みでもある有島くんです。二人は私と同じ緑峰の一年生なの。ーーんでもって、康介、奏。こちらが私のバイト先で大変お世話になっている大先輩の周防さん。ちなみに、ここのオーナーの甥っ子さんで大学生なんだよ」



すると先に暁さんが康介達にニッコリと微笑んで挨拶する。



「初めまして、周防 暁といいます。お姉さんとは同じ職場で、いつもお世話になっています。よろしくお願いします」


「こちらこそ、いつも姉が大変お世話になっているようで、ご迷惑をかけてすいません。橘 康介です。よろしくお願いします」



なんだか社会人の名刺交換みたいに、お互いが遠慮がちに挨拶をし頭を下げている。実際は名刺交換してはいないけれども。



「うそ! 康介が礼儀正しい言葉遣いしてる! まともな言葉遣いも出来たのか。⋯⋯なんか別人みたい、本当に康介?」



私が驚いていると、弟に思いっきり睨まれた。



「あのな!俺をなんだと思ってんだ!?初対面の挨拶くらい誰でも普通にすんだろ!しかも礼儀正しいとかって、相手が大人なのに当たり前だろーが」



その言葉を聞いて胸を撫で下ろす。



「あ、やっぱ、康介だ。いや〜敬語を使う康介なんて珍しくて、普段のあんたを見ているだけに、慣れないっていうか。そっか、あんたも大人になったんだねぇ〜うんうん」



私の弟の成長を感無量に腕を組みつつ頷いていると、康介がワナワナと拳を握り締めながら、身体を震わせている。



「ぐうぅ、コイツ、今すぐシバきてぇーー」


「康介、落ち着け。」


「悪気がないのが一番たち悪りぃんだって知ってっか!」


「まあ、まあ、相手は珠里だし」


「くっつ⋯⋯」



奏に宥められて、がくっと項垂れる康介。



う〜ん、そんなに怒らせるような事言ったかなぁ?



それを見ていた暁さんが声を上げて笑う。



「はははっ、珠の弟も苦労してんな。しかし年下なのに珠よりずっとしっかりしてそうだし、これだと、どっちが年上だがわかんねーな」


「うっ、暁さんまでそういう事言う?⋯⋯まあ、よく言われてはいるけど、そこまで?」



暁さんまで初対面なのに康介の味方をするとは。



「ふん、事実だろ?おめーがガキすぎんだよ。二次元よか少しは『現実』見ろってんだ」


「う、うっさいわね、おおきなお世話よ」



ふんっ、と康介からそっぽを向けると、その隣の奏と目が合った。どうにも奏の表情に元気がないような気がしたが、目が合うとニコッと、いつもの優しい極上の王子様スマイルが返ってくる。


ああ〜奏の天使な笑顔に癒されるぅぅ!!っていうか、眩しすぎて溶けるっつ!!




【8ー続】


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