第1章 ただいま部活設立中 2話
いつもの学校だよね?そう思えるほど授業が楽しく、なのに速く終わって欲しい気持ちに駆られていると、時をかけるように授業が終わった。いつもなら一目散に帰るところだが、ぼくは生徒会室へ向かった。到着するとすでにたけしがいた。
『というわけで、認めてくれよ。』
『だから無理だと言っているだろう。しつこいな君は。』
生徒会の会計長、算加 美鈴が答える。
『なんでだよ。』
とたけしが言うと
『当然でしょ。わけのわからない部活を認めるわけにはいきません!第一、部員があなたと秋高君だけでしょ。校則では、4人以上なの!』
そんなやりとりをただ眺めていると、会長 楽田 洋一がやって来た。いつものダラけ口調で、
『なーにしてるのよ、美鈴ちゃん?』
『会長。彼らが訳のわからないことを。』
『わけわかんない?なーに。楽しそうじゃん。ああ、お前ら自由にやりな。』
『なな、何を言っているのですか会長!第一校則が…』
『えー。何だって?校則?そんなの俺も知らねーよ。ただな、この学校の校風は
[自由であれ。楽しめ。人生は1回だ。]
だろうが。校則なんかよりこっちのほーが大切だろが。』
『しかし…』
『わかった、わかった。じゃあ今度の学年交流イベント[奏楽会]の企画をやらせる。それが成功したら認めろ。失敗したら潰してもかまわん。はい、資料。』
楽田は、資料をたけしに渡すと
『じゃー、お前らがんばれよー。』
とだけ言ってめんどくさそうに生徒会室に入っていった。
奏楽会とは、生徒間の音楽会であり自由祭(文化祭)、論述会、研究会で構成される三大文化系イベントの一つである。
『わかりましたね。絶対守ってくださいよ。会長、待ってください。』
算加は、会長のあとを追う。ぼくらはただポカーンとその場に立ち尽くした。蝉の声がただ頭に響いた。