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序章
『ああ、暇だ。なんかすることないかなあ』
ぼくは、何もない日常にうんざりしていた。
『勉強せい!』
周りは、口を酸っぱくして言う。毎日、毎日人間は同じことを繰り返す。食って寝て遊んで勉強して。まるで、ロボットのように思う。
『もう、やった。』
とぼくは嘘をつく。そして椅子に座って本を読む。本はいい。自分の知らない世界に自分を飛ばしてくれる。一種の転送装置である。ぼくはこうして【日常】という鎖から解放される。
『ピロロン。』
スマホがぼくを呼ぶ。
『どうせ、退屈してんだろ。今から家に来い』
たけしからだった。