63話 魔王「山の中で巨大な焚火?」
せっかく女勇者が心を開いて、角切った魔族子供に謝ろうとする物の、肝心の魔族子供♀がいなくなっていた。
きっと女勇者を探しに行ったのだろうと、慌てて魔族子供を捜しに行く魔王たちだったが…。
登場キャラ
魔王
前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。
前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。
年齢も人間換算で15歳。
そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。
後妹がいる。
女勇者
口も性格も悪い外道勇者。
気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。
また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。
見た目は胸は小さく金髪ツインテール。
神官妹
聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。
また性癖が年上思考で、大臣を愛している。
元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。
神官姉
神官妹の姉。
喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。
そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。
性癖は年下思考で子供が好き。
その事から見た目が子供な魔王が好き。
後ちょっとMっ気もあるかも知れない。
魔法使い
エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。
性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。
女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。
・魔族の子供たち
魔族子供♀
魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子
魔族子供1
ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。
魔族子供2・3
魔族子供1の子分のような存在
魔族っ子幼
魔族の幼女。
戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。
何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。
呪族の幼女
魔族とは違い、呪いの力を使う一族の生き残りで元その女王。
前の戦いで覚醒魔王に力を根こそぎ奪われ封印されてしまい、幼女の姿になってしまう。
幼女になった当初は喋るのに慣れず舌足らずだったが、だんだん慣れてきている。
わらわなど、昔の日本のお姫様のいような喋り方をし、その喋り方通り高飛車な性格をしており、さらに呪いの一族らしく恨みがましく陰湿な性格もしている。
また性癖が同性愛者な事から若い女が好きで、見てくれが美しい女勇者が好き。
参謀
前魔王の片腕だった魔族。
魔王を復活させて今の状態を作ってしまった張本人。
行動では魔王につき従っているフリをしているが、内心では魔王を利用して魔界の再建を狙っている。
そのように表の態度とは裏腹にいつも何か隠している感じの油断のならない性格をしている。
商人
姫の専属アドバイザーとして仕えている商人。
姫に頼まれ魔王をおとしめる為にやってきた。
口が上手く、人の心をつかむのが上手いが、その反面いつも何か隠しているようにも見える胡散臭い人物。
姫
王国の姫。
常に上から目線で物を言う高飛車で傲慢な性格しており、利権など金になる物や自分が面白いと感じた物に目が無い。
今回も魔界の利権を狙ってやってきた。
メイド
大臣たちが魔界視察に来た時についてきたメイド。
いつの間にか魔王城に住み込み生活をしている。
メイドらしく引っ込み思案な気弱な性格。
また女勇者に拾われてメイドになったらしい。
その過去には何か色々ある様子。
戦魔将軍
元旧魔王軍の七魔将軍の一人。
戦魔名前のごとく力で全ての物事を解決しようとする戦士系タイプの魔族。
ミノタウロスがさらにマッチョになったような容姿をしており、正々堂々をモットーとする豪快で武人のような性格をしている。
ただ認めた主にないがしろにされるのは苦手で、よく魔王の言葉に素でショックを受けていたりする
また語尾にござるを付ける。
戦魔副長
戦魔将軍の右腕的存在で、柔らかい考えに冷静に場を見れる事から、頭の悪い戦魔将軍の代わりに色々考えてくれたりする。
性格も平和主義者と言うほどでもないが、むやみに喧嘩をして敵を作る事は良しとはしない性格。
妖魔将軍
魔王軍七魔将軍の一人で、戦魔将軍の弟。
家族が泣き叫ぶ顔見ながらその家族を食い殺す、魔族でも嫌悪するヘルムシュヴァイセンと言う料理を好んだり、そんな残虐な事を好む救いようない外道魔族。
戦中に女勇者によって拷問されて殺されたと言うが…?
女勇者「馬鹿じゃないの! 馬鹿じゃないの! 馬鹿じゃないーっ!?」
魔王「すみません! すみません! すみません!」
女勇者「魔族子供♀がいなくなっていた事に気づかないなんて…」
魔王「すみません…」
女勇者「それに…全く…ぜ、せっかくこのアタシが勇気を出して謝ろうとしたのに…」
魔王「ゆ、勇者だけに…勇気を出さないと…ですものね…?」
女勇者「…イラ」ヒュッ!
魔王「あー! 僕の髪っっ!!」
女勇者「くだらない事言ってると坊主にするよ?」
魔王「ごめんなさい…」
魔王(最近髪の毛、よく切られるな…)シュン。
女勇者(こいつは直接殴っても全然効かないからな)
女勇者(女勇者の攻撃! ミスダメージを与えられない! って感じで)
女勇者(呪族の幼女が見つけた方法のパクりだけど、この精神的な攻撃は結構いいな…)
魔王「それにしても魔族子供♀さんは何処に行ったのでしょう?」
魔法使い「考えられるとしたら、私たちがこのグズをどうやって会話の場に立たせるか話し合って行った時の会話を聞いていたのだろうな」
魔法使い「こんな状態になったのは自分の責任だと感じてしまい、グズを探しに行ったのだろう…」
魔法使い「あの子はすぐ逃げ出すグズと違って責任感の強い優しくて良い子だからな…」
魔法使い「このグズとは違ってなこのクズとは!」
女勇者「グズグズ言うなよ…」
魔王「しかし本当にどこ行ったのか…」
神官妹「分かりましたわ」
一同「え?」
魔法使い「何? どうやったのだ? まだ私もトレースしてる最中だったのだが…こうも町に人が溢れていると…中々難しいと思うのだが」
神官妹「それは私が神聖系の魔法が使えるからですわ」
神官妹「魔族特有の魔力は、神聖系と反発しやすいので、その反応から探しだせば、魔法使いの貴女より発見しやすいのよね」
神官妹「女勇者を探しに行ったらなら、たぶん街の外に出たと思うから…街の外周をぐるっと調べて、外に出ている魔力反発を探し出せば良いだけ」
神官妹「そして子供だから反応も小さいと思いますし、その反応なかで小さな物があれば魔族子供♀が残した残留魔力と見て間違いない」
神官妹「そしてそれを考慮して調べた結果、外に出た小さい残留魔力をひとつだけ」
神官妹「魔族子供♀に間違いありせんわ」
女勇者「おお! 何か頭良い感じの探し方だなっ!」
神官妹「頭良くなきゃ神官になれませんわよ…」
女勇者「まあとにかくこれで魔族子供♀を探せるじゃん! あんがとな神官妹!」
神官妹「まあ…後で私の言うこと一つ聞いてくれればそれで良いわ…」
女勇者「言うこと? 何?」
神官妹「後で言うわ…その時ちゃんと聞いてくれれば…それで良いわ」
女勇者「? まあお前の頼みなら…まあ死ねって言う以外なら別に良いけど…」
神官妹「本当ね? 約束よ?」
女勇者「う、うん」
女勇者(何だ…何か妙に念を押してくるな…)
女勇者(まあ、それより今は魔族子供♀の事が優先だ)
女勇者「それで魔族子供♀が出ていった場所は?」
神官妹「それは…」
魔族子供♀「はあはあ…」
魔族子供(随分山奥まで入っちゃったけど…)
魔族子供♀(女勇者様いないなぁ…)
魔族子供♀(もし私の角斬ったのを気にして戻らないって感じになってるなら…)
魔族子供♀(私は気にしてませんよって教えてあげなきゃ)
魔族子供♀(そう私が飛び込んだのが悪いんだから…)
魔族子供♀(だからそれで角が無くなったのは自業自得何だから)
魔族子供♀(女勇者様全然悪くないですよって言ってあげなくちゃ…)
魔族子供♀(それに角は無くなっちゃったけど…)
魔族子供♀(でもそのおかげで、女勇者様と戦魔将軍のおじさんが喧嘩しなくて済んだから…)
魔族子供♀(だからこれで良かったんだよね?)
魔族子供♀「いたっ…!」
魔族子供♀(まだ痛いや…)
魔族子供♀(でもこの痛み…魔族子供1ちゃんがよく言ってたメイヨのクンショーって奴になるのかな?)
魔族子供♀(男だったら一つや二つくらいあった方が良いって魔族子供1ちゃんが言ってけど)
魔族子供♀(女の私でもメイヨのクンショーになるのかな…?)
魔族子供♀「つぅ…!」
魔族子供♀「良く分かんないや…」
魔族子供♀(と言うか…何か頭がボーッとしてきた…)
魔族子供♀「ダメ…」
魔族子供♀「目の前が…真っ暗に」
魔族子供♀「…」どさっ!
???「…ぐふふ」ザッ。
???(魔族のガキがこんな外を一人で歩いているから何だと思ってつけてみたら…)
???(こいつは確か…女勇者と良く一緒にいたガキ…)
???(こいつは楽しめそうだ…)
神官妹「こっちですわ」
女勇者「ほんとかよ…あんなちっちゃい足でこんな山奥まで来たのかよ…」
神官妹「まあ子供と言っても魔族ですしね…人間の子供よりは頑丈じゃ無いんですの?」
魔王「僕が小さい頃はこれくらいの山は簡単に登れましたよ?」
女勇者「お前の体験談は参考にならない」
魔王「何故っ!?」
魔法使い「…」
女勇者「どうした魔法使い難しい顔をしちゃって…」
魔法使い「いや…何か焦げ臭い匂いがするような…」
女勇者「焦げ臭い? すんすん…別に何も匂わないけど」
魔法使い「耳ほどではないが…エルフは鼻も人間より効く…だからお前には分からないかも知れない」
女勇者「そんなものかねー」
魔法使い「ああそんなものだ…」
魔法使い「しかしこの匂い…昔どこかで嗅いだような…」
魔王「あれ…あそこ、なんか明るくありませんか?」
女勇者「え?」
神官姉「…何か…燃えてる」
神官妹「山火事…? にしては小さいわね」
魔法使い「風の匂いから…この先に森の開けた場所があるみたいだ…」
魔法使い「肉が焼ける匂いがするな…旅の者か何かが、この先で夜営を張っているのかも知れんな…」
女勇者「肉が焼ける匂いか…アタシ肉もあんまり好きじゃ無いんだよね…」
魔王「へええ…女勇者さんって肉嫌いだったんですか」
女勇者「うん」
魔法使い「まあそうだろうな…」
女勇者「え?」
神官妹(そう言えば女勇者って、旅してた時魚ばっかで肉は食べてなかったわね…)
神官妹(何でだろうって思ってたけど、自分の妹が焼き肉されて食べられたのがトラウマになってれば、まあそうなるわよね)
女勇者「なんでアタシが肉嫌いなのが当たり前になってるんだよ」
魔法使い「うるさい…そろそろ開けた場所に出るぞ」
魔法使い「もしこの先に夜営している者がいるなら」
魔法使い「もしかしたら魔族子供♀もそこで暖を取っているかも知れない…それに」
神官妹「魔族子供♀さんの残留魔力もこっちに続いていますわ」
魔王「じゃあ見る価値はありですね」
女勇者「何でアタシが肉嫌いが当たり前なんだよっ!」
魔法使い「黙れ! そんな事は自分の胸に手を当てて聞け!」
神官妹「しっ! もし向こうで本当に夜営を張っている人がいたらびっくりさせたら警戒されて聞ける話も聞けなくなるかも知れませんわ」
神官妹「今はお静かに」
女勇者「…はーい」
魔法使い「…ふん」
神官姉「広いところ…出た…けど」
女勇者「誰も居ないじゃん…でっかい焚き火あるけど…なんだありゃ…丸太を組み合わして燃やしてるのか?」
魔王「はーあれが焚き火ですか…」
女勇者「何だよお前焚き火も見たことないのかよ?」
魔王「うーん近くの山に行っても、ほとんど日帰りだったし、夜営と言うのをした事が無かったので…」
女勇者「へー…まあそこら辺に疎いところは人間の王族と変わらないんだな…」
魔王「お恥ずかしい…」
女勇者「まあアタシも火はあんまり好きじゃないから、そんなマジマジ見た事ないから、えらそーに言える事でもないけどな」
女勇者「しかしありゃ妙だな…」
魔王「どうしてですか?」
魔法使い「焚き火がでかすぎる…と言うか普通は丸太なんて大きな薪なんか使わん」
魔法使い「それに…何だ…炎の中から…何か聞こえ…」
魔法使い「この音は…まさか!?」
子供「きゃえあああああっっ!!」バーン!!
魔王「!」
女勇者「炎の中から…」
神官妹「焼けた子供が…!?!?」
神官姉「う…」
魔法使い「子供をこ、この肉の匂い…子供を焼いていたのか…!」
子供「あががががが」ビクビク。
子供「が………」ドサリ。
女勇者「子供…!? まさか魔族子供♀…!」
神官妹「それは違いそうね…」
神官姉「う…ん」
魔王「ど、とうして分かるんですが!? こ、こんなに焼けただれてるのに…」
子供「…」
魔王「…! うぇ…」ビチャ。
神官妹「まず第一に角が無い…そして第二に胸のペンダント」
神官妹「これは創造神教の信徒の証」
神官妹「つまりこの子は創造神教の信徒の子供ですわ」
魔王「創造神教の子供…」
神官妹「はい恐らくこの街に多く押し寄せてきた創造神教の信徒の、街に入れずあぶれてしまった者かと…」
魔王「え? な、何故こ、こんなところにそんな信徒さんが…」
神官妹「それは今…街の許容量の10倍も信徒が集まってますからね」
神官妹「街で宿どころか…街中にすら入れない信徒も多くいるでしょう」
神官妹「そんな序列的に最下層の信徒がここの近くで野宿してたのでしょうけど…」
神官妹「恐らくそれを誰かが襲って、あの炎の中にくべた…と言うのが最も可能性が高いかと思います」
魔王「そ、そんな恐ろしい事を誰が…」
魔法使い「そんな事はどうでも良いっ!!」
一同「!?」
魔法使い「子供を焼くなんて…そんな…そんな事をするのは…」
魔法使い「おいグズ! このやり口何か似てないか!?」
女勇者「…! で、でもあいつは確かにこの私が…」
神官妹「…! 上から何かきますわっ!」
魔法使い「いかん散開しろっ!」ばっ!
女勇者「く…!」ばっ!
魔王「え? え?」
???「がはははっ!」ズウン!
魔王「わっ!」
女勇者「…!」
女勇者「ま、まさか…」
魔法使い「貴様は…」
神官妹「嘘でしょ…」
神官姉「?」
魔王(あ、あれは確か…)
女勇者「妖魔…」
魔法使い「将軍…!」
妖魔将軍「ぐふふ…」
続く
巨大な焚火で子供焼いていたのは、かつて勇者が拷問して殺したはずの妖魔将軍だった。
何故妖魔将軍は生きていたのか? そして何故魔族子供♀の残留魔力があった先から現れたのか?
魔族子供♀は無事なのか?
次回に続きます。