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敗戦魔王の戦後処理  作者: てんたま
59/79

58話 魔王「勇者さんのケジメは僕がつけます」

戦魔将軍を殺そうとして誤って仲良くなっていた魔族子供♀を傷つけてしまう女勇者。

その罪の意識から逃げ出すが、残った者たちの間では子供に手を出した女勇者に激しい糾弾が起きていた。

そんな状況に魔王は自分でケジメつけると女勇者を追うが…。


登場キャラ


魔王

前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。

前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。

年齢も人間換算で15歳。

そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。

後妹がいる。


女勇者

口も性格も悪い外道勇者。

気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。

また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。

見た目は胸は小さく金髪ツインテール。


神官妹

聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。

また性癖が年上思考で、大臣を愛している。

元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。


神官姉

神官妹の姉。

喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。

そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。

性癖は年下思考で子供が好き。

その事から見た目が子供な魔王が好き。

後ちょっとMっ気もあるかも知れない。


魔法使い

エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。

性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。

女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。


・魔族の子供たち


魔族子供♀

魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子


魔族子供1

ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。


魔族子供2・3

魔族子供1の子分のような存在


魔族っ子幼

魔族の幼女。

戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。

何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。


呪族の幼女

魔族とは違い、呪いの力を使う一族の生き残りで元その女王。

前の戦いで覚醒魔王に力を根こそぎ奪われ封印されてしまい、幼女の姿になってしまう。

幼女になった当初は喋るのに慣れず舌足らずだったが、だんだん慣れてきている。

わらわなど、昔の日本のお姫様のいような喋り方をし、その喋り方通り高飛車な性格をしており、さらに呪いの一族らしく恨みがましく陰湿な性格もしている。

また性癖が同性愛者な事から若い女が好きで、見てくれが美しい女勇者が好き。


参謀

前魔王の片腕だった魔族。

魔王を復活させて今の状態を作ってしまった張本人。

行動では魔王につき従っているフリをしているが、内心では魔王を利用して魔界の再建を狙っている。

そのように表の態度とは裏腹にいつも何か隠している感じの油断のならない性格をしている。


商人

姫の専属アドバイザーとして仕えている商人。

姫に頼まれ魔王をおとしめる為にやってきた。

口が上手く、人の心をつかむのが上手いが、その反面いつも何か隠しているようにも見える胡散臭い人物。


王国の姫。

常に上から目線で物を言う高飛車で傲慢な性格しており、利権など金になる物や自分が面白いと感じた物に目が無い。

今回も魔界の利権を狙ってやってきた。


メイド

大臣たちが魔界視察に来た時についてきたメイド。

いつの間にか魔王城に住み込み生活をしている。

メイドらしく引っ込み思案な気弱な性格。

また女勇者に拾われてメイドになったらしい。

その過去には何か色々ある様子。


戦魔将軍

元旧魔王軍の七魔将軍の一人。

戦魔名前のごとく力で全ての物事を解決しようとする戦士系タイプの魔族。

ミノタウロスがさらにマッチョになったような容姿をしており、正々堂々をモットーとする豪快で武人のような性格をしている。

ただ認めた主にないがしろにされるのは苦手で、よく魔王の言葉に素でショックを受けていたりする

また語尾にござるを付ける。


戦魔副長

戦魔将軍の右腕的存在で、柔らかい考えに冷静に場を見れる事から、頭の悪い戦魔将軍の代わりに色々考えてくれたりする。

性格も平和主義者と言うほどでもないが、むやみに喧嘩をして敵を作る事は良しとはしない性格。

魔族子供♀「う…う…」

魔族子供たち「大丈夫…魔族子供♀…うええ」

魔王「魔族子供♀さん…」

魔法使い「一応応急処置で、角がこれ以上腐蝕するのは食い止めたが…」

魔法使い「魔族の角にはちゃんと痛覚がある、まだその苦痛でしばらく苦しむことになるだろうな…」

魔王「そうなのですか?」

魔法使い「魔族なのに知らないなのかって…まあお前は痛みなどほとんど受けた事が無いから分からないか…」

魔王「…! そ、そうですよね…」

魔法使い「分かりやすく例えれば…神経が通ったままの歯を溶かされる感じか…どうだこれなら何となく分かるか?」

魔王「…! 何となく恐ろしく感じます…」

魔法使い「そうか」

魔王「…」

魔王「僕は本当に…何も知らないのですね」

魔法使い「?」

戦魔将軍「魔王様っ!」

魔王「戦魔将軍さん…」

戦魔将軍「魔族の誇りたる角を切り落とすなど…しかも子供の…」

戦魔将軍「それにあの切り口では2度と元に戻ることはありますまい」

戦魔将軍「つまり魔族子供♀は一生片角の辱しめを受けないといけない…」

戦魔将軍「男ならそれは名誉の勲章になるかも知れん…」

戦魔将軍「しかし女なら角を切られると言う事は髪を切られると同じ屈辱!」

戦魔将軍「女勇者がやった事は許されませんぞ!」

魔王「そうですね…」

戦魔将軍「このケジメ…儂は例え返り討ちになっても構いません…儂は儂は…女勇者と戦いますぞ!」

魔王「…!」

魔王「いえ…ダメです!」

戦魔将軍「!」

戦魔将軍「…こ、今度ばかりは魔王様の言う事であっても聞けませんぞ!」

魔王「違います!」

戦魔将軍「!?」

魔王「その…ケジメは僕がつけます…!」

一同「!?」




女勇者「…」

女勇者「くそ…!」ガン!

女勇者(何で…あんな事に…)

女勇者(アタシはただ…戦魔将軍を…下衆野郎の兄貴を殺そうとしただけだったのに…)

女勇者(何で…何で…飛び込んできたんだ魔族子供♀…)

女勇者「くう…!」ガリガリ

女勇者(…いや、何を気にしてるんだアタシは…魔族のガキの一匹や2匹…どうだって良いだろ…)

女勇者(そうさ…この世界は他人はどうだって良いんだ…肉親だって…家族だって…)

女勇者(それがこの世界のあり方なんだ)

女勇者(ちょっとあのガキが懐いたからって勘違いしてだけなんだ…)

女勇者(…アタシの事本当に好きになってくれたかもって思ったから…それで…)

女勇者「…」

女勇者(死には…しないよな?)

魔王「勇者さん!」

女勇者「おわぁっ!」

女勇者「ななななんだよ、てめえっ! いつからそこにっ!」

女勇者「ちっ!」

魔王「あ、ま、待ってください勇者さん」

女勇者「くそ追いかけてくるなっ!」

女勇者「聖光浄魔斬っっっ!(連発)」

魔王「ちょ…うあああっ!!」

女勇者「へ、ばーかっ!」

魔王「ちょっと勇者さん!」

女勇者「うわあっ!」

女勇者「な、何で前から…」

魔王「危ないじゃ無いですかっ! 咄嗟に転移魔法で逃げたから良かったけど…死ぬところでしたよっ!」

女勇者「聖光転身っ!」シュン!(高速移動)

魔王「あ! ちょ、ちょっと待って…」

女勇者「…」

魔王「待ってくださーい!」ドーン!(飛んで女勇者を追う)

女勇者(…! 何も無しで聖光転身に追いつくだと…)

女勇者「くうう…」

魔王「えい!」

女勇者「!」

魔王「はあはあ…捕まえましたよ…あ、暴れないで下さいね…」

女勇者「うるせー! はなーせっ!」

女勇者「やだあっ!」ガリガリ!

魔王「うわっ! か、顔を引っ掻かないで!」

女勇者「ふ───っ!!」

魔王「ゆ、勇者さん…と、取りあえず落ち着いて僕の話を聞いて下さいっ!」

女勇者「うるせやだ黙れっ!」

女勇者「どーせアタシを説教する気だろっ! アタシは悪くないっ! アタシは悪くな…」

魔王「すいませんでしたっ!」ペコリ。

女勇者「悪くな…え?」

魔王「すいませんでした…」

女勇者「は、は? 何でお前が謝るんだよ?」

女勇者「意味わかんないだけど…」

魔王「勇者さんは僕に何も知らない癖にと言いましたよね」

女勇者「あ、ああ…そうだったか…」

魔王「はい…その言葉に僕は痛感しました…確かに僕は奇麗事ばかりいって、本当は何も分かって無かったって事を」

魔王「そんな僕がどうこう言うのって…確かに何だお前って感じでおかしいですよね…おかしかったですよね」

魔王「だから…すみませんでした…何も知らなかった癖に偉そうな事を言って…」

女勇者「…ふ、ふん、別にそんな事どーだって良いよもう…」

女勇者(何だよ真面目腐ったセリフ吐きやがって…)

女勇者(どーせ薄汚い魔族、演技なんだろ…)

女勇者(いや…そう言えば創造神が言ってたっけ…邪神化してないこいつは綺麗な心をしてるって)

女勇者(じゃあこいつは本当に素で優しかったのか…)

女勇者(はっ、魔王が優しくて、勇者は子供に手をかける鬼畜ってか…)

女勇者(やっぱりこの世界はおかしい)

女勇者「はは…」

魔王「ど、どうしましたか…?」

女勇者「何でもねーよ…」

女勇者「って言うかいつまで抱きついてんだこのセクハラガキ! 離せ!」

魔王「え! そ、それは…出来ません」

女勇者「は? 何でだよ!」

魔王「そ、それは…また離したら勇者さんが魔族子供♀さんの事を気にして落ち込んでしまうから…」

女勇者「は、は? たかが魔族のガキ一匹死にそうになったくらいでア、アタシが気にするかよっ!」

魔王「嘘です、無理しないで下さい…!」

女勇者「うるせーなっ! 心配するフリなんかやめろっ!」

魔王「心配ですよっ!!!」

女勇者「!」

魔王「あ、いえ…またもしかしたら…僕の勝手な思い込み…かも知れませんけど…」

女勇者「…」

魔王「…でも、心配しています。何とかしてあげたいって感じています」

魔王「この気持ちも…やはり違うのでしょうか?」

女勇者「は、は? あ、アタシが知る訳ねーだろ…あんたの気持ちなんか」

魔王「…ですよね」

女勇者「…」

女勇者「ど、どーせアンタもあんな酷い事したアタシなんか軽蔑してるんだろっ!」

女勇者「嫌いなんだろっ!」

魔王「…僕は女勇者さんの事は好きですよ」

女勇者「え…///」

魔王「忘れました? 初めて友達になった時言ったじゃないですか…」

女勇者「そだっけ…?///」

魔王「そうですよ」

女勇者「…///」うつむき

魔王「…」

魔王「勇者さん…一旦戻りましょうみんなの所へ…このままではいけません」

女勇者「…! それはやだっ!」

魔王「勇者さんっ!」

女勇者「だ、だってあんなことして、戻れるかよっ! 察しろよニブチン馬鹿魔王っ!」

魔王「だ、大丈夫ですよ!」

女勇者「大丈夫じゃないっつーのっ!」

女勇者「やっぱりお前は何も分かってないっ!」

女勇者「分からない癖に余計な事するなっ!」

女勇者「もうアタシなんかどーなっても良いんだからっ!」ジタバタ。

魔王「どうでも良いなんてありませんっ!」ギュ!

女勇者「…!」

魔王「僕は魔族子供♀さんじゃないから分かりませんが…大怪我をしたからと言って…きっと勇者さんを恨むような事はしませんよ」

女勇者「ま、また分からない癖に」

魔王「かも知れませんが…魔族子供♀さんがそんな事思わないのは女勇者さんの方がよく知っているでしょ!?」

女勇者「…!」

女勇者「でも…でも…戦魔将軍とかも、もー無理だし」

魔王「…それも何でなんですか…」

女勇者「何でって…」

魔王「勇者さん…その家族を妖魔将軍に殺されたから…まあ兄の戦魔将軍さんを恨むのは分かりますが…」

魔王「でも勇者さんは別に恨んでないと、言ってましたよね?」

魔王「それなのに何故戦魔将軍殺したいんですか?」

魔王「殺したいほど憎んでいるんですか?」

女勇者「だから…アタシは憎んでなんか…」

魔王「嘘です! 僕は確かに鈍感かも知れないけど、勇者さんは妖魔将軍に家族を殺された事を引きずってます!」

女勇者「だから…アタシはあいつらとは違うんだよ…!」

女勇者「アタシは家族を妖魔将軍に殺されたからって何も感じちゃいねえんだよ…!」ギリギリ。

魔王「それが何も感じていない顔ですか!?」

女勇者「う…る…せえぇ!」ぐぐぐ。

魔王「勇者さん一体何があったんですか!?」

女勇者「黙れ…何も知らねえ癖に…!」

女勇者「知ら…ない癖に!」

魔王「…!」

女勇者「分かったら…はな…せっ!」

魔王「…」

魔王「…確かに僕は何も…知りません」

女勇者「だったらっ…!」

魔王「でも教えてくれなければ分かることも出来ません!」

女勇者「…!」

魔王「僕を物事を分からない者だと言うならば、教えて下さい分かるようになりますからっ!」

女勇者「は、は? ばっかじゃないの? 教えろって言われて素直に教える馬鹿がどこにいるんだよっ!」

魔王「教えてくださいお願いします!」

女勇者「いや話聞けよっ!」

魔王「僕は…」

魔王「僕はもっと勇者さんの事を知りたいんです!」

女勇者「は、は?」

女勇者「な、何を…」

魔王「もっと知って…力になりたいんです!」

魔王「とも…友達だからっ!」

女勇者「…!」

女勇者「…」

女勇者(…ばっかじゃない…アタシなんかを友達だって…そう思ってるのは…お前だけだっつーの…)

女勇者(ほんと馬鹿…!)

魔王「うう…」ジー。

女勇者「く…」

女勇者「…」

女勇者「はあ…」

女勇者(あ──も、めんどくさい…)

女勇者「分かったよ…良いよ教えてやろうじゃない、アタシが怨みを持っていないその理由」

魔王「ほ、本当ですか!?」

女勇者「ただし…もしもその理由に納得行ったら…二度とアタシに構うなよ?」

魔王「は、はい!」

女勇者「じゃあ…」

女勇者(あ…魔王に醜い話をするの不味いんだっけ…)

女勇者「…」

女勇者「ま、いっか…こんな世界どうなっても…」

魔王「…? 勇者さん」

女勇者「何でもねー、黙って聞いてろよ…」

魔王「は、はい」

女勇者「──あれはアタシがまだ勇者になる前の頃の話だ」


続く

魔王のしつこさに根負けした勇者は、他人の恨みのために魔族を殺そうとするが自分の恨みでは魔族とは戦わないと言う不思議なこだわりを持つ理由、家族を殺されてるのに別に魔族は恨んでいないと言うその理由について過去の話を語り始める。

その理由とは一体?

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