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敗戦魔王の戦後処理  作者: てんたま
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49話 魔王「エルフさんたちの怨嗟の声」

村の外に出ようとした魔族子供1を止めようとすぐに追いかけた魔王でしたが、時すでに遅く、捕虜が村を出た事を知らせる魔法のアラームが鳴り響いてしまう。

それでもエルフに見つかって殺される前に、魔族子供1を保護しようとするが、既に魔族子供1はエルフたちに捕まっていた。

今から殺されようとする魔族子供1に、魔王はどするのか?


登場キャラ


魔王

前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。

前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。

年齢も人間換算で15歳。

そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。

後妹がいる。


女勇者

口も性格も悪い外道勇者。

気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。

また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。

見た目は胸は小さく金髪ツインテール。


神官妹

聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。

また性癖が年上思考で、大臣を愛している。

元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。


神官姉

神官妹の姉。

喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。

そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。

性癖は年下思考で子供が好き。

その事から見た目が子供な魔王が好き。

後ちょっとMっ気もあるかも知れない。


魔法使い

エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。

性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。

女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。


・魔族の子供たち


魔族子供♀

魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子


魔族子供1

ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。


魔族子供2・3

魔族子供1の子分のような存在


魔族っ子幼

魔族の幼女。

戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。

何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。

魔王(エルフさんより早く魔族子供1さんを保護しないと彼の命が…)

魔王「とにかく音の方へと向かいましょう!」

魔族子供♀「はい」

魔族っ子幼「おー!」

魔族子供2「待ってください!」

魔族子供3「はあはあ」

魔王「君たちは…?」

魔族子供2「こ、このかん高い音…兄貴は本当に村の外に出ちまったんですか?」

魔王「たぶん」

魔族子供3「でもおかしいな…」

魔王「え? 何故ですか?」

魔族子供3「だって外に出るって言って部屋を出たのついさっき何ですよ?」

魔族子供3「村の出入口はあの門しか知らないし、あそこにはエルフの門番いるから、そんな簡単に出れないんじゃないかな?」

魔族子供♀「確かに…早いかも」

魔族っ子幼「そうだよね! あたしたちすぐまおーにそーだんしにいったもんっ!」

魔王「…? それは…確かに妙ですが…」

キィーン! キィーン! キィーン!

魔王「! ですが今はそんな事を考えてる暇はありません!」

魔王「とにかくエルフさんに魔族子供1が殺される前に…」

魔法使い「お前たちっ!」

魔王「あ…魔法使いさん」

魔法使い「これは一体どういう事だ!」

魔族子供♀「魔法使いさんっ!」ダキ

魔法使い「魔族子供♀…落ち着け、まず何があったかを話せ」

魔族子供♀「うん…実は………なの!」

魔法使い「何だと…魔族子供1が!?」

魔法使い「馬鹿だと思ってはいたが…早まった真似を…」

魔法使い「おい自称魔王! 何故止めなかったんだ!」

魔王「す、すみません…話を聞いた後にはもう…」

魔族子供♀「魔王様を責めないで…直ぐに魔王様に相談に行ったの…でもそしたらもう警報が…」

魔法使い「何…それだと5分位か?」

魔族子供♀「うん…」

魔法使い「それだと確かに妙だな…ここから門まで走っても10分くらいはかかるぞ…」

魔法使い「…! 水路を使ったか! それなら2分とかからん!」

魔法使い「だが…昨日今日ここに来た者がどうやってそれを知った…」

魔王「と、とりあえず魔法使いさん考えるのは後です!」

魔王「早く魔族子供1を見つけて、殺されないようにお口添えをお願いできませんか?」

魔法使い「え? あ、ああ…出来る限りはやろう…」

魔王「では音が鳴る方へ向かいましょう!」タタタ。

魔法使い「うむ!」タタタ。

魔法使い(しかし魔族子供1はどこで水路を通り抜ける事を知った…)

魔法使い(村の誰かが教えたのか?)

魔法使い(いや…エルフは魔族を毛嫌いしている…教えるどころか話もしないと思うが…)

魔法使い(なら私の排斥を考えてか?)

魔法使い(いや…エルフは一度受け入れた仲間を貶めるような事は絶対にしない)

魔法使い(それが仲間が助かるなら、喜んで命を捧げられる心の強さになっているからだ)

魔法使い(それにこの村は、前焼き払われた私の村を、国王様が魔王討伐の恩賞としてそのまま人間が建て直して出来た村…)

魔法使い(だから昔のままと同じ構造なのだ)

魔法使い(そして今ここに住んでいるエルフは、後からやって来た元々違う村の者たち)

魔法使い(さらに住んでから日も浅い)

魔法使い(そんな彼らが、水路から村を出る、と言う昔から住んでる者しか知り得ない事に気づけるだろうか?)

魔法使い(可能性はゼロでは無いが…しかし)

魔法使い(もしも水路の事を教えたのが村の者以外だとしたら誰だ?)

魔法使い(まさか昔の村の者の生き残りがいたのか?)

魔法使い(いや…全員食われるか魔石の材料にされて死んだはずだ…!)

魔法使い(それは魔石を作っていた魔族の研究所でも記録で確認した…)

魔法使い(連れ去られたエルフは全員死んでいた…)

魔法使い(じゃあ誰だ? 村の者以外で、昔の私の仲間でもなく、村の構造を知り得る者は…?)

魔法使い(一体誰が魔族子供1に水路の抜け道を教えたんだっ!?)

魔王「あ!」

魔族子供♀「魔族子供1ちゃん!」

魔族子供2・3「兄貴!」

魔法使い「は…!」

魔族子供1「くそー離せっ!」

エルフ兵士「お待ちしてましたよ、魔法使い様」

魔法使い「く…」

エルフ兵士「約束は覚えていますかな? もしもこいつらが問題を起こしたら貴女の手で殺すと言った事を?」

魔法使い「ああ…覚えている」

魔王「!」

魔族っ子幼「え…」

魔族子供♀「そ、そんな…本当ですか魔法使いさん!」

魔法使い「…本当だ」

魔王「そ、そんな待ってくださいっ!」

魔王「たった一度だけ約束を破っただけで殺すなんて…お願いします…彼にもう一度チャンスをくださいっ!」

魔族子供♀「お願いします…魔法使いさん、魔族子供1ちゃんを…殺さないで…!」

魔王「お願いします! 彼はまだ子供何ですよ!?」

エルフ「黙れ魔族! お前ら魔族は多くのエルフの家族を虐殺してきたんだぞ!」

魔王「!」

魔族子供♀「!」

エルフ「そうだ自分の番になったら図々しい事を言いやがって!」

エルフ「ふざけるなっ!」

エルフ「…殺せ」

エルフ「そうだ殺せっ!」

エルフ「殺せ殺せ!」

エルフ「ころーせ! ころーせ! ころーせ!」

魔王「…」

魔族子供♀「…」

女勇者「…」コソ

女勇者(何か騒がしいと思ったら…一体何の騒ぎだこりゃ…)

神官妹「あ…! あそこに魔王がっ!」

神官姉「魔王ちゃん…!」ダッ!

神官妹「ばっ立つな馬鹿姉!」ドスっ!

神官姉「ぐはっ!」

神官妹「何か一瞬即発な状況になってるんだから…今出てったら、本当に魔王が殺されちゃうわよ!」

神官姉「きゅう…」

神官妹(まーあの程度のエルフで殺されないとは思うけど…本当に死んだら困るから…ここは慎重にいかなきゃ…)

女勇者(しかし本当に何の騒ぎだ?)

女勇者(魔法使いもいるし、出にくいからとりあえず様子を見るに徹するか…)

エルフ兵士「と言うわけだ…皆魔族に家族を殺されたんだ…! あまり身勝手な事をいうな…」

魔王・魔族子供たち「…」

エルフ兵士「そして君たちは何か勘違いしてるんじゃ無いのかな?」

魔族子供♀「え?」

エルフ兵士「自分達は殺されないって勘違いさ」

エルフ兵士「言っておくが連帯責任だ、こいつが禁を破った時点で全員処刑することになってたのだよ!」

魔王「!」

魔族子供♀「え…?」

魔族っ子幼「あたし…ころされちゃうのか?」

魔族子供2・3「ひええ!」

魔法使い「…」

魔族子供1「な、他は関係無いだろっ!」

魔族子供1「殺すなら俺だけ殺せば良いだろうっ!」

エルフ兵士「言ったハズだ連帯責任だと!」

エルフ兵士「お前の仲間の事をちっとも考えない行動が招いた結果だ…諦めるんだな」

魔族子供1「…!」

エルフ兵士「まあ魔族は我々エルフと違って仲間の事を考えるなど元からしないだろうがな…」

魔族子供1「く…」

魔族子供2「こ、これって本当にやばくないか…」

魔族子供3「何で?」

魔族子供2「だって魔王だって魔法使いに負けたんだぞ? いざとなったら助けてくれる人がいないじゃないか…!」

魔族子供3「あ…!」

女勇者(魔王が魔法使いに負けた!?)

女勇者(魔法使いの魔法の知識ならとちょっと思ってたけど…マジで魔王倒したのか)

女勇者(あ、あいつ何をやりやがったんだ?)

女勇者(ん? でも、なら何で魔王は生きているんだ?)

魔族子供2「お、俺死にたくないよ!」

魔族子供3「俺だってそうだよ!」

エルフ「へへへ…」ずい

魔族子供2「ひっ…」

魔族子供3「…」ガタガタ。

魔族子供1「く、くそぅ…ごめんみんな」ポロポロ。

エルフ兵士「ふん…魔族風情が…いっぱしに仲間を思うフリをしおって…」

エルフ兵士「まあいい…さあ魔法使い様お早く魔族どもの処刑を!」

魔法使い「…」

エルフ兵士「…魔法使い様、これは我らとかわした約束ですぞ」

エルフ兵士「もしも魔族が禁を破ったら貴女自身の手で処刑すると…だから我々も自分を抑えて受け入れたのです」

エルフ兵士「こんどは貴女がそうしてもらう番ですよ!」

エルフ兵士「貴女が私たちの長と言うならば、その責務を果たしてください!」

魔法使い「そう…だな」

魔法使い「分かった…」

魔王「!」

魔族子供たち「!」

魔法使い「…」スタスタ。

女勇者「マジかあいつ…子供を殺す気かよっ!」スッ

神官妹「どこに行くんですの女勇者!」

女勇者「え、だってあいつが子供を殺そうと…」

神官妹「それがどうしたんですの!」

女勇者「それがって、だってあいつ自分の子供を殺されてるのに…魔族だからって子供を殺すって…」

神官妹「それがどうしたの? 別に良いじゃない」

神官妹「それに貴女昔…魔法使いに身内のために復讐するなんてって馬鹿にしてたじゃない?」

神官妹「そんな貴女が、何を今更そんなあまっちょろい事言ってるんですの?」

神官妹「別に良いじゃない魔族の子供が一人や二人死のうと、違う?」

女勇者「そ、それは…」

女勇者「…う、うん…うんそうだよな…アタシが間違ってた…ごめん」

神官妹「全くしっかりしてよ…」

神官妹「まあとにかく、どうやったか知らないけど、魔法使いはあの魔王を倒したらしいわ」

女勇者「だな」

神官妹「だから魔法使いは私たちより強くなっている可能性があるわ」

神官妹「私たちに倒せなかった物を倒せたから強いって単純な話じゃ無いかも知れないけど」

神官妹「とにかく魔法使いの力は未知の危険性があるわ…」

女勇者「お、おう」

神官妹「だから魔法使いが、他の魔族の子供を殺しているのに気を取られているうちに魔王だけ奪還して即座に魔法で緊急離脱するわよ! 良いわね!?」

女勇者「分かった…で一応聞いておくけど、そこでノビてるお前の姉は…?」

神官妹「しっ! 魔法使いが魔族子供に近づくわよ集中して!」

女勇者「聞くまでもないって事ね」

魔法使い「…」ザッ

魔族子供1「ひっ」

魔法使い「馬鹿な事をしたな…」

魔王「魔族子供1さん…!」

魔王(助けないと…でも、この人たちの言い分ももっともだ…)

魔王(自分達はこの人たちの家族を殺したのに、自分の番になったら嫌なんて言うのは…)

魔王(でも、でも、でも…何か違う)

魔王(悪いことをしたとは魔族の代表として思っている…!)

魔王(いや…そんな形式ばった言葉じゃなくて…)

魔王(悪いことをしたとは思っている…でもだからって魔族の子供を仕返しに殺すなんて…)

魔王(…何か違う)

魔王(そう…違う…何か違うんだ)

魔王(上手く言えないけど…その違うでどうしようも無いくらい胸がモヤモヤするんだっ…!)

魔王(これはきっと僕の我儘だ…)

魔王(けど…僕はこの人たちの為にも、魔族の子供を殺して欲しくないと感じる)

魔王(ここで子供を殺させてしまったら、きっとこの人たちはもっと駄目になる…!)

魔王(だから止めなきゃ…何としても!)

魔族子供♀「きゃあっ!」

エルフ「殺せっ!」ジリ

エルフ「俺たちも殺してやる!」ジリジリ。

魔王「!」

魔法使い「!」

女勇者「!」

魔王「魔族子供♀さんの方のエルフがっ!」

魔王「く」ダッ。

魔族子供♀「魔王様!」

エルフ「邪魔だこのガキ! お前から殺してやる!」

魔王「…!」パア

エルフ「…! く防御魔法…? く、か、固い!?」

魔王「皆さん…とりあえずここから出ないでください!」

魔族子供♀「は、はい」

魔族っ子幼「やったー! ざまーみろごくあくエルフ、ばーかばーか!」

エルフ「こ、このガキ!」ガンガン!

魔族子供2「魔王様ー」ウルウル。

魔族子供3「信じてました」ウルウル。

魔王「はは…」

魔王(しかし怒ってる割に攻撃が軽いな…)

魔王(うーん…手加減してるって訳でも無いみたいですし…)

魔王(やっぱり一般のエルフさんだとそんなに力は強く無いのだろうか?)

魔王(城暮らしが長くて、他とあまり比べた事は無かったから分からなかったけど…」

魔王(弱くても一応魔王の系譜だし…もしかして一般よりは強かったりするのかな?)

エルフ兵士「ち! 生意気な真似を…」

エルフ兵士「仕方ありません魔法使い様、まずはその魔族を殺して、あっちはじっくり処刑しましょう!」

魔族子供1「!」

魔王「!」

魔族子供♀「魔族子供1ちゃん!」

魔法使い「…そうだな」バリバリ。

魔族子供1「ひっ!」

魔王(…! しまった…こちらばかりに集中してしまってあっちが…間に合わないっ!)

魔法使い「悪く思うな」

魔王「く!」


続く

暴徒と化したエルフは何とか魔王の魔法防御で抑えたが、しかし今度は魔族子供1が魔法使いに狙われてしまう。

それに気づいた魔王も助けようとするが既に間に合わない状況になっていた。

魔法使いは本当に魔族子供1を殺してしまうのか?

次回に続きます。


これで連続50日投稿できました。

これも少しでも見てくれている人たちのおかげです。ありがとうござます。

この敗戦魔王の執筆スタイルは、一応頭から最後まで書く話は出来てますが、プロットは書いていない即興&ほぼライブ感覚で書いている稚拙なSSなので、本当に今まで追いかけて見てくれた読者様にはありがとうございますと頭が下がる思いです。

そしてこんなSSで大変恐縮ですが、一応投げ出さず最後まで書こうと思ってはいますので、良かったらそこまでお付き合い頂けるとありがたいです。

ではではまた次回以降の投稿でお会いしましょう。それでは。


てんたま

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