プロローグ ちょっと違う転生?
17歳の誕生日。俺は死んだみたいだ。
はっ、まったく最高の誕生日だよな。
学校帰りにあっけなく。
ちょっと近道しようとして道路を横断したらドンッ!
気付いた時にはもうトラックに撥ねられていた。
あーあ。まだやりたいことたくさんあったのに。一昨日ダクソ3買ったばっかだしよ、春アニメも始まるし。てか、あのアニメの最終回どうなったんだよ。あーあ、彼女だっていたことない真の童貞のままで死んだのかよ。天国でやりたいこと出来んのか?
なんなんだよ。俺がなにしたっていうんだ。
成績は悪かったけど親不孝なことだってしてない、素行だって良かった。
テストでカンニングしたから?掃除サボったから?図書室の本パクッたから?
こんなことで死ぬんだったらみんな死んでるよ。
死んだのは俺だけだ。
くそっ。泣きたいのに泣けてるか
わかんねえ。涙が出てるのか感覚がない。
涙だけじゃない。体の感覚が何もない、立っているのか座っているのかもわからない。暑いのか寒いのかすらわからない。
ただ真っ白い光が見えているだけ。
ここで49日待てば成仏できんのか。後悔しかないから幽霊にでもなんのかな。
もうどうにでもなればいーや。
「もしもし、聞こえますか?」
どこからか女の人の声がする。姿も気配もない。お迎えが来たみたいだ。
「こちら転生案内所です。堺健人さんですね?」
ん?そうだけど。お迎えですか?
「いいえ。転生の案内をしに天界から来ました。」
転生?もしかして女神とか?さぞかし美しいのでしょう。見れないのが残念です。
「いえ、ただの職員です。」
なんだよ。夢がないな。
てゆうか、ここってなんなんです?死後の世界ってやつですか?
「死後の世界ではありません。無の空間です。」
死後の世界じゃないのか。
無の空間。ほんとその通りだ、自分の身体すらないもんな。
で、俺ってこれからどうなるの?転生出来んの?
「はい。異世界で赤子からやりなおせます。」
異世界?!赤子から?!
まじかよ。異世界って魔法とか勇者とか冒険とかそうゆうやつだよな?
「はい。現世で多くの後悔を残したまま死んだ若い人をそのような世界に転生させられるのですがどうでしょう?」
どうって、すげー魅力的じゃんか。でも赤子からってのがな...
「現世の記憶を覚えたまま転生できます。姿は赤子でも中身は17歳で知識も記憶も今のままです。」
えっ。すげー恥ずかしいけどそれって最強じゃね?
「はい。向こうの世界で産まれる他の人間よりは圧倒的に有利です。」
人間よりってことはやっぱり獣人族とかエルフとかモンスターとかいんの?
「はい。モンスターだけでなく魔王や魔神などもいます。ファンタジーのゲームみたいな世界です。」
冒険したり、モンスター狩ったり、魔法使ったりってことか。
「それと転生する際には何か能力をお付けしています。ただs...」
まじかよ?!それってよくあるチート持ち冒険者になって無双する、みたいな話だよな?!
ラノベとかアニメでよくあるやつ!
おいおい!異世界で俺の時代を築けんのか?!前世で冴えない俺が転生して勇者に!みたいな?
で?どんな能力付けてくれんだ?
やっぱり魔法とか使いたいよなぁでも聖剣とかも捨てがたい。んー。なにk...
「まだ話の途中ですよ!!」
あ、すいません。ちょっと興奮してまして。
で?なんなんです?
「訳あって今はチート持ちでも冒険者のような人間には転生させられません。」
チート持ちだけど人間以外ってなんだ?
人間じゃないとなると限られてくるけど....
まさかモンスターとかか?それは勘弁して欲しいな。
「いえ、モンスターではありませんから安心してください。ただの魔族です。」
魔族って。それもどうかと思うんだけど。強そうだ。
けど冒険者じゃないなら強くても意味無いよな。
なんか目的あって無双できんの?
「ええ、無双できます。なんてったって魔王の息子として転生出来るのですから。」
ん?今何つった?
「魔王の息子です。長男です。次の魔王です。」
魔王の息子?生まれ変わったら魔王の息子?成長したら魔王?
「はい。王国軍や率いるチート持ち冒険者と現在交戦中の魔王軍の大将。魔王の息子です。」
はぁぁぁ?!本末転倒じゃないか!結果的には俺だけじゃなくて魔王一家全員が殺され終わりだよな?!
異世界でも殺されてチート持ち冒険者をヨイショしろってことかよ?!
「いえいえ!チート持ち冒険者を倒して無双しながら世界を征服し、戦争をやめさせてください!」
魔王が平和な世界って...
で、魔王の息子になるとどんな能力が付いてくるんだ?
「今の魔王。つまりお父さんの能力をすべて受け継げます。それと堕天使であるお母さんの能力もです。」
...生まれた時から最強ハイブリッドで無双できんのか。さらには王子的な立ち位置だろ。チヤホヤされまくるよな。きっと近くには妾の若い女の子もたくさん。二次元だけだと思ってたエルフの美少女幼馴染みも、猫耳尻尾つきの癒し系女の子も現実となる可能性が無きにしも非ず....。
....ん?なんか割といい気がしてきたな。
「どうしますか?転生しますか?」
しないとどうなるんですか?
「死者として成仏することとなります。」
このまま成仏するのも嫌だよな、せっかくの機会だ。
いや、でも魔王だぞ。魔王になっていいのか俺。魔王なんて苦労ばっかりしてそうだな。働きたくない俺に出来るのか。
でも魔王か。その都度周りの女の子から癒して貰えばいいのか。
0歳からのスタート。新しい人生。
魔王になってチヤホヤされて、チート持ち冒険者を倒して従えて平和な世界を作ってやろうじゃないか。
決めた。...俺は転生するぞ!!!
「わかりました!では行ってらっしゃい!」
うわっ?!眩しっ?!
目の前に広がっていた真っ白な光は俺を包むようにさらに明るく光ったと思うと意識が飛んだ。
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