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君が恋した時間と僕が生きた日々  作者: 星野 葛葉
7/11

7 変化

 蒸し暑い日々は続き、気づけば夏祭りまであと数日になっていた。

 雪は特に予定もないまま高校生活2度目の夏祭りは諦めようと思い始めた頃。

 「はぁ…」

 夏休み前の午前授業も終わり廊下で夏を待ちながらため息をつく。

 「なにため息なんかついてるの?」

 「優くん!びっくりした!」

 突然声をかけられて驚き雪は目を丸する。

 「ごめんごめん」と謝る優に軽く返事をしながら、窓の外に勇太の姿を見つけた。

 自然とそのまま目で追っていて。

 「勇太のこと気になってるの?」

 勘の良い優は雪の行動に鋭く反応する。

 「え、そんなこと…なぃ」

 雪のその反応が全てを表していた。

 いつからだろう勇太を目で追いかけるようになったのは、声かけられると胸が高鳴るようになったのは。

 勇太の笑顔は何よりも眩しく輝いて、挨拶ぐらいしかしないのに彼のことを想うと不思議な気持ちになる。

 「そういうのさ、好きになるって言うんじゃないかな?」

 雪は目を見開いた。

 心の中で優の言葉がリピートされて、溶け込んでいく。

 「私は勇太くんが好き?」

 目をつぶって胸に手を当ててみる。

 彼のことを考えると高鳴るこの鼓動は、"好き"を意味しているんだ。

 そっと目を開き窓の外を見ると、もうそこには勇太の姿はなかった。

 「誘ってみたらいいじゃん、夏祭り」

 「私なんかと行ったて…」 

 自信の無さに俯きそうになる雪。

 「やってみないとわかんないよ!」

 はっとして、視線を優に移す。

 「きっと上手くいくよ。最初っから諦めることなんてない」

 「ありがとう。そうだよね、頑張ってみる!」

 雪はニコッと笑って見せた。

 すると優は一瞬驚いたような表情をして笑い返してくれた。

 「これは勇太も惹かれるはずだわ」

 優の呟きは少し早い蝉の鳴き声にかき消されて、雪に届くことはなかった。

 「じゃあ、もう俺帰るから」

 そう言うと手を振って歩いて行ってしまった。

 

 それから少ししてから、ようやく夏が委員会から戻ってきた。

 「ごめん、遅くなっちゃった」

 「全然大丈夫だよ」

 駆け寄って来た夏と、人気のない廊下を歩き出す。

 いつかと同じように廊下には2人の足音だけが響いていた。

 以前と変わっている事は雪の気持ちぐらいだろう。

 気温は相変わらず高く、むしろ高くなってきているぐらいなのに、なぜかその暑さも気にならないくらい雪の心は弾んでいた。

誤字脱字あればご指摘お願いします。

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