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君が恋した時間と僕が生きた日々  作者: 星野 葛葉
5/11

5 夏


季節は夏になろうとしていた。

 6月の梅雨も過ぎ去り、暑くなり始めた7月。教室でも下敷きをうちわ代わりに仰ぐ人が増えてきている。

 「雪ちゃんおはよう!」

 「おはよう、唯ちゃん」

 雪には唯、優、勇太と新しい友達が出来た。

 季節が変わり、夏と優はあれから素敵な展開を迎えたらしく毎日楽しそうにしている。

 唯は相変わらずのモテぐわいで記録更新中だとかなんとか。

 そんな中、雪には何の進展もないままただ日常を繰り返すだけの日々が続いていた。

 「はぁ、何かいいこと起きないかな」

 机に頬杖をつき憎いほど澄み渡った空を睨むけれど、夏の太陽は眩しすぎて目がくらんだ。

 紫外線と戦っているとクラスの人たちの話し声が耳に入ってきた。

 「夏祭りもうすぐだね!」

 「ほんとだ、今年は浴衣着ようねー」

 毎年近くのグラウンドで夜店が集まって夏祭りが開かれていた。

ついこの間まで梅雨で雨が降っていたから夏祭りというものをすっかり忘れていた。

 「夏祭りね…」

 いままでは夏と行っていたのだが、たぶんというか絶対に今年は優といくだろうから雪は2人の邪魔をできない。

 唯はもう既に予約が入っているらしく誘えない。

 すなわち雪は行く人がいないということになる。

 特別行きたいと思っているわけではないので、行かなくてもいいかなとも思う。

 そんなことを考えていたらチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。

 「はい。1時間目始めるぞー」

 先生の号令で授業が始まる。

 「教科書の25ページ開いて…」

 つまらない授業内容は全く頭に入ってこなかった。

 ノートをとるのも忘れてぼーっと前を見る。

 「次、黒川わかるか?」

 「え、あ、はい。」

 突然質問を投げかけられて、動揺が隠せない。

 「ちゃんと聞いてたか、おい」

 「えーと、4ですか?」

 「残念」

 どっと笑いの波がクラスに流れた。

 恥ずかしくてたまらない雪はまだ真っ白なノートで赤くなった顔を隠した。


 それから内容を理解することなく授業は終わり、先生の号令がかかった。

 「これで終わりにする。黒川、お昼休み職員室来いなー」

 雪は顔に火照りが戻ってきそうな気がして、手で顔を隠しそうになる。

 「お昼休みが来なかったらいいのに」

 雪のため息はチャイムにかき消されていった。


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