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ポルカ/師匠と弟子

「セリアレーゼとラグシュのポトフ出来上がりーっ!」

「こっちも、準備出来たよっ」

 青のチェックのシンプルな感じのエプロンを着たシンディアが鍋に入っているポトフを運んでくる。背中までの髪を一つにくくったアイシェリアはお茶とご飯を配っている。

「うんうん、よろしいっ! 見事な弟子っぷりだなっ!」

 からからと元気よく微笑む女性。腰まである長い薄紫の髪をだんごにし、残った髪をさらりと下ろしている。凛とした光を持つ瞳は濃い紫。すらりとしたからだは黒のシンプルなロングドレスにつつまれている。

「師匠」

「やぁっ、よい月夜ですなっ! 我が弟子達よ!」

 アイシェリアがぽやんとして見ると手を上げて陽気にそう言う。するとポトフを皿に分けていたシンディアの手が止まった。

「いい月夜ですなぁぁっ!? 今何時だと思ってんだよ魔凛! せめて夕方には起きろっつっただろ!」

「夜型なもんで」

「夜型で済むか!!」

 どんっと鍋をテーブルに置いて自分の師匠に近づく。

「シンディアったら、二年の間にこんなにも怖くなっちゃって」

「全て魔凛が悪いんだろっ!?」

「シンディアの作るご飯はおいしいけど、これじゃあ鬼嫁だよ」

 よよよっと右目の上らへんをおさえてわざとらしい演技をする師匠の前に立ち、再度怒鳴ろうとする。

「とにかくっ、夜は早くねっ」

「あっ!」

 たっとアイシェリアが逃げるように外に出て行く。

「いきなり何すんだよ」

 ふぃっと頬を赤く染めたシンディアは顔をそむけた。

「いいではないか。婚約者なのだからっ!」

「アイシェリアのいる時にはするなって行ってるだろっ!?」

「あ、アイシェのいない時だったらいいんだ」

 くすっと魔凛が微笑む。

「そ、そういう事じゃないっ! とにかく、するな!」

「はーいはいっと」

 あまりちゃんと話を聞いているような態度ではない。

「ったく、おーい、アイシェリア。おいで」

 お気楽な師匠であり婚約者を一旦放置し、壁の向こう側に隠れているだろう妹に向ってにっこりと微笑んだ。

「う、うん」

「早くご飯食べよう。でないと本気で冷めちゃうよ」

 きゅっと出てきてシンディアの手を握ったアイシェリアと共に師匠がすでに座っている食卓へと足を運ぶ。

「ほぅら、早く準備を終わらせておいしい朝食を食べようではないか」

 と師匠が言った。

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