マシロの考え
マシロがふわっとしすぎているので、ここでちょっと設定というか理由というか弁明といいますか…(←コラ)
キリのところへ来て、早1ヶ月になる。
はじめの3日間くらいまでは、夢だと思って、夢だと思い込みたかった。
でも泣いたって悩んだって解決するものじゃないし、十代の小娘(笑)ならまだしも、私はもう25歳。高卒で働き始めたから社会にでて7年社会人。取り乱すのは社会人としての沽券にかかわる。
ただの、小さなプライドってことだけれど。
目が覚めて美形が居て、あぁなんて乙女チック。
元々、自分でも思うくらいマシロは夢見がちでファンタジーが大好き。さすがに社会人で異世界、なんて痛いことは口に出さなかったが、空想が大好きで、夢もファンタジーが多かった。
だから、これも、心の中の夢が暴走しすぎてリアルに感じるのだと思っていた。
でも、一日すぎて。二日、三日。――― 一週間。
これが現実と認めざるを得ないだろう。
異世界だと思ったのは、実家暮らしで両親に溺愛されて育っていた私が、たった一晩でこんな言葉の通じない美形と二人っきりなんて奇妙すぎる。
ありえないだろうと判断したからだ。
両親には本当に申し訳ないことで、悲しくてたまらない。
しかし、死んでしまうほうがもっと悪い。
キリはやさしいし、まるで父のように接してくれる。
突然違う世界で一人ぼっちになった私にとって、キリが唯一の人になった。
キリが何も言葉を教えず、部屋から出さず、何もさせないということは、きっとキリは私を、言い方は悪いがペットのように思っている。でも私はそれでよかった。
一人でわけのわからないところに放り出される恐怖のほうが大きい。
それならペット扱いで十分だ。
キリの望むのは、無垢で純真な犬のような私。
だから、私はばかみたいに感情のままに振舞う。
生来から、自分の性格が子供っぽくて夢見がちな私だ。
それは簡単な事だった。
まるでキリのことをだましているみたいだけれど、キリの前で振舞う私も私。
キリの望むままに、今は振舞う。
この先はどうなるかわからないけれど、一人きりの私にとって、今はキリがすべてだった。
主人公は楽天的で基本、あまり物を考えないケセラセラな性格です。
でも、自分の状況をどこか客観的に判断もしています。
今は下手に動いて保護者を失っても、のたれ死ぬってころを理解してます。25歳ですから。
でも、基本素で生活してます。お子様です。