弐
〔さてと、影月君も行った事ですし、私も行きますか。〕
ワッフルを食べていた白銀が言った、と言うかどれだけ食べるんですか?!
そして、いつも通りの服装(さっきまでは、パジャマだった)に着替え、玄関を出た。
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チリンチリン
小気味良い音がカフェ〈シュガー〉に響き渡った。
「いらっしゃい、白銀。調子はどうだい?」
シュガーの主人が、話し掛ける。白銀は煩わしそうな態度をとると何時ものカフェラテを頼み、答えを口にした。
〔あぁ、あいつか?昨日やっと契約したよ。全く、黒影も死に際に俺に大変な仕事を押し付けやがって。何ヶ月掛かったと思ってんだ。〕
「まあまあ、落ち着いて。先代も悪気があった訳じゃないでしょう。それに口調が戻っていますよ?」
〔いいじゃんかー、猫被るのも以外と疲れるんだよな………〕
はぁ、と何か嫌な事を思い出したか白銀が溜息を吐く。
「頑張って下さいよ、あの方は影王になる素質を持っているかもしれない方ですから。まぁ、白銀が影王に敬意を払うなんて有り得ないと思いますが。」
〔流石、景刳。先代の弟だけあるなー、先代とそっくりだ。〕
「良い意味なんでしょうかそれは……何故か貶された気持ちになります。」
〔当たり前だ、貶してるからな。と言うか、この店は経営大丈夫なのか?誰も人が居ねぇが……〕
「大丈夫ですよ?此処は誠華高に近いですから放課後に学生が沢山来ますし。」
〔なら大変じゃないのか?一人で沢山の人の注文聞いて。景刳は何気に身体悪かっだろ?〕
こんな口調をしてながらもさりげなく相手を労わる……そんな白銀の昔からの性格に懐かしさを感じた景刳は最近入って来たあの子について話し始めた。
「アルバイトが入ったんですよ。麻倉椛さんと言う人ですが知っていますか?」
白銀は脳にある人物ネットワークを使い麻倉椛を検索してみた。すると意外と速く見つかった。
〔あいつの幼馴染じゃねぇかよ!〕
確か隣に住んでいた筈だ。と、白銀は景刳に言う。
「そうなんですか……知りませんでした……さぁ、もうそろそろ帰って下さい。学生がきます。白銀が人間に見られると色々まずいでしょう?」
〔そうだな、帰るか。〕
チリンチリン
「こんにちわー、麻倉椛です。アルバイトに来ましたー。」
噂をすればなんとやら。本当に麻倉椛が来てしまった。
「こんにちは、椛さん。ではエプロンを付けてカウンターに立って下さい。」
〔じゃあ、私は帰りますね。会計は此処に。では。〕
チリンチリン
白銀は、さっさと帰って行ってしまった。
「マスター、あの人、お客さん?珍しいねこんな時間に来るなんて。」
「まぁ、白銀は特別ですからね。椛さんの隣に住んでいるそうですよ、ですからもし良ければ、此れを白銀に届けてくれませんか?今日中に。」
渡されたのは、綺麗な装飾が施されたオルゴールだった。それよりも今椛の言いたかった事は別にあった。
「影月、同居してる人いたのかしら……。分かりました。届けておきますね。」
そして、カフェでの仕事に勤しむ椛だった。
長めにしたつもりです……