浮気される者
朝の8時
長い大通り。
南河と繋がる一直線の先の北河商店の通りに
オレはいる。
季節は冬でも人込みが多く、スクランブル交差点ではまるで関ヶ原の大戦をするかのように人がうざたかった。
人が多いのは好きじゃない。
オレはスクランブル交差点の少し先にいる自分の彼女を見てる。
彼女の浮気が気になり
今、尾行をしている。
しばらくすると
彼女は駅前の犬の銅像まえで待ち合わせをしているように見えた。
オレは喫茶店のオープンカフェに座っている。あそこからじゃオレだと気ずかないだろう。
他人から見れば、まるで、ストーカーしているんじゃと思う。
5分ぐらい経つと
あるちゃらちゃらした男が彼女に話かける。
男は眉を剃っており髪は金髪でアクセサリーをじゃらじゃらとつけていて黄色っぽい服を着ていた。
「待った?」
「うん、めっちゃ待ったよ。」
彼女が返事するって言う事はナンパじゃない。嫌な予感がしてきた。
「すまん、すまん。少し緊張してどの服着ていけばいいか悩んでたから」
男は頭の後をかきながら言う。
・・・それで、悩みに悩んでその目立つ服かよ。
センスがないと思う。
「へぇー、すっごくその服似合ってるよ」
彼女は自信満々に言う。
ええと。僕、君の彼氏として恥ずかしいよ。そんなファッションセンスがないなんて。本当、ダサいのを見て褒めるなんて見るに堪えなかった。
「ホント似合ってる?」
いや、似合ってないから。と心の中で言う。
「うん、似合ってるよ。私の彼氏と大違い。彼、全然ファッションセンスないから」
何だろう。
頭の中が怒りで頭が真っ白になっていく。
代わりに心の中で怒りを叫ぶ。
てんめぇ、殺してやる。
いないからって言いたい事いいやがって。
あのクソ女
浮気しやがって
何が浮気してないっだ。
普通にしやがって。
やはり、甘かった。
もう、少し問い詰めるべきだった。
「マジ?彼、ちょーダサいの?」
彼はけらけらと笑っていた。自分の事を知らない他人が陰口を言われるとどれだけムカつくのか知った。
「うん、めっちゃダサいよ。だから一緒に歩くのも恥ずかしくなるの」
彼女もけらけらと笑いながら言う。
そんな笑い方今まで見た事がなかった。
「ははっそんな奴なら別れたら?」
・・・オレの事知らないくせによく言えるな。
「まだ別れないって。いい金ヅルなんだから」
おまえ・・・オレの事そう思っていたのかよ。
言いたい事言いやがって、怒りのボルテージが少しずつ上がっている事が分かった。
「へえーじゃあ、金だけ取って捨てるの?」
男はまだ、けらけらと笑っている。
この男は1番聞きたくないことを聞きやがって。
「うん、捨てるに決まってるじゃない。あんなダサ男」
彼女はそれは当たり前みたいっみたいにきっぱりと答えた。
プチンッと理性が弾き飛んだ感じがした。
言葉にでない思いが頭によぎる。
殺してやる。
絶対殺す。
死ね。
両方とも死ね。
あいつらが人気ない所で移動をして、いちゃつこうとした時には
もう、体が勝手に動いていた。