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Sweet hug  作者: 響かほり
そんなあなたも好きだから
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そんなあなたも好きだから 3

※此の先より、15歳未満の方、甘エロ系が苦手な方は御自重ください。

 温い表現だとは思いますが…一応、お外で読まれる方、背後にご注意ください。

 NGな方、お手数ですがセルフなサービスでお戻りください

 尚、誤って読み進まれも、苦情はお受けできません。




     §



「っ…ん、そこ…」


 紫苑は初めて齎される刺激に、びくりと身を震わせる。


「動かないで、傷つけちゃう」


 あげはの指が滑らかな律動を繰り返す度、脊髄から震えが起こる様な感覚に襲われ、紫苑は彼女の腰と背にまわした腕に力を込めてギュッと彼女にしがみつくと、気だるい吐息を零す。


「む、無理…ぞくぞくして、変…」

「駄目よ。そんな力を入れたら、奥まで突いちゃうわ」

「くっ…それ以上、奥まで入れたら俺、我慢できな…んんっ!」

「紫苑、力を抜いて」

「だめっ、ムリっ。良過ぎて…感じる」

「ちょ、ちょっと紫苑、変な声出さないで」


 喘ぐように答える艶めかしい紫苑の声に危険を感じて、あげはは指を止める。

耳かきを持った手を持ち上げ、紫苑から手を遠ざけた彼女は、耳まで朱に染まっていた。


「だって…あげは巧くて気持ちいいから…堪えても出る」


 年下の青年は恋人の柔らかな膝の上に頭を乗せ、彼女の腹部に顔を埋めるようにしがみつく。

 生まれてこのかた、自分で綿棒を用いた耳掃除しかしたことの無い紫苑は、耳かきのもたらす甘い刺激に体が悶えるのを我慢していた。

 あげはの指が動く度、耳の奥に響く耳垢の音に悪寒がしたが、同時に耳壁を心地よい強さで擦りあげていく刺激に翻弄される。

 堪えようとしても、無意識に思いもしない声が出る。

 それに窮したのは、あげはの方だった。

 彼から漏れる婀娜な声音は、情事の時に彼が放つ声に質が似ていたから。

 故に、あげはの心臓は早鐘を打ち、羞恥に心が落ち着かない。


「紫苑、お願いだからじっとして。出来れば声も…手元が狂いそうよ」


 懇願するように呟かれた言葉に、青年はその意味をすぐに正確に悟り恥ずかしくなる。


「…無理だよ…あげはが俺を感じさせるんだから」


 自分にしがみついたまま衝撃的な言葉を零した相手に、あげはは泣きそうになる。


「な、ななななな何て事を言うのよっ!莫迦っ!人が真面目に耳掃除してるのに!」


 羞恥に潤む瞳で見下ろす恋人をちらりと見た紫苑は、わずかに頬を朱に染めていた。


「俺だって、耳掃除がこんなに官能的な物だなんて知らなかったよ」

「た、単に、紫苑が耳弱いだけでしょ」

「それでも…俺を喘がせるなんて、あげはだけだよ?」


 本気で言っているのか、からかっているだけなのか解らないが、威力絶大の低音の呟きにあげははついに根を上げる。


「もう…私で遊んでるだけなら、後は自分でやって」


 消え入りそうな声でそう言ったあげはは、紫苑に耳かきを押し付ける。

 だが、紫苑は首を横に振る。


「こんな恥ずかしい真似、冗談なら絶対出来ない」

「…ホントに?」


 猜疑の眼差しを向ける相手に、紫苑は上体を起こして至極真面目に頷いた。

 確かに、人並み以上の矜持を持つ青年が醜態を晒すとは思えず、また、彼の表情と赤みのさす顔に、偽りがないとあげはは確信する。

 余裕のない表情と落ち着かない視線、染まった頬は偽り様がない。


「でも、紫苑の体が動いちゃうから危ないもの。貴方が自分でした方が安全かも」

「ガサガサ言って気持ち悪いから、自分でやれって言われても無理だよ。絶対無理。音に耐えられない」


 あげはとしては、このままでは手元が狂って彼に怪我をさせてしまうのではないかと、気が気ではない。

 だが、断固として自分での掃除を拒否した美青年に、年上彼女は困惑する。


「此処までしといて、途中で止めるなんてずるいよ」

「でも…」


 そう言いながら、紫苑はそっとあげはに身を寄せて、片腕を彼女の背に回して軽く抱きしめる。


「したいって言ったの、あげはだろ」


 彼女の肩に顎をかけるようにして、紫苑はあげはの耳元で抗議する。


「そ、それはそうだけど…」

「俺をその気にさせて、途中で止めるなんて酷いよ」


 まるで違う響きを持ってしまうのは、紫苑に心地良い刺激の余韻が残っているせいであって、決して邪な感情ではないと思いつつも、あげはの顔は真っ赤になる。


「俺の事、欲求不満にするつもり?」

「よ、欲求不満って…」

「だって、すっきりしないし…どうにかなりそうだよ」

「…じゃ、じゃあせめて、動かないように頑張ってくれる?」


 何だかんだ言って、年下の彼氏に甘いあげはは紫苑にそう条件をつける。


「…我慢するから、最後までして」


 腕の中の細身な体を強く抱きしめ、紫苑は嘆願するように返事を返した。

 不愉快な音に対する嫌悪が四割、同時にもたらされる快楽にも似た心地良さに溺れたい気持ちが六割の紫苑の返事は、どこか熱を帯びていた。




…なんだかもう、ホントに…イロイロ…済みませんとしか言えない回です。



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