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Sweet hug  作者: 響かほり
RAINY KISS
3/68

RAINY KISS 1


 携帯電話のアラームが聞こえる。

 もう、朝の五時なんだ…。

 起きて洗濯をして、お弁当作って、仕事に行かないと…。

 開かない目と格闘しながら、枕元にあるはずの携帯電話を探す。

 私の手が探し出すより早く、アラームが止まった。

 なぜだろうと思いながらも、目は開かなくて。

 無理やり体を起こせば、誰かが私の身体に腕をまわしてふかふかのベッドに押し戻す。


「大丈夫、まだ時間あるよ?」


 耳朶に、低音でそっと囁かれた言葉。

 …紫苑しおんの声。

 あれ、帰って来たの?

 確か、まだ二日はドラマの地方ロケで帰ってこないって言っていたのに。

 夢?

 でも、抱き寄せられた感覚はすごくリアルで。


「お休み」


 優しい声も、頭を撫でる掌の心地よい温もりも、彼のもの。

 …紫苑が居なくて寂しいのかな、私…だから、こんな夢を見るのかな…

 普段から、紫苑はテレビの収録や雑誌の撮影で、仕事が忙しい。

 だから、何日も家を空けて帰ってこない時もあるし、帰ってくる時間だってばらばら。

 全然、会えない時だってあるけど…

 同棲してから、一月も会えないのは初めてだから…不安なのかな…

 夢でも良い。

 もう少しだけ、彼を感じたい。

 そう考えながら、深い眠りに私は落ちていった。




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