無力
母が子を宿し、この世に産まれ出た赤子はやがて一人で歩けるようになり、物を考えるようになり言葉を喋るようになる。また月日が経ち、赤ん坊は青年になり素晴らしい女性と出会い恋に落ちる。一難去ってまた一難。前途多難な日々が過ぎ去り、恋から愛へ、愛から絆へ変わり変わってまた幾年。二人の愛の結晶の、元気な元気な赤ん坊が産まれたとさ、めでたしめでたし。
そんな当たり前と言っても過言じゃないようなこと。猿だった頃からズルズルダラダラ延々淡々と続いてきた営み。
反吐が出るぜ。
何が面白くて、人間は人間をこんな飽和状態になるまで生産し続けてきたんだ?
そう考えたときに、ふと、思い浮かんだ……そう、きっと……孤独が嫌だったんだろう……一人でも、二人でも、三人、四人、百人いても孤独は存在する。
なんなんだ一体……この孤独ってやつはどうしようもなくボクを取り囲むつもりらしい。明日も明後日も、一週間後でも一年経っても付き纏ってキヤガル。
どれほど人が住んでいるところにいても、どんなに人との接触が頻発する場所でも、誰もボクを見ようとしない。それならば未だしも誰もボクに触れようとしない。誰もボクを相手にしない。話しかけてもこない。すれ違う時、避けられもしない。平凡な、極々平凡な人生を送りたいだけなんだ……。
そんなに俺が嫌か? そんなに俺が疎ましいか? そんなに俺が軽蔑されるようなことをしたか?
誰か答えて、応えてくれよ……。
そりゃボクは君達人間を否定しているよ。仕方ないことなのかもしれない。困難な道のりを自ら選んだのはボクだから……。
受け入れるよ、全部ひっくるめて受け入れるよ。ボクが君達を否定するからこそ、君達はボクを否定するんだろ? だからボクにぶつかったとき……ぶつかったと……き……すり抜け……ていった……。
そう……だ……ボクは……ボクは……孤独が嫌になって死んだ……んだ……。
この世界を呪って。ボクに関心のない人間達を呪って……。
孤独が嫌で死んだのに……孤独地獄に堕ちてしまったのか……。
ハハハハハハハハハハハハハハハ
せめて……せめて……今生きてる……人間を呪い殺せたら……。
2010/2




