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誠実に生きた虐げられ子の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/04/11

「オルガ、薪割りまだなの?食事抜きよ」


「そ、そんなお義母様」


 私はこの家の総領娘。でも、お母様が亡くなりお父様が再婚してから状況が変わった。


『いい。オルガ、悪いことをしたら、この毒を飲ますわよ。これを飲むと悪人は苦しみながら死ぬのよ』

『はい、お母様』


お義母様は薬草師のようだ。いろいろな薬を知っている。






「ねえ。お父様、ドレス、オルガに作らせたいけども良いかしら」

「ああ、そうしなさい。無能だからな」


 私は無能だ。ジョブなしスキルなしならまだ良い。貴族でも大勢いる。しかし、魔力無し。これは平民と同じだわ。

 でも、記憶が正しければ、お母様が生きていたとき魔力はあったわ・・・・


膨大な魔力は義妹ミミリーが持っている。時々光るぐらい放出される。

私も昔はそうだったのに・・・玄関をノックする音が聞こえる。誰か来たようね。

開けたら元婚約者だった。



「やあ、オルガ、ミミリーは?」


「・・・はい、ドルク様、お部屋にいます」

「君は何をしているの?」

「ミミリーのドレスを作っています」

「フーン」


 ドルク様、私の元婚約者だった。


私は調べたわ。魔力無しでも貴族の家門を告げる。



 義妹のドレスを作ったが・・・


「何よ!これ、みっともないわね。もっと今風のがいいわ」


 今風って何?とは聞けないわ・・・・



 私は誠実に生きると決めている。

 お母様からの教えだわ。



『オルガ、誠実に生きなさい。そうすれば女神様は助けてくださるわ』

『はい、お母様』



 お父様から命令を受けた。


「オルガ、三日断食しなさい。ダイエットだ。総領娘として出来るだろう」

「はい、お父様・・・」


 ホホに骨が見えるまでやせた。


 三日後、お義母様から命令を受けた。



「ロザリー夫人にお菓子を届けなさい」

「はい、お義母様」


 籠いっぱいの焼き菓子だわ。

 美味しそう。


 グゥ~とお腹が鳴るわ。はしたない。


 でも、少しだけなら食べて大丈夫かしら。


 気がついたら手が勝手に伸びていた。お菓子をつまんで口に入れる。


「お、美味しいわ。もう一口・・・・」


 モグモグモグ!


 気がついたらゴブリンのようにお菓子をむさぼっていた。

「はっ!叱られる。グスン・・・」



 ロザリー夫人の屋敷に着いた。


「あの・・・お菓子ですわ」

「そう・・・焼き菓子サンプル30個なのに・・5個しかないわね」

「えっ・・・」


 既に手紙で義母は知らせていたみたいだわ。


 ここは嘘を付こうかしら・・・いえ、お母様の教えが頭に浮かんだ。

 誠実に生きろと。


「はい、私が食べました。空腹に耐えられずに!」

「まあ、貴方、15歳でしょうに、こんなにやせて、これは貴方の責任ではないわね」



 許してくれたわ。


「でね。貴方の待遇を改善するようにお願いをした手紙を入れて置いたわ。夫人に渡してね」


「はい、奥様」


 スキップをしながら家に戻った。


 これで少しは食事をくれるかな。

 不謹慎だが期待してしまった。



 しかし。


「あなた!これを見て!」

「何だと!総領娘に食事を取らせなさいだと!何様だ!」


 逆効果になった。



「つまみ食いは横領だ!これは貴族院に届ける。家を継げない重大な非行かあったと告発をする!」


「そうだわ。貴女って人はどれだけ卑しいの?」

「お義姉様、みっともない」

「やっぱりオルガとの婚約破棄して良かったよ。だって」


【泥棒なんだもの】



 私は膝から崩れ落ちた。

 私はお母様の教えを破ったのね。



「今日はミミリーが総領娘を継ぐ記念日だ。パーティーを開催する。ドルク君も参加したまえ」


「はい、男爵殿」




 グスン、グスン、屋根裏部屋に籠もる。私はこれからミミリーの付属品として生きるしかならなくなった。



 そうだ。ここは潔く自害をしよう。


 パーティーの最中、夫婦共同の寝室に入る。



 ここには決して飲んではいけない毒がある。



『いい。オルガ、これは絶対に飲んではいけませんわ。毒ですからね』

『はい、お義母様・・・』



 置き場所は一度だけ見た記憶がある。夫婦の寝室を探し。


「あった。ベッドの下だわ」



「・・・お母様、今、身許に行きます・・」


 少量飲んだ。


「まあ、美味しい。毒って美味しいものなのね・・・」


 でも死ねない。


 足りないのね。

 飲んだが死ねない。


 大変だわ。パーティーが終わってお父様、お母様が来る・・・

 全て飲み干したら・・・


 ピカ!と私の体が輝いた。

 これは覚えがあるわ。


 魔力が発散する現象だわ。

 お父様とお義母様が来たわ。


「ヒィ、オルガ、何を飲んでいるの!」

「それは毒だ!」


「ええ、悪いことをしたので、飲みましたわ・・・でも死ねませんわ。おかしいですわ。体に力が満ちますわ。まるで・・・」


「昔のように・・」


 子供の頃は魔力であふれていた。

 しかし、いつからかなくなり。ミミリーに魔力が充満するようになったわね。



「お義姉様が私の魔力充填ポーションを飲んだわ!」



 まさか・・・




「お父様、もしかして、私の食事に魔力を抑える薬を入れてませんか?」


「娘が狂ったぞ。騎士よ。殺せ!」


「・・・と申されましても・・・正当防衛で戦わなければなりませんわ・・」


「「「ファイヤーボール!」」」



 騎士達が火炎を放った。

 その後の事は覚えていない。

 ただ、屋敷は火事になった。


 私は無事だった。


「全財産、失った」

「ヒィ、ミミリー、やっぱ婚約は無しだ」

「何故よ!」


「そうだわ。オルガ、魔道師の仕事をしなさい。私が・・・」


「嫌だわ。これから、貴族院に告発しますわ・・・」



 これから王都に行こう。そして職を探し生きて行こう。

 まずはそれからだわ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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