誠実に生きた虐げられ子の話
「オルガ、薪割りまだなの?食事抜きよ」
「そ、そんなお義母様」
私はこの家の総領娘。でも、お母様が亡くなりお父様が再婚してから状況が変わった。
『いい。オルガ、悪いことをしたら、この毒を飲ますわよ。これを飲むと悪人は苦しみながら死ぬのよ』
『はい、お母様』
お義母様は薬草師のようだ。いろいろな薬を知っている。
「ねえ。お父様、ドレス、オルガに作らせたいけども良いかしら」
「ああ、そうしなさい。無能だからな」
私は無能だ。ジョブなしスキルなしならまだ良い。貴族でも大勢いる。しかし、魔力無し。これは平民と同じだわ。
でも、記憶が正しければ、お母様が生きていたとき魔力はあったわ・・・・
膨大な魔力は義妹ミミリーが持っている。時々光るぐらい放出される。
私も昔はそうだったのに・・・玄関をノックする音が聞こえる。誰か来たようね。
開けたら元婚約者だった。
「やあ、オルガ、ミミリーは?」
「・・・はい、ドルク様、お部屋にいます」
「君は何をしているの?」
「ミミリーのドレスを作っています」
「フーン」
ドルク様、私の元婚約者だった。
私は調べたわ。魔力無しでも貴族の家門を告げる。
義妹のドレスを作ったが・・・
「何よ!これ、みっともないわね。もっと今風のがいいわ」
今風って何?とは聞けないわ・・・・
私は誠実に生きると決めている。
お母様からの教えだわ。
『オルガ、誠実に生きなさい。そうすれば女神様は助けてくださるわ』
『はい、お母様』
お父様から命令を受けた。
「オルガ、三日断食しなさい。ダイエットだ。総領娘として出来るだろう」
「はい、お父様・・・」
ホホに骨が見えるまでやせた。
三日後、お義母様から命令を受けた。
「ロザリー夫人にお菓子を届けなさい」
「はい、お義母様」
籠いっぱいの焼き菓子だわ。
美味しそう。
グゥ~とお腹が鳴るわ。はしたない。
でも、少しだけなら食べて大丈夫かしら。
気がついたら手が勝手に伸びていた。お菓子をつまんで口に入れる。
「お、美味しいわ。もう一口・・・・」
モグモグモグ!
気がついたらゴブリンのようにお菓子をむさぼっていた。
「はっ!叱られる。グスン・・・」
ロザリー夫人の屋敷に着いた。
「あの・・・お菓子ですわ」
「そう・・・焼き菓子サンプル30個なのに・・5個しかないわね」
「えっ・・・」
既に手紙で義母は知らせていたみたいだわ。
ここは嘘を付こうかしら・・・いえ、お母様の教えが頭に浮かんだ。
誠実に生きろと。
「はい、私が食べました。空腹に耐えられずに!」
「まあ、貴方、15歳でしょうに、こんなにやせて、これは貴方の責任ではないわね」
許してくれたわ。
「でね。貴方の待遇を改善するようにお願いをした手紙を入れて置いたわ。夫人に渡してね」
「はい、奥様」
スキップをしながら家に戻った。
これで少しは食事をくれるかな。
不謹慎だが期待してしまった。
しかし。
「あなた!これを見て!」
「何だと!総領娘に食事を取らせなさいだと!何様だ!」
逆効果になった。
「つまみ食いは横領だ!これは貴族院に届ける。家を継げない重大な非行かあったと告発をする!」
「そうだわ。貴女って人はどれだけ卑しいの?」
「お義姉様、みっともない」
「やっぱりオルガとの婚約破棄して良かったよ。だって」
【泥棒なんだもの】
私は膝から崩れ落ちた。
私はお母様の教えを破ったのね。
「今日はミミリーが総領娘を継ぐ記念日だ。パーティーを開催する。ドルク君も参加したまえ」
「はい、男爵殿」
グスン、グスン、屋根裏部屋に籠もる。私はこれからミミリーの付属品として生きるしかならなくなった。
そうだ。ここは潔く自害をしよう。
パーティーの最中、夫婦共同の寝室に入る。
ここには決して飲んではいけない毒がある。
『いい。オルガ、これは絶対に飲んではいけませんわ。毒ですからね』
『はい、お義母様・・・』
置き場所は一度だけ見た記憶がある。夫婦の寝室を探し。
「あった。ベッドの下だわ」
「・・・お母様、今、身許に行きます・・」
少量飲んだ。
「まあ、美味しい。毒って美味しいものなのね・・・」
でも死ねない。
足りないのね。
飲んだが死ねない。
大変だわ。パーティーが終わってお父様、お母様が来る・・・
全て飲み干したら・・・
ピカ!と私の体が輝いた。
これは覚えがあるわ。
魔力が発散する現象だわ。
お父様とお義母様が来たわ。
「ヒィ、オルガ、何を飲んでいるの!」
「それは毒だ!」
「ええ、悪いことをしたので、飲みましたわ・・・でも死ねませんわ。おかしいですわ。体に力が満ちますわ。まるで・・・」
「昔のように・・」
子供の頃は魔力であふれていた。
しかし、いつからかなくなり。ミミリーに魔力が充満するようになったわね。
「お義姉様が私の魔力充填ポーションを飲んだわ!」
まさか・・・
「お父様、もしかして、私の食事に魔力を抑える薬を入れてませんか?」
「娘が狂ったぞ。騎士よ。殺せ!」
「・・・と申されましても・・・正当防衛で戦わなければなりませんわ・・」
「「「ファイヤーボール!」」」
騎士達が火炎を放った。
その後の事は覚えていない。
ただ、屋敷は火事になった。
私は無事だった。
「全財産、失った」
「ヒィ、ミミリー、やっぱ婚約は無しだ」
「何故よ!」
「そうだわ。オルガ、魔道師の仕事をしなさい。私が・・・」
「嫌だわ。これから、貴族院に告発しますわ・・・」
これから王都に行こう。そして職を探し生きて行こう。
まずはそれからだわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




