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実戦式魔法訓練と同時魔法

バトルって難しいですね。




それではどうぞ

「『風神の聖域』」


 俺は戦闘が始まると同時に防御用の魔法を使う。

 相手は地の超特化型、地は全属性の中で一番用途が広い。炎属性は炎を司り、水属性は水を司る、地属性が司るのは地だが詳しく言うと物質変化と操作だ。  固体を操れる地の基本的な闘い方は敵の足場を崩し、多方向からの波状攻撃型が多いが……

「燃えてきたぜ!!」

 レイがゆっくりと近づき、そう言いながら制服の内ポケットから銀の延べ棒を五本ほど取り出している。「小手調べは無し、最初から全力で行くぜ! 錬成『シルバースピア』」

 レイが唱えると五本の延べ棒は一瞬にして一つに合わさり、槍状に変化する、その槍は鋭く、鈍い光を放っている。「それじゃあ、行かしてもらうぜ」

 レイは鋭い目付きに変わると俺に向かって一気に突っ込み、最速の突きを連続で行う。

「うらうらうら! どうした! こんなもんかよ!」

 俺は槍の軌道を『風神の聖域』で剃らし、致命傷は避けているが、既にあちこちに傷が出来ている。

「このままじゃヤバイなっと、フィストスタイル『風駆』」

 俺は一端レイから距離を取り、槍の攻撃範囲から離脱する。

 まずいな……『風神の聖域』じゃあ槍を防げないか。

「魔法使いが1人で魔法を使う場合は原則的に1つしか使えない。別の魔法を併用すると別々の演算を頭の中で同時にしなきゃいけなくなり、脳に負担が掛かるからな。だがセカンドブレインに演算を肩代わりしてもらうことにより、同時魔法と威力の高い魔法が可能となる。そうだろ? そんな風じゃ俺の槍は防げない、本気で来いよ。俺はお前の全力と闘いてぇんだ。セカンドブレイン要らずの『風神』リアンさんよう!」

 確かに同時魔法も大技も使えるけどな。てかよくそれは覚えてるなお前。

「嫌いなんだよ。フェアじゃない感じで、それにレイの言う通り俺の『風神の聖域』じゃあ槍は防げない、もともとこれは物質系と相性が悪いからな。だけど、これなら……『風神の聖域』変化魔法『風神の手甲』」

 リアンが纏っていた風が両手に集約され、あらゆる方向に渦巻いている。

「来いよ。お前の槍は全て受け流す、これでもダメならお望みどおりにしてやる」

 半身の構えを取り、攻撃に備える。

「へっ! なら出させてやるよ! 行くぜ!」

 さっきと同じく、レイは突きを繰り出す。

 だが今回は……リアンが側面から槍に触れると大きく軌道が逸らされたのだ。

「なんだよこれ!?」

 レイは驚愕する。さっきまでリアンは致命傷にならないように逸らすのが精一杯だったのに今回はまったく擦りもしないからだ。

「バリエーションだけは豊富でね! この『風神の手甲』は手に高密度の風を纏わせ、弾くことに特化した魔法だ。お前の槍はもう意味を成さない」

 『風神の聖域』は炎と風の防御に特化した魔法、そして『風神の手甲』は聖域の応用魔法で、武器相手に特化した魔法だ。聖域とは違い、ある程度本人の技術も必要となるため、誰しもが使える訳ではない。

「ちっ! 確かに今のままじゃ受け流され続けてカウンターを受けちまうな」

 やはりレイは戦闘に関してだけは鋭く頭が回る、厄介だな……そう考えているとレイはいきなり距離を空けて槍を構える。

 あの行為に何の意味がある?考えろ。 

「……今のままだとな! 『シルバートランス』」

 槍は形状を変え、6つの浮遊する玉となる。

 あの形状は見たことがないな。レイの新しい魔法か。

「ナンバー1・2・3『ニードル・トラップ』ナンバー4・5『シルバー・ナックル』ナンバー6『パート・シールド』」

 浮遊する玉の3つは俺の周りに漂い、1つはレイの周りに漂う、残りの2つはレイの拳を包みこんだ。

「おいおい……これは同時魔法じゃないのか? いつの間にマスターした……いや、どんなタネがある?」 同時魔法は先ほど説明した通り、別々の演算を同時に行わなければいけない。 この条件をクリアするためには、最低でもマルチタスク能力が必要だ。

 そんな頭を使う能力をレイに習得は可能なのか?

 答えは否。

「リアンの読み通りこれは同時魔法だが同時魔法じゃない。答えは勝ったら教えてやるよ」

 同時魔法だが同時魔法じゃない……か。

 情報が足りない現状じゃ答えなんか出るわけない。

「そういうふうに引っ張られると俄然燃えるな。絶対に吐かせてやるよ」

 レイ(バカ)に教えてもらうのは癪だが気になるからな。

「だから勝たせてもらう! フィストスタイル『風駆』」

 俺は『風駆』を使い、レイとの距離を一気に詰める。

「『風神の聖域』変化魔法『風神の手甲』」

 何にしても闘わないと始まらない。

「リアンはやっぱりそうこなくちゃな! うらぁ!」

 レイが渾身の力を込めて殴りかかってくる。

「変化魔法『風推手』」

 リアンの手にあらゆる方向に渦巻いていた風はリアンが唱えると一定の方向に渦巻きを変えた。

 そしてリアンがレイの拳を受け流すように合わせると、さっきまで弾かれてたのに今度は逆に引き寄せられたのだ。 

「何!?」

 レイは予想外のことに驚き、体はそのまま引き寄せられる。

「『風推手』は流れに逆らわず、相手を引き寄せる。そして! フィストスタイル『風打掌・螺旋』(ふうだしょう・らせん)」

 レイを引き寄せ、そのまま側面に周り、螺旋状の風を纏った掌打を横腹に浴びせる。レイはそのまま吹っ飛び、倒れたまま動かない。『風打掌・螺旋』はインパクトの瞬間に捻りを加えた掌打と螺旋状の風を相手に打ち込む技で、その威力は拡散せず、面ではなく、一点に集中した攻撃となる。

「俺の螺旋は体の中に入り、内臓系にダメージを与える。でもこれで終わりじゃないだろ? 早く立てよレイ」

 内臓系にダメージがいっていたら普通の人なら立つのも困難だ。だがしかし。「ばれてた? てかお前内臓はヤバイって! 一応これは訓練だからな?」

 何事もなかったかのようにレイは立ち上がる。

 予想はしてたけどちょっとショックだった。

「大丈夫だ。後遺症は残さないようにしたから、それよりお前の槍のほうがヤバイだろ! 一歩間違えたら死一直線だからな!」

 槍はヤバイって、俺の身体中浅いけど傷だらけだし。

「まぁそんなことはどうでもいい。まったくダメージ受けてないじゃないか?」

 そう、レイは何事もなかったかのように立ち上がった。それが不思議でならない。

「玉だよ。ほら」

 レイはリアンが突いた横腹を見せると銀色に光っていた。

「『パート・シールド』は俺が思った場所に銀の盾を作る。一部だけだけどな」 なるほどね、銀の盾に守られて内臓にはダメージがいかなかったわけか。

「なかなかに厄介な能力だな……」

 普通に感心した。レイが攻撃だけでなく防御にも気がまわるとは思ってなかった。

「お前の風のほうが厄介だろ! なんだよそれ! 近距離戦無理じゃん!」

 まぁ確かに俺のを破るのは難しいけどね。

「でもちゃんと近距離戦でも弱点あるよ」

 あっさりとした感じで言う。

「マジで!? 何だ弱点って!?」

 こいつはバカか? あっ、バカだった。

「敵に教える訳ないだろ、不利になるからな。俺に勝ったら教えてやるよ。」

 当然のことを言う俺、当たり前のことだからな。

「なら勝ってやるよ。ナンバー4・5『シルバー・ボウ』錬成『ストーン・アロー』」 

 レイは銀の弓と石畳から矢を作る。

「近距離がダメなら遠距離で行くぜ! 『ストーン・ニードル』」

 リアンの足元から石で出来た針のようなものが飛び出す。

「これくらい避け「発動!」」

 俺が『ストーン・ニードル』をかわすと同時に今まで何の動きも見せなかった銀の玉が針状になり襲ってくる。

「くっ!」

 リアンは躱し切れず肩に刺さる。さらには矢の追撃がリアンを待っていた。

 リアンは体を捻り、矢を間一髪のところで躱すことに成功した。

「三重の攻撃だったのに1つしか当たらないとはな〜、俺のとっておきだったのに、へこむぜ」 

 そう言いながらもレイの顔はにやけていた。

「何言ってんだよレイ、顔がにやけてるぞ。」


「だってよ、ワクワクしねぇか? 条件はクリアしたんだぜ」

 やっぱり気付かれてるか。

「そうだな。レイが遠距離で来るなら俺の『風神の手甲』は使えない、使っても『ニードル・トラップ』が来るからな。約束通り俺の本気を見せてやる」

 レイには驚きっぱなしだよ。本気を出そうか。

「風術『風神の令』を行使、レイの周りの酸素濃度を上げよ。知ってるか? 酸素が多いところで火を使うとどうなるか?」

 俺がそういうのと同時に思惑に気付いたのかレイが駆け出す。だが今さら遅い。

「風火術『爆』」

 レイの辺りに爆発が生まれる。

「ちっ! 全ナンバー『オーバーシールド』」

 レイはバックステップをしながら銀を総動員して大きな盾を作り、辛くも防ぎ切る。だが…

「意味ないな……風火術『爆・波走り』」

 俺は目標の周りの酸素と言った、それは常に適用され、目標が動いても酸素の道が残る。

 そして……

「その道をたどり、連鎖的な爆発が起こる」

 辺りはまばゆい光に包まれた。




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