授業〜魔法理論と魔法管理局員
倍くらい書けた。
アドバイスや誤字脱字のご指摘、感想をお待ちしています。
それではどうぞ
3−Sクラスの教室、SクラスのSは魔法使いとしてのランク分けである。クラスは、C、B、A、Sがあり、下からファースト、セカンド、サード、テトラの教室となっている。
そしてSクラスの教室には生気の抜けた4人だけがいた。
「「「「疲れた〜」」」」 俺ら4人は教室の机に突っ伏している。
理由はもちろん先ほどの喧嘩の後始末。
クレーターの修復に植木の植え直し、花壇に畑にその他にも色々あった。思い出しただけで疲れる。
そんな風にだらけながら過ごしているうちに授業開始のチャイムが鳴り響き、同時にダリス先生がやってくる。
「授業始めるぞ〜」
この先生はダリス先生だ。30代前半くらいで温和な性格をしているが、授業の時は質問地獄をしてくる。
「それじゃあ、今日は先週の魔法理論の復習から入る、リアン君、まずは体に取り込める属性の種類を答えなさい」
ほら早速きたよ、なんて嫌な先生だ。だらけてるのをわかっているくせにわざわざ俺から指すとは、真面目なユウナだっているだろうに、仕方ない。
「体に取り込める、つまりDNAの中に取り込める属性は炎、水、雷、地、風の5つです」
まぁ余裕だから問題ないがな。
「よろしい、次は何故この5つが取り込めるかの理由を……レイ君」
そんな俺の答えに満足したのか、対象をレイに変えたようだ。
「…………奇跡?」
レイは正解の可能性があると思っているのか、恐る恐る答える。
「ふぅ、そんなことじゃこの先大変ですよ。それではフィリアさん」
そんな答えに呆れたのか首を左右に振り、フィリアに質問をする。
「はーい、理由は科学の進化、炎などの情報を原子レベルにまで分解し、そして組み込むことによってレイジが使えるようになります」
フィリアは自信満々に答える。
「うーん、惜しいですね、確かに科学の進化も理由の1つですが、それではレイジを使える理由になっています。ユウナさん、お願いします」
それも違ったようで、最後に優等生なユウナに回す。
「わかりました。人間が炎、水、雷、地、風を取り込める理由は人類が最も慣れ親しんでいるものだからです。地と風は人類が生まれる時からあり、水は人体を構成するためのもの、雷、つまり電気は体を動かすために必要なもの、炎は人類が進化するために必要だったもの、つまり、遥か昔から人類が五感で感じていたものが取り込めます」
淡々とした口調で答えるユウナ。
「正解です。レイ君、ユウナさんを見習うように」
ユウナの答えに満足した先生はレイを戒めるように言う。
「あいあいさ〜」
レイはもう飽きたのか手をひらひらさせながら聞き流している。
「それでは……リーザ先生、どうかしました?」
突然教室に入ってきたリーザ先生、何やらダリス先生に耳打ちをしている。何かあったのか?
話しが終わったらしく、リーザ先生は足早に帰って行った。
「今日はどうやら魔法管理局員がこの学園に来ています。なので授業は急きょ、魔法理論から実戦に変わります。10分後に闘技場に集まってください」
どうやらお偉いさんが学園に来たようだな。
「いゃっほう! 実戦だぜ! 闘いだぜ! バトルだぜ!」
魔法理論が死ぬほど嫌だったんだろう、バカ(レイ)が1人狂気乱舞していた。 俺は疲れてるっつーのに、何て体力だよ、戦闘狂め。「はぁ、実戦かよ、疲れるな」
俺はため息とともにやる気も吐き出す。もともと無かったが。
「何言ってんのよ? 退屈な授業よりスリルに溢れた授業のほうが良くない?」 ここにもいたのか戦闘大好きっ娘め、授業が始まる前の疲れたはどうした?
「おそらくは実力を測るために魔法管理局の方が提案したのでしょう、そして一番優秀な私たちが選ばれたわけですか」
ユウナが独り言なのか話し掛けているのかわからないがまぁ十中八九そうだろうな、まったく、俺らは見せ物じゃないのに。
「早く行こうぜ!」
レイは待ちきれないないのか、俺らを急かす。仕方ない……か。
「そんじゃ、お望みどおり実力を見せてあげますか」
そうして俺たちは闘技場に向かった。
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闘技場は円形に並ぶ観客席、その中央にはだだっ広い石畳が敷かれている。イメージ的にはローマのコロッセオを想像していただきたい。勿論、観客はいない。
俺たちは闘技場にたどり着き、闘技場の中心にいるダリス先生に声を掛けた。「やっと来ましたね。それではこれから実戦形式の魔法訓練を始めます。今回はゲストとして魔法管理局のクリス・パーシアス管理員と妹さんのリズ・パーシアスが来ております。これは訓練ですが、学園の恥にならぬように頑張ってください。」
リズとクリス……どこかで聞いたような?
「リズ・パーシアスとクリス・パーシアス!? なんでそんな有名人が来てるのよ」
フィリアは驚愕したようで、悲鳴のような声をあげていた。
「フィリアは知ってるのか?」
よかった。フィリアは知ってるみたいだ。
「あんたわからないの? 最年少の管理局員、兄のクリスは2年前、16歳にして管理局にその才能を買われ、管理局入りを果たしたレイジ使いの天才、妹のリズは今年15歳、だけど兄と同等の才能と優れた演算能力を持ち、来年から管理局入りを約束されているのよ」
俺に分かりやすく教えてくれるフィリア、呆れている表情は俺には見えない、軽蔑するような目なんか絶対に見えない。
「そんなに凄い実力者なのか、ん〜、でも違うな、俺はもっと前に聞いたことがある気がする」
「お兄ちゃん!」
ふいにそんな声が後ろから聞こえた。誰かが走って近づいて来る。
「グハッ!」
訂正、突っ込んで来た。「会いたかったよ〜、お兄ちゃん」
顔をうずくませ、涙ぐみながら小さな少女はそう言ってくる。
だがしかし。
「俺に妹はいないぞ? 人違いじゃないか?」
俺に妹はいない、これは事実。今は……ってかずっと両親がどっかに旅してるので、俺は1人暮らしだ。「ひどい! お兄ちゃんはリズがまだ小さかった頃一緒に遊んでくれたじゃない!」
小さい頃……あぁ、思い出した!
「リズか!? 大きくなったなぁ〜、ていうことは……」
俺はあいつの顔を思い出しながら後ろを見る。
「お久しぶりです。リアンさん」
昔と変わらない堅苦しい言葉使い、忘れもしないさ。
……さっきまで忘れてたのはご愛嬌。
「クリス! 久しぶり! 10年振りだな、しかしびっくりしたぞ、管理局員になったんだってな」
やっぱりクリスだった。俺は嬉しさを隠しきれてないだろう。声が弾んでいたのがわかった。
「既に2年前の話しですけどね、本当は僕1人の予定だったのですがリアンさんがいることを話したらリズが駄々をこねまして、仕方ないからリズは学園の見学者として連れて来たんですよ」
クリスも笑顔を浮かべながら話す。
「そうだったのか、しかしお前のその言葉使いは相変わらずだな。見た目は変わったけどな」
10人に聞いたら全員がイケメンと言うであろう顔立ちに髪型は耳がかぶるくらいの長さでストレート、色は少し赤みがある茶色だ。
「これは地ですから、それに尊敬するリアンさんだからこそですよ。リアンさんがいなかったら今の僕はありえませんから」
苦笑しながら答えるクリス。
「でも同い年なんだしもう少し崩してもいいじゃないか」
それでも俺は食い下がる。敬語はムズ痒いからな。「尊敬に歳は関係ありません、しかしどうして何も言わずに引っ越したんですか? リズを宥めるのに苦労したんですよ?」
手を横に振りながらやんわりと断る。水掛け論になると思ったのか、話題を切り替えてきた。
「あぁ、それは……」
「リズを無視しないで! ずっと寂しかったんだから……」
リズが会話に割り込んできた。
俺の服の裾を掴み、涙目に言ってくる。
「ごめんなリズ、何も言わないでいなくなって」
俺はリズの頭を撫でながら言う。
「しかし昔から可愛いかったがますます可愛くなったなぁ」
見事としかいいようのない金髪の髪をツインテールにして、顔立ちもさることながらそのあどけない表情と仕草で可愛いらしさにさら拍車を掛けている。
「えヘヘ、そう? でもこうして会えたし褒めてくれたから許してあげる!」
どうやらリズから許してもらえたようだ。よかったよかった。
「おいリアン、こいつらは知り合いなのか?」
レイが聞いてきた。まぁそりゃ気になるか、みんなが言う有名人と俺が知り合いだったらな。
フィリアとユウナも驚いた表情のまま固まっている。なかなかに面白いな。
「悪いな、久しぶりの再会に盛り上がってしまった。こいつらはクリスとリズ、俺が小学校の時の友達とその妹だ。俺が8歳の時に引っ越したから10年振りの再会なんだよ」
俺は初めに軽く紹介をした。
「挨拶が遅れてすみません。クリス・パーシアスと申します。以後お見知りおきを」
クリスが少し慌てたように自己紹介をする。
「リズ・パーシアスです! よろしくお願いします!」
リズが元気よく続く。
「よろしくな! 俺はレイ・クロードだ! レイって呼んでくれ」
レイも自己紹介をする。既にくだけた話し方だがこちらのほうが親しみやすいだろう。
「私はフィリア・クランベル、よろしくね。リズちゃんもよろしく」
クリスとは握手をしながら、リズには手を振り挨拶をする。
「私はユウナ・ハーティリーです。よろしくお願いしますね、クリスさん、リズちゃん」
各々の自己紹介を終えるとそのまま俺のことを置いていき、俺の話しで盛り上がる。昔の俺の情報と今の俺の情報を交換しあっているのだ。
「リズ達とお兄ちゃんが初めて合ったのは、お兄ちゃんが私たちが通っている八極拳の道場に道場破りしに来た時なの、でもやっぱり師匠には勝てなくて……」
はっきり言ってかなり恥ずかしい、言っても聞かなそうだし……どうにかしてこの状況を打破する切り札はないのか。
「んっ!んんっ!」
その時、明らかにわざとな咳をする人がいた。
すっかり忘れていたが今は一応授業中なのだ。
「リアン君がクリス管理局員と知り合いなのはわかりました。ですが今は授業中ですので、積もる話しは後でにしてください。」
妨害したせいか、少し苛立たしげなダリス先生、俺の中の好感度が一気に上がりましたよ。
「そうですよね! 授業はしっかりとやらなきゃいけないですよね! さっそく始めましょう」
みんなは渋々といった感じで先生の話しを聞いている。ざまぁみろ。
「それでは、そうですね、リアン君とレイ君の模擬試合をしましょう」
俺とレイか。
「「わかりました」」
俺とレイは左右に別れ、戦闘準備をする。他の人達は観客席のほうに向かう。 さて、どう闘うか……
ん?
「クリスどうした? リズが観客席で待ってるぞ」
クリスが観客席に向かわず、こちらに近づいて来た。
「僕はさっきまではあなたの友達のクリスでした。ですが仕事でこちらに来ているので今からは管理局員のクリスとして見させていただきます」
なんとも律儀なやつだな。そんなこと言うために来たのか。
「わかりました。それではクリス管理局員、今から特とご覧に入れましょう。俺の実力をね」
俺は紳士的な態度で一礼をしながら言った。
「楽しみにしてますよ。成長した『風雷神』の実力をね」
懐かしいあだ名だな。そういえばそういう風に呼ばれてたっけ。
「みんなにはそれのこと内緒にしてくれ」
俺はクリスに頼む。
「なぜです? あなたの魔法をみたら誰しもが思いつくことでしょう?」
確かに昔と同じならこの学園でもそう呼ばれることだろう。
だけどね。
「ちょっと事情があったからな、今は封印ってか隠してるんだよ、今は風を主に使い、状況によって炎と水を使い分けるただの『風神』だよ」
そう、今はただの『風神』だから、知らなくていい。今はまだこの日常を謳歌していたい。
「それでは! 模擬試合を開始します。クリス管理局員は席に戻って下さい。」
何か言いたげだったが、クリスは諦めて観客席に戻る。
さて、今は目の前のことに集中集中。
「双方準備はよろしいですね?」
「「はい!」」
俺とレイは同時に答える。
「それでは……試合開始!」
次回からやっと本格バトルだぜ!
それではまたよろしくお願いします。