風紀の仕事
早めに投稿〜
それではどうぞ
「先に行く! 後から来てくれ! フィストスタイル『風駆』(ふうく)」
俺は『風駆』を使い、加速する。
大事になる前に間に合えばいいが……
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「なんだよこれ……」
校庭の地面にあちこちクレーターができ、植木はめちゃくちゃ、怪我人らしい人がいないのは不幸中の幸いだな。
奥を見てみると2人がレイジを行使していた。元凶はあの2人か……
「お待たせ、現状は?」
フィリアたちが息を切らせながら、少し遅れてやって来た。
「見てのとおりさ、元凶はあの2人だ、属性は見たところ風と火だな」
まったく、あの爆発音は風側のコントロールが下手なせいだな、酸素濃度が上がるから火の威力が上がって爆発が起こる……上手く使えれば武器にもなるのに、中途半端だから危険になる。
ぶっちゃけ止めるの面倒くさいんだけどね。
「私行こうか?」
フィリアがやる気満々な表情で言う。こいつちょっとあぶねぇ。
「いやっ、俺が1人で行く、風使いさん達を捕まえるついでに講習会でも開こうかね。それにセカンドブレインもつけていないから余裕だよ」
セカンドブレイン。
魔法使いが大技・同時に別の魔法を使う時の演算を肩代わりするもののことだ。
だから必然的に相手は大技を使えないし多方向からの攻撃もない……多分。
「じゃあ行ってくる」
まぁとりあえずは喧嘩から止めますか。被害がでたら大変だしね。
「フィストスタイル『風駆』」
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まったくもって面倒くさい、子供じゃあるまいしなんで喧嘩なんてするのですかね〜。
「うらぁ、『ウインド・カッター』」
「しゃらくせぇ! 『ファイア・レイン』」
無数の刃に雨のように降り注ぐ炎の玉。
それを見た生徒達が息を飲むなか、俺は双方がぶつかる中心地点にたどり着いた。
「ふぅ〜、ギリギリ間に合った」
俺は両手を伸ばし、手を銃の形にする。
狙うは風の刃と炎の玉、撃ち損じは許されない。
「ガンズスタイル 『嵐弾』(ストーム・バレット)」
指の先から弾のようなものが高速で撃ち出され、無数の刃と雨のように降り注いでいた炎がとたんに消えてゆく。
その鮮やかさとスピードにみんなは何が起こっているかわからなかったが、その光景に唖然としていた。「お前らいい加減にしろよ! 周りの被害のことも考えろ、そして風使いの君! 刃の構成が甘くて相手に届く前に消えてたのがあるぞ、もっとイメージしろ、風の刃は鋭く、速くが理想だ。炎の君はなぜその魔法を使った? おそらくは数には数をということで使ったと思うが、狙いがつけられなくて博打気味だぞ、自分に当たるものだけを消せばいいんだからもっと頭を使いなさい」
よく息継ぎなしで言い切った。偉いぞ俺。しかし危なかった……もうちょいで関係の無い生徒にまで危害が及ぶところだったな。
しかし俺の教えはやつらに届いたのかね?
大抵の場合は……
「うるせぇ! 引っ込んでろ!」
「邪魔すんじゃねえよ! お前から燃やしてやろうか」
はいこのとおりです。頭に血が上ってそれどころじゃありませんね。
実力差どころか俺が誰かもわかってないし。
仕方ない、言ってもわからない子にはきつーいお仕置きをしなきゃね。
「はい? 申し訳ないのですが私は人語しかわからないので出来ればそちらで話していただけ……あぁ、すみません、喋れないからわけのわからない言葉を発しているのですね。先ほど基礎中の基礎を言ってあげたのですが君たちの脳ミソじゃ理解ができないのではなく、言葉が理解できなかったわけですか、バカ共め」
軽ーく挑発、この丁寧な口調がムカつくんだよね。
「「ぶち殺す!」」
すぐに2人は反応し、予想どおりに怒ってくれた。やっぱり単純バカ共だ……「潰れろ! 『ウインド・ハンマー』」
風使いが俺にレイジを放つ。さっきよりは構築力もいいな。こっちのほうが得意ってわけね。でもやっぱり甘い。
「灰になれ! 『フレイム・ボール』」
炎のほうはサイズがでかい、大きければいいってもんじゃないのに。まぁ、精神的なプレッシャーは与えられるけど。
別に使わなくても余裕だが、実力差をわからせるために使いますか。
「『風神の聖域』」
そう唱えるとリアンの周りに風が吹き始め、風を纏うような姿になる。
「まず風使いに対しての教えその1、風は全属性の中で一番扱いが難しい、理由は目に見えず、肌で感じるしか風を知る手段がないためイメージがしづらいから、レイジは自分のイメージと風の流れなどを計算する演算能力によって強さが変わる。つまり同じ属性使い同士で戦う場合、取り込んでいる個数にもよるが基本はイメージ力と演算能力が高いほうが勝つ」
リアンに向かって放たれた風のハンマーが当たる直前で霧散する。
「風使いに対しての教えその2、君の風のハンマーは脆い、至るところに綻びがあり、そこを突けばこのとおり霧散する、ハンマーを構成するならもっとハンマーのことを知れ、そうすれば自ずと綻びも減る、そして俺の『風神の聖域』は自動的に、的確に攻撃を防御する。」
俺は風使いに講義を行う。やっぱり勉強は重要だもんね。
「もらったぁ! 灰になれ」
その刹那、炎の玉がリアンに迫っていたがこれも直前で消えてしまう。
「炎使いに対しての教えその1、高レベルの風使いと戦う時は近距離で戦うこと、遠くからだと炎が燃えるために必要な酸素をカットされるから、そしてその2……フィストスタイル『風駆』」
驚愕して立ち止まっている炎使いの前に一瞬でリアンが現れる。
「バリエーションが少なすぎ! フィストスタイル『風打掌・速』(ふうだしょう・そく)」
俺は炎使いに風で加速させた掌打を腹に入れる。
炎使いは五メートルほど吹き飛び、痙攣していた。……やりすぎた?
「フィストスタイルにガンズスタイル……お前まさか」
風使いが信じられないとでも言うような表情しながら尻餅をつく、おっ! やっと気付いてくれたか。
「学園の風紀委員長であり、人間離れした演算能力とマルチタスク能力を持ち、独自に開発した様々な状況に対応できるスタイルを使うという『風神』リアンか!?」
説明口調でありがとさん、いつ聞いても恥ずかしいよね『風神』って……
でもちょっと嬉しかったりして。
「後つけ加えるならセカンドブレインを持っていないってことかな。そういうことでリアン講座は終了〜、授業料は生徒指導の人からの罰で〜す」
これにて一件落着! こいつはもう戦意ないし1人は気絶してるしね。
「お疲れ様です、リアン」
「お疲れー、リアン」
「リアンどうだったよ? あいつらは?」
みんながそう言いながら駆けよってくる。
「ありがとう、あいつらの練度は低くかったな、構成も中途半端だったし、基礎も出来てなかったから一年生だろ」
っても、全国から才能のある子供を集めてる学園なだけあってランク的にサードはあったけどな。
「ご苦労様です。リアン君、処罰対象の人は?」
話し掛けてきたのはリーザ先生だ。
金髪を結い上げてちょっとつり目な眼鏡は堅苦しく、厳しいものを想像する。 実際そのとおりだが。
「あそこの2人です」
俺は炎使いと風使いの2人を指を差しながら言った。
これでやっとおわ……
「わかりました。それでは連れて行きますので風紀委員の方々は後片付けをお願いします」
り? マジで? こんなクレーターだらけなところをたった4人で片付けろと?
「それじゃあよろしくお願いします」
そう言ってリーザ先生は2人を連れてどっか行った。
「「「「不幸だ!」」」」
こうして波乱の昼休みが終わった。
初バトル……なのか?
一方的な展開になってしまったよ
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