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自由な選択肢 怠惰編

作者: 十鼎真珠

ある日トイレに行こうとすると、横の廊下の壁に見覚えのない扉がありました。何を考えてたのかは知りませんが、妙に扉に魅力を感じて入りました。入らされたのかもしれません。扉を通り抜けるとそこはまっしろな部屋でした。おっきな扉が反対側の壁にに3つ、並んでいたんです。それ以外は何もなく。びっくりしました。こんな部屋あるわけないんだもん。戻ろうとドアノブに後ろ手で触ろうとすると、バカにしたように空気が嘲笑ってくるんです。戻れないんですよ。今更のようにパニックになって、泣いたんですよ。大声で。大の大人が。脳がショートしたのかな。まぁ疲れてたし。なんか現実離れしてて変に安心してたかもしれないです。泣いてるうちに寝てしまったようです。夢であってほしかったかもしれないです。起きたら現実を見せつけるように大きな扉たちが立ちはだかっていたから、辛かったなぁ…、でも、直感で選ばなきゃだめなんだろうというのは感じとってはいました。よく見たら、扉にそれぞれ漢字が書いてあるんです。左から、「体」「頭」「黟」本当に何もわからなかったので、「体」を選びました。また同じ。もう戻れないし、扉が3つ。今度は「注」「両」「惰」。なんでしょうねこれ本当に。わからないですが、「惰」は少し魅力的でしたね。いい匂いがするんです。でも直感がビンビンに拒否してたんですよ、不思議ですね。私は誘惑に弱かったので、行っちゃったの、それがまずかったかな。その部屋に入ると、あまーいガスが充満してたの。吸ってたら気持ちよくなって、また寝ちゃった。羽毛に包まれたような感覚で起きたらさぁ、目が見えなくなってるの。もうまたパニックでさ、泣いたんだよ。泣いても視界が滲まないなんて初めてだったなぁ。どうせまた扉あるじゃん。なんも見えないんだからやけになって扉を開けたの。左か右か真ん中かなんてもうわからんし。次の部屋は、足元が泥で、移動にとても苦労した。底なし沼みたいでさ。下手したら死んでたかも。餓死とかで。なんとか運良くたどり着いて次の部屋入ったら、なんもない。安心して次への扉を探したら、全然たどりつかない。いくら壁沿いに歩いても。歩いて歩いて歩きました。1歩歩くごとに意識が遠のいていったの。おかしくなる。心に鞭打ち扉にたどり着くために乾燥した無意義な時間を過ごしたんです。気が触れかけた頃、手がドアノブに当たりました。感動や達成感なんてありゃしない、ただただこの砂漠のような憂鬱な旅路に終止符を打つことしか目の前にありませんでした。残ったわずかな力で扉を押した瞬間、吸い込まれるようにして気づいたらここにいました。ここはどこか?知るか。訊くなら神にでも訊け。ばーか。俺はこの無の世界で最悪な旅の思い出だけを抱えてずっと残るんだよ。お前も堕ちてこいよ。楽しみにしてるからな。


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