彼女との出会い
最後まで読んでいただけるとありがたいです。
「本日開催されたエリザベにート王妃国際音楽コンクールピアノ部門で小宮律くん7歳が受賞いたしました。これは世界最年少であり、日本人50年ぶりの快挙となります。」
「小宮律くん、どんな気持ち?」
「ご両親に何か伝えたいことは?」
「日本に帰ったら何したい?」
「とても嬉しいです!パパとママにはありがとうって伝えたいかな…!日本に帰ったら…うーん…なんだろ…ピアノかな…ずっとピアノ弾いていたいんだ僕!」
「いやー、7歳で受賞とは凄いですね!日本に帰ってもピアノを弾きたいと言える程、ピアノが好きなんですね笑」
「速報です。堀首相が隣国で起きている侵攻に軍を派遣する事を発表しました。」
その1ヶ月後、本格的に日本も戦争に加わり
突如2024年、平和は終わりを告げ第三次世界大戦が始まった。
それから、俺の生活は一変した。
空襲で家は燃え、ピアノも無くなった。
当時7歳の僕には、まるで地獄のようだった。
その地獄は8年間続いた。
そして、日本は戦争に負けた。
日本は大国パンライズンの統治下におかれパンライズンの軍組織「シャングリア」に支配されていた。
父親は、資産を渡す事を拒み「シャングリア」に処罰され
のちに、母親は自害した。
俺は15歳の孤児になり窃盗を繰り返して廃墟の一角に隠れるように生きていた。
ある日、いつものように帰ると誰かが折り重なるように倒れていた鉄柱をどかし見覚えのない扉が現れていた。
近づくとピアノの1音と歌声が聞こえた。
恐る恐る、扉を開けると1人ポツンと少女が歌を歌っていた。
その少女は体には合っていない大きいサイズの日本軍の軍服を着ていて、まるで人形のようなだった。
俺は、気づくと彼女の隣に座り一緒にピアノを弾いていた。
8年間…とても長い間ピアノはおろか音楽にも触れていなかったとは思えない程指は自然と動き初対面の彼女の隣で聴いたことのない曲に合わせて伴奏をしているこの状況に俺は驚きを隠せなかった…
ただ、それ以上に驚いた事は彼女の歌声だった
とても綺麗で暖かく実に天使の歌声のようだったのだ。
「この曲は?」
「分からない…。ピアノの鍵盤を押したら自然と出てきたの。」
彼女は、この曲以外、名前も出生も何も覚えていなかった。
僕が分かる彼女の事は19025番と手首に彫られている事だけだった。
彼女のお腹の音が鳴る
「何も食べていないのか?」
静かに頷く彼女
「美味しい?簡単なものしか出せないけど…」
「美味しい…」
「食べたら、その服は着替えたほうがいい。シャングリアの処罰の対象になる可能性が高いからな。」
「分かった…」
一体誰が彼女に番号を与えたのだろう
この服は彼女が自分で得たものなのだろうか…
ただ、僕は彼女の事よりもたった一回聴いたあの曲に魅了されていた。
誰が作ったのか、どんな人が歌っているのか…
最低だとは思うが、彼女の事よりも歌の事が気になって仕方ないのだ。
「さっきの曲、色んな人に届けないか?そうすれば…君の事もわかると思うんだ」
「…どうやって届けるの…」
「いや、何でも無い。ご飯のお礼だと思ってもう一度あの曲を歌ってくれない?」
僕は勝手に彼女の歌を声をインターネットに上げる事にした。
「あー、名前が必要なのか…よしこれにしよう」
僕は、この曲の題名、アーティストが分かれば良かった。
ただ、この行動がこの先の自分の人生を
いや、彼女の人生さえも大きく変えてしまう事になるとは考えてもいなかった。
??「この声は…今すぐこの少女の居場所を突き止めろ!」
最後までありがとうございました。
彼女は一体何なのか。??は一体何なのか。アーティスト名は何なのか。
謎に包まれた1話だったと思いますが、2話で少しずつですが分かることが…
次回作も楽しみにお待ちください!