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2030年の少女  作者: 新浜 星路
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幼児教育ロボット

「私の親戚、子供生まれたんだよね」

亜沙子、学校の帰り道でぽつりと言う。

たったそれだけの事で、いや未樹にとってはそれだけのことではないが

いつもの不安症発症。

「まさか……」

「……うん、幼児教育ロボット使うみたい」

幼児教育ロボット。それは、子育てする余裕がない、また保育園も過密状態で

いれる余裕がない現代人が使うロボット。

「えええええ、そんなのだめだよ。愛がない子供が育っちゃうよ! その子が

思いやりって言葉も知らないままになっちゃうよ」

「まあ、でも両親忙しいし、仕方ないよね」

「仕方ない? 仕方ないってなによ? 責任を持って育てられないならいつの時代も産んじゃだめなんだよ、その子が可哀想。ずっとロボットに育てられたってことコンプレックスに思うわ」

「え、でも周りも同じだからそういうふうにならなくない?」

亜沙子、一般論にならない一般論をいってしまう。周りが同じだから大丈夫、という返答に周りが死んだら自分も死ぬというのか? そしてこの質問に対して「極論だ」というが、「その極論」すらも所詮枠の内という事に気づかない日本人はたくさんいる。その思考が一瞬で未樹の脳内でグルグル巡っていく。

「あーごめん、こういう言い方嫌いだよね」

亜沙子、未樹の不安ロジックを察する。

「なんかさ、ニュースで子供を親が殺しちゃうニュースあるじゃん。あれって何が原因だと思う?」

「20歳ぐらいだったら理由があるかもしれないけど、40過ぎたらいい年して親に逆ギレかって思っちゃうな」

「でもさ、それを遡っていくと……」

「あーはいはい、未樹が言いたいことはわかったから」

「なんかそれを思い出したんだよ。ロボットが人間の子供育てられるかって。

ロボットにできるのはプログラムすることで、人間はプログラムできるわけないじゃん? ロボットに愛なんてわかるわけがないし」

「あー、なんか今回の未樹が言ってることなんとなくわからなくもない」

「毎回!私が言ってることは正しいんだよおおおおおおおおお!」

「そうなんだろうけど、普及するんだろうね」

「未来の子供、どうなっちゃうんだろうね」

二人で語尾が揃う。

「あ、未樹の不安症が映っちゃったのかな」

「私は慎重なだけだよぉ~」

街中にはロボットがティッシュ配りやら看板を持って仕事していた。

人工灯が点滅を繰り返していた。


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