17話 道路を良くすると
「そうですね、そのつもりですが何か問題があるでしょうか?」
と僕が訊き返すと、
「いえ、道路が良くなれば流通や人の行き交いが活発になりますし、この街もその恩恵を受ける事こそありますが、デメリットなどあろう筈がありません。
ただ、この南北に走る道路は我が国の動脈の一つである故、その整備に少なくない予算が割り振られており、貧困層の失業対策でもありますので無くなりますと後々問題が起きます。
そちらの方をこれからどうすれば良いのかと思っておりまして」
と説明を受けた。
「ジェイドさんはよく考えておられますね。
それについては内務局から後ほど通達が来ますが、新しい道路は排水路が道路の外が繋がって無いので先ずは排水路の整備をして、それから東西の道路整備と一部を教育にも今までの予算を振り分けます」
僕が称賛しつつ返答すると、
「教育を充実させるのは将来を考えますと良い事だと思いますが、そうなると教師となる者が足りないかと思うのですが…」
ジェイドが更に突っ込んで尋ねてきた。
それに対して
「教師は人間族に適任者が多数居ますので、そちらから派遣します」
と返答すると、
「人間族ですか?何故多数と言えるほど居るのでしょうか?」
まだまだ訊いてくるジェイド。
「ジェイド殿、さすがに色々訊き過ぎではないか?」
横で聞いていたグレンディルが制止しようとするが、僕は
「いや、構いません。聞いても面白くない話ですが、何故多数居るのか説明しましょう」
苦笑いを浮かべて説明を始めた。