16話 衛星都市
街から出てきた者達は真っ直ぐ僕達の前に来ると、先頭の2本角の鬼人族の男が進み出て臣下の礼を取り、口を開いた(国によっては直に話が出来るまでに色々あったりするが、そこら辺はヴァレシルとイルミーナが嫌っていたので元々緩い)。
「初めてお目にかかります。私、この街の長をしておりますジェイドと申します。この度はご尊顔を拝謁し、恐悦至極に存じます。
早速で誠に恐縮ですが、この街の商人達が陛下の軍の者達に商いをしたいと申しておりまして…ご許可頂けませんでしょうか?」
「大丈夫ですよ、そういうのもあって討伐の話が早めに流れていたので。ジェイドさんもそこまで畏まった物言いをしなくていいですので」
僕がそう言うと、ジェイドは
「ご許可ありがとうございます」
と言って一礼すると、後ろで畏まっている者達に目を向けて軽く頷き、そのうち1人が街まで戻って行った。
そして合図を送ると、街の入り口付近に集まっていた者達が一斉に大休止中の軍の中に散って行った(その前にレティシアが【(中級魔法)センス・イービル】を隠匿発動したが問題はなかった)。
その間にジェイドは、
「簡素ではございますが料理をご用意させて頂きましたので、いかがでしょうか?」
と訊いてきたので快諾すると、街から出てきた一部の者達がこちらに来て、大小のアイテムボックスからテーブルや椅子、料理などを取り出し、その場で会食が始まった。
食事を一通り食べ終わり、最初は準備中の雑談の続きを話していたが、
「ところで…陛下はこのまま国境付近まで、あちらの様な立派な道を作って行かれるおつもりでしょうか?」
と徐にジェイドが尋ねてきた。