15話 行軍
3人で何やら話している所に着地し、何かあったのか訊くと姉上が下を指しながら、
「グレンディルがフレッドがこの舗装を作って魔力が枯渇しないか心配してるのよ」
「その通りでございます。見た事のない魔法ですし、これだけ立派な道路を作るとなると、かなり魔力を消費するのではないでしょうか?」
(竜族の表情は少し分かりにくいので、多分)心配そうに僕にグレンディルが訊いてきたので、
「魔力回復量より少し魔力を消費する程度に調節して魔法を使ってますから、全然大丈夫ですよ。
このまま国境手前の町まで舗装しながら行きますので、全軍に伝えておいてください」
と伝えると、グレンディルは恭しく礼をしながら
「御意。兵も歩き易くなって疲労も軽減されて喜びましょう。行軍速度を少し上げますか?」
「いや、元々会談日時を指定しているのだから、あまり早く着いても時間を持て余す可能性があります。
行軍計画も時間に余裕を持って立案されていますし、このままの速度で行きましょう」
「御意。…もうしばらくで行軍再開ですね。それでは私めはこれで」
再び恭しく礼をすると、グレンディルは後方に戻って行った。
残った2人にイルミーナが《チェンジ・ボックス》の作製を熱望しているようだったので、片方が竜車の中に居る間に作って欲しいと頼み、作り方を説明しようとした所で出発時間となり、一旦先頭の竜車に戻って出発後【テレパシー】で説明する事となった。
行軍を再開しまた2時間近く進んだ後、王都から南下すると最初にある衛星都市の近くで昼食時間を兼ねた大休止を取る事にし、道路から外れて各々昼食の準備を始めると、街から身なりの良い者が数名の護衛などと共にこちらに向かって来た。