1.構築
認められたくて、期待に応えたくて。
けれど、がむしゃらに頑張ってます!と言いたくなくて、適当に、適度に、物事をこなしていく。
嫌われたくない。1人になりたくない。間違っていない。僕はみんなとおんなじ。
そう思いたくて、そうなりたくて、みんなに合わせて何事も卒なく過ごしていた。
わからない事はバレないように話を合わせて、後から調べて理解をする。
「知らない」と言うことを知られて恥にならないように、笑われないように…
本当は自分が傷つくのが怖いだけな事は、少し前から気付いてた。
見て見ぬ振りをして、自分を構築していく。
相手を傷つけないように、迷惑をかけないように、自分を見せないように、自分が『自分』であるように。
気がついた時には、全てが恐怖になっていた。
楽しい事や嬉しい事、好きな物や嫌いな物、悲しいことや辛いこと。全て知られる事が怖かった。
友達との食事でも、同じメニューを頼んで同じくらいのスピードで、同じ物を「おいしいね。」と言いながら食べる。
お出かけや買い物に行っても「楽しいね」「可愛いね」と笑う。
人と違う事を恐れて、人に合わせて無難な自分でいれるように、それでいて傷つけないように、いい子の自分を無意識で構築していく。
いつの間にかそれは定着していて、何をしていても当たり障りのない子が出来上がった。
ただ、全てにおいていい子はできない。
ヤンチャグループからのいい子と先生・親からのいい子、普通に過ごす上でのいい子。
全部のいい子になれるはずもなく、自分が分からなくなるが、とりあえず当たり障りのない自分を作り上げる。しかし自分の信念を加えて、興味のある事は混ぜ込んで、周りがしっかり見える人になるように作っていく。
そうすると少し成長して、自分の思いを言えるようになって、人らしくなる。
人らしくなると衝突が生まれて、傷つけたり傷ついたりを繰り返す。
傷つく事が嫌で、傷つける事も嫌で、当たり障りのない自分でいたくて、人に合わせる事を上手にこなせるように作り変えようとする。
自分のしたい事も、想いも、心の箱に仕舞い込んで、何もなかったように、周りに合わせて、周りの期待通りの『自分』をまた構築する。
歪んだ作りを見抜かれて、すきを突かれ想いを引きずり出されて、喧嘩して…
言いたくない言葉を吐き出して、その事に対して落ち込んで…グルグル回って分からなくなった。
思いを素直に言える人が、なぜ言えるのか分からなくて、傷つける事をわかってないからだと思ったけれどそれは違ってて、傷つけても自分の思いを伝えようとしていただけだった。