22.黒い雷獣と翠の雷撃魔道士
久々の更新で、サブタイトルの番号間違えてました。
二章の22話なのに、通し番号の37つけてたので、直しました。
本文は変えてません。
外のお庭だけど、まるでホールの中?って感じで大音響でクロちゃんの咆哮が響く。
私の手で抱き上げられていた時は仔猫サイズだったのに、あっという間に動物園の檻の中の猛獣サイズになっている。
色こそ黒いけれど、肩から雷を放つ触手と尻尾も2本生えてるけど、そのフォルムはほぼ雪豹だ。格好いい!
「ヴァニラの魔力と霊気を吸収して、さっきより大きく魔力も上がってる。
マリヴァ、母上とヴァニラを屋敷に……」
「ルーシェさん、さっきは昨夜から影に潜んでたって……」
「この辺りに居る種族じゃないからな。
私が、三日間戻らなかったのは、コイツらの討伐遠征中だったからだ」
おお~「討伐遠征中だったからだ」私もジュードさんと冒険者したら、いつか言うかもしれない格好いいセリフだあ。
「だったからてことは、もう退治して済んだの? だったら、この子は別の……」
「いや、ヴァニラが泣……マリヴァの連絡を受けたので、群れの王らしい大型を倒して、後は部下達に任せてきた」
「えっ!? まだ、お仕事中だったの?」
責任感強そうな感じだったのに、放り出して部下に任せて帰ってきたの?
「群れを統率していた霊格の違う王を倒したから、後はただの多少強い魔獣だ。
魔道兵や上級騎士でも倒せるし、砂漠地帯へ追い返せれば、国境線に魔獣避けの結界を張るだけで、無理に全滅させる必要も無い……」
「でも、まだそこまで終わってない……のね?」
「ヴァニラの元気になった様子を確認したら後始末に戻る予定だが、今はコイツだ」
ルーシェさんの言うことが解るのか、クロちゃんは唸りながら、距離をとる。
ルーシェさんも、私と話しながらもクロちゃんから目は離さない。
「多少強いだけのただの魔獣なんでしょう?」
ルーシェさんの口ぶりだと、特別な霊格や知能の高い雷獣王を倒したら、後は多少強くても普通の職業軍人でも倒せる程度の魔獣だってハナシなのに、どうしてそこまで警戒するの?
「コイツは、その、倒したはずの群れの王だ……
どうやったのか、死んだと見せかけて影に潜むなど物質的にあり得ないが、一晩身を隠し続けていたのか……」
「昨夜から居たのに誰も襲われてないんだから、大丈夫なんじゃ……」
「傷ついた体を休めていたのだろう。遠征隊の皆も死んだと思っていたくらい、私の魔道は効いていたはずだ」
ルーシェさんの手元に再び大きな負の電荷結合球が出来上がっていく。また投げつける気なのかな。
「ルーシェさん、2つ、いいかな?」
「……なんだ?」
「雷獣王って言うくらいだもん、その背中の触手から電撃を飛ばすんだよね?」
「……そうだな。コイツなら、コンディションが完調なら、地面が掘れるほどの爆雷級になるかもしれぬが……」
やっぱりそうだよね、SFファンタジー小説で読んだクァールに似た感じだし。
「電撃が得意な魔物に、雷撃は効くの? 麻痺するのがいいとこ、効かない事ないの?」
「魔力操作し易いから電撃をぶつけてるだけで、効果があるのは私の魔力そのものだ」
「力技なんかい。意外やな……
どうせなら、火で炙るとか、風で切り刻むとか氷で凍らせるとかの方がいいんじゃないの?」
ゲームとかだと、逆に回復しちゃう場合もあるよね? 雷属性に電撃って効果ないような気もしたので訊いてみた。
「コイツが避けたり、はじき返した場合、周りに被害が出るだろう?」
それもそうか。電撃は弾かないのかな?
「もう一つは?」
「……どうしても、退治しなきゃダメ?」
「ヴァニラ?」
私は、もふもふに弱いのだ。甘えてくるし。さっき抱え上げたときふわっと柔らかくて軽くて、温かくて……私の望むとおりになるのなら、仔猫のままでいてくれれば!
「傷ついただけの仔猫ちゃんだもの。魔術が使えない私の魔力をあげるだけで飼えるんなら……」
「精霊や妖魔の類いなら霊気魔力だけでも飼えるかもしれんが、コイツは魔獣だ。生きて肉体を持っている以上、血肉を食さねばならんだろう」
「影の中に隠れてたんだもの、ただの電撃放つ動物じゃないんだよね? なんだかシャドウキャットみたい……」
「シャドーキャット?」
「私の国の、物語の中に出て来る、その、創作って言うか、想像上の生き物だけど……
魔族とか幻獣とかって部類で、その躰も魔力で物質化してるけど基本実体はなくて、契約者の影の中に居るの。使い魔みたいに使役するときだけ影から出て来るの」
ルーシェさんは眉を潜めて、私の話を聞いてくれてる。うん、私の世界のラノベ風の設定を持ってきても、ここじゃ常識とは限らないよね。
「だとしても、他の雷獣を率いて砂漠地帯からやって来て、国民に被害も出てるんだ。
このまま好きにさせるわけには……」
「クロちゃん、私が魔力あげたら、もう、悪さしないよね?」
足の届かない椅子から降りて、黒い雪豹姿のクロちゃんの前にしゃがむ。
「ヴァニラ!!」
クロちゃんに手を舐めさせる私を叱るルーシェさんに威嚇の咆哮をあげるのが、目の前十数㎝だと凄い迫力だった。周りには、喰われるって見えたかもしれない……
土煙をあげてクロちゃんが居た場所が爆発した。




