◆道具とは
作中で登場する“柄のない刀”などの総称です。
◆“道具”とは
――よもや語り継ぐ者も居ない程昔の話。
その昔、悪政の限りを尽くす領主がいた。
その者の業は深く、多くの人々が血と涙を流した。
彼は、次第に自身の欲望に塗れ人としての心を失い、“鬼”へとなり果てた。
ある時、三人の若者が悪の支配から人々を解放するため、立ち上がった。
美しき女が領主に取り入ると、隙を作り剣士がその首をはねる。
そして、肉体が滅びた後に残った未練の魂を……僧が十の世界に分かち、封印したのだ。
十の世界。すなわち……
“地獄”にありとあらゆる罪を、
“餓鬼”に欲しても欲しても留まらない欲望を、
“修羅”に他人を蹴落としてまで喰らいついていた自我を、
“畜生”に欲望のままに振舞うその感情を……
――罪は深い、だがどんな魂にも一握りの良心は残っているもの。
“人界”に罪の上にあっても人として振舞い続けた心を、
“天界”に共に喜び合える、慈しむ心を、
そして、ほんのわずかに残っていた信心の心をそれぞれの四聖に……
――そうして、“彼の魂”を分かち封印した装飾品はこの現代で“道具”と呼ばれ、ある道具は“ま”を祓い、またある道具は穢れを呼ぶ存在へと道を違えていった。