九十一話 壊れた武器と久々の帰還
グレゴールは懐からソードブレイカーを取り出し、ロイに見せた。
真ん中がぽっきりと二つに折れている。
「我々が発見した時にはすでにこうなっていた」
「そ、そうか……ま、まあ仕方ないよな」
短い間だったとはいえ、かなりショックだ。
これでもまた近接戦闘の手段がなくなってしまった。
「ど~すんのこれ?」
聞いてきたのはクロエだった。
(どうするもこうするも……ない)
「でしょうね。まあ安物でよかったんじゃない?」
(えっ?)
さらっと爆弾発言だった。
「これ形が変わってるだけで肝心の中身はそこまでよ」
(ええ……途端にどうでもよくなった)
「この機にいいやつでも買えば?」
(そうする。絶対にそうする)
心に誓った、もっといいの貰おうと。
クラインがタダでくれた物なのであまり文句は言えないが、もうちょっといいやつでもよかったのではないかとは思う。
それにしてもクロエは知識量がすごいな。
いろいろとご教授願いたいレベルだ。
「ていうかなんでここにその二人がいるわけ?」
ラーシャとセシリアを指をさして言った。
(確かに言われてみればそうだな)
直接聞くのが一番だ。
「二人はなんでここにいるんだ?」
受け売りのように言葉を借りて聞いた。
「クラインさんに行けと言われまして」
「あいつわかってたのか」
帰ったらまた怒られるんだろうなと憂鬱になる。
「ですので早く連れ戻すように言われているんですが……」
ロイの身体を気遣って帰れないというところらしい。
「いや、もう大丈夫だ。翼龍に乗るのが嫌だけど」
「ふふ、でもまだ安静にしていなければだめですよ」
「帰るのは早いほうがいいだろ」
「そうですが、本当に大丈夫ですか?
こくっと頷く。
ラーシャも了承してグレゴールに告げる。
「では帰りますね。短い間でしたがお世話になりました」
「こちらこそ。力になれず申し訳ない」
「いえいえ、それでは。ロイさん行きましょうか」
「そうだな。……よっと」
ロイはベッドじから立ち上がった。
「……はい」
セシリアから服を受け取る。
「おう。ありがとな」
「うん……」
よれよれのいつもの薄い服を着る。
なんだかんだでこれが一番落ち着く。
「此度は世話になった。ありがとう」
「おう」
言葉こそ少ないが、グレゴールの感謝は痛いほど伝わった。
「それじゃまた」
「うむ、気を付けてな」
別れの言葉を交わし、部屋を後にする。
城を出ると、目の前には翼龍が待っていた。
「おい、心の準備が……」
出待ちは予期せず、完全に意表を突かれた。
「待ちませんよロイさん。早いほうがいいって言ったのはロイさんですから」
これほど前言撤回したかったことなどない。
ロイは諦めの境地に至った。




