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愚者の復讐  作者: 加賀谷一縷
第三章
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九十一話 壊れた武器と久々の帰還

 グレゴールは懐からソードブレイカーを取り出し、ロイに見せた。

 真ん中がぽっきりと二つに折れている。


「我々が発見した時にはすでにこうなっていた」

「そ、そうか……ま、まあ仕方ないよな」


 短い間だったとはいえ、かなりショックだ。

 これでもまた近接戦闘の手段がなくなってしまった。


「ど~すんのこれ?」


 聞いてきたのはクロエだった。


(どうするもこうするも……ない)

「でしょうね。まあ安物でよかったんじゃない?」

(えっ?)


さらっと爆弾発言だった。


「これ形が変わってるだけで肝心の中身はそこまでよ」

(ええ……途端にどうでもよくなった)

「この機にいいやつでも買えば?」

(そうする。絶対にそうする)


 心に誓った、もっといいの貰おうと。

 クラインがタダでくれた物なのであまり文句は言えないが、もうちょっといいやつでもよかったのではないかとは思う。

 それにしてもクロエは知識量がすごいな。

 いろいろとご教授願いたいレベルだ。


「ていうかなんでここにその二人がいるわけ?」


 ラーシャとセシリアを指をさして言った。


(確かに言われてみればそうだな)


 直接聞くのが一番だ。


「二人はなんでここにいるんだ?」


 受け売りのように言葉を借りて聞いた。


「クラインさんに行けと言われまして」

「あいつわかってたのか」


 帰ったらまた怒られるんだろうなと憂鬱になる。


「ですので早く連れ戻すように言われているんですが……」


 ロイの身体を気遣って帰れないというところらしい。


「いや、もう大丈夫だ。翼龍フリューゲルドラッヘに乗るのが嫌だけど」

「ふふ、でもまだ安静にしていなければだめですよ」

「帰るのは早いほうがいいだろ」

「そうですが、本当に大丈夫ですか?


 こくっと頷く。

 ラーシャも了承してグレゴールに告げる。


「では帰りますね。短い間でしたがお世話になりました」

「こちらこそ。力になれず申し訳ない」

「いえいえ、それでは。ロイさん行きましょうか」

「そうだな。……よっと」


 ロイはベッドじから立ち上がった。


「……はい」


 セシリアから服を受け取る。


「おう。ありがとな」

「うん……」


 よれよれのいつもの薄い服を着る。

 なんだかんだでこれが一番落ち着く。


「此度は世話になった。ありがとう」

「おう」


 言葉こそ少ないが、グレゴールの感謝は痛いほど伝わった。


「それじゃまた」

「うむ、気を付けてな」


 別れの言葉を交わし、部屋を後にする。

 城を出ると、目の前には翼龍フリューゲルドラッヘが待っていた。


「おい、心の準備が……」


 出待ちは予期せず、完全に意表を突かれた。


「待ちませんよロイさん。早いほうがいいって言ったのはロイさんですから」


 これほど前言撤回したかったことなどない。

 ロイは諦めの境地に至った。

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