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愚者の復讐  作者: 加賀谷一縷
第二章
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七十七話 ムチツジョわーるど

 常識、それは一人ひとりが持つものであり決して他人と同じではない。

 もし、その常識とやらをなくすことができたらどうなるか。

 答えは誰にもわからない。

 魔法は常識を打ち破ったものだ。

 最初の頃はまやかしなどと言われていたが、いつからか人々は当たり前のように使い、戦っていた。

 では魔法とは何か。

 それも誰にも知りえないものであった。

 常識に囚われているうちは。


「ったく、定義か?そんなもん俺だ。俺の経験だ」

「そう、でもそれは他人からみれば化け物、ではないかもしれないのでは?」

「もううるせぇな!イライラしてきたぜ!」

「戦いましょうか?この無秩序な世界で」


 目が一気に鋭くなる。

 手を挙げ、振り下ろす。

 その手先から竜巻が起こる。


「嘘だろ!なにも唱えてないのに!?」

「これが無秩序な世界です」


 竜巻は徐々に大きくなり、ついに簡単に人を飛ばせるぐらい大きくなっていた。

 それがこちらに近づいてきている。

 アリアスはもう体内魔力が限界を迎えているだろう。

 しかしロイも身体強化されて筋肉の疲労がある。

 戦況はかなりまずい。

 まずはこの竜巻を何とかしなければいけないが、どうにも相性が悪い。

 得意魔法である炎が約に立たたないからだ。

 どれも逆効果になるかもしれない。

 そのとき、アリアスの声が聞こえた。


「早く炎の壁を作って!」


 それでも防げないに決まっている。


「無理だ。あれじゃ太刀打ちできない!」

「ここは無秩序な世界でしょう?」


 それなら可能性があるかもしれないと、すぐに唱える。


焔壁フランメヴァント!」


 目の前作った。

 竜巻の大きさにまけないほどの壁だ。


「止めた、か?」


 本当なら当たっている時間だ。

 炎の壁を解く。

 そこのは何もない。

 竜巻はきれいさっぱり消えていたのだ。


「おや、まさか逆に利用されるとは思いませんでした……というのは嘘です。人間は狡賢いですからね」

「褒め言葉にしちゃ貶してないか?」

「誇りなさい。少し見直したのは事実です」

「だったらこのままあんた倒して改心させてやるぜ!」


 反撃といわんばかりにロベルティーネに向かい走る。

 ここは無秩序な世界だ。

 今なら物理の刃も通じるはずだ。

 だがいくら走っても一向に近づいている気配がない。

 間違いなく進んではいるのだが、風景は全く変わらない。

 まるで足踏みでもしているようだ。


「だから言ったでしょう?常識的な行為をしてもここでは意味がないと。やはり人間ですね」


 ロイは立ち止まり、息を切らしながら言った。


「おい……まじか……常識、ねぇ……」


 ロイはいきなり前転でロベルティーネに向かっていった。


「な、なにをしているのです!?」

「見たらわかるだろ。非常識的な行動であんたに向かっているのさ!」


 ドヤ顔をしているが回転ため全員ぽかんとしている。

 本人は名案だと思っているようだ。

 ごろごろと回ってロベルティーネに接近する。

 どうやら方法としては当たっていたようで、今度はちゃんと距離が縮まっている。


「背中いてぇ!」

「あんたバカでしょ!?」

「うるせぇ!貧弱魔法使いは黙ってろ!」

「あとで絶対殴る!」


 勝っても負けても死ぬらしい。

 そんなことを吹き飛ばすように大きく跳躍、浮遊しているロベルティーネに並ぶ。


「ほうら!くらえ!」


 ソードブレイカーの、それも峰で攻撃。

 本来はガードとして使う部分で攻撃する。

 これも一種の常識から外れた行動だ。


「すぐ調子に乗るのが人間の悪いところです」


 残念そうに首を振る。

 そして唱えることなく旋風を巻き起こした。

 遅い対処だ。

 間に合うはずもない。

 そう当たり前に考えてしまった。

 悟ったときには遅かった。

 目の前が一面切れ味鋭すぎる空気がある。

 でもこれだけでは傷つくことはないだろう。

 ソードブレイカーの峰をそのまま振り下ろした。

 叩きつけて破壊する。

 空気は消え去り、勢いのまま、ロベルティーネに攻撃を仕掛ける。


赤熱する剣グリューエンシュヴェーアト!」


 ソードブレイカーが赤く光り、同時に熱を帯びる。

 正直グレゴール魔法をパクった。

 

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