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愚者の復讐  作者: 加賀谷一縷
第二章
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四十五話 町外れでの戦闘

 長い髪を後ろで束ねて、服も観光者風ではなく動きやすさを重視したものを着ている。


「ねえ、ちょっと寄ってかない?」

「いや、でも」

「まあ、ほんのちょっとだけだから」


 店の客引きのわりにグイグイくる。

 セシリアは小さくなってロイの後に隠れている。

 目の前に立っている人みたいな類の人間と話す機会が今までなかったからだろう。

 断ろうとしたがその女性は二人の背中を押して連れて行こうとする。


「こっちも用事が」

「大丈夫、すぐ終わるから」


 商人にしては不自然な言い回しだった。

 しかも連れて行かれたのは店ではなく店と店の隙間だ。


「こっちって……」

「モノがでかくてね。店には入らないんだよ。でもいい品ばっかだから」


 ニコニコ笑っているがその顔はどこか裏がありそうな表情だ。

 着いたのは町から離れた平原。

 腰辺りまで伸びている草が邪魔をして上手く進めない。

 少し遠くには家の集合している場所がディオーレの町だ。

 ここは翼竜フリューゲルドラッヘで来た近くである。


「さあて、お楽しみの始まりだ!」


 大声で叫んだ後、周りから何人もの男が表れた。

 草むらに隠れていたらしい。

 手には小型のナイフや斧を持っている。


「へっ、姉御!今日はこいつらですかい?」

「そうだ。弱そうな奴らだったからついカモッちまった」


 クラインが言っていたごろつきはこいつらの事か。

 ようやく理解したロイは怯える畏怖して震えるセシリアにそっと声をかけた。


「心配するな。指一本触れさせやしないさ」


 と言ってにっ、と笑う。

 敵は女を入れて全員で六人。

 周りは草が茂っているから火属性は使えない。

 となると。


(お~い、クロエ。出番だ)


 頭の中で呼ぶと姿を見せた。


「なに?っていきなりピンチ?あんたも災難よね」

(だから呼んだんだろ)

「え、なに?あたし戦う時だけ呼ばれるの?」


 思った事がそのまま聞こえてしまう。

 やわらかい感じで思わなければ。


(そんな事言わずにお力を貸してください)

「いいけど今回から照準やんないわよ。全部あんたがやってよね」

(やり方教えてもらってないんですけど!?)

「実際やった方が早いし、気合と根性があればなんとかなるでしょ」


 セシリアにカッコつけた手前引くに引けない。

 魔法も闇属性は上手く使えない。

 だったら銃を使えるようにするのが一番可能性がある。


「お前ら、まだ殺すんじゃないよ。たんまり絞り取ってやんな!」

「へい!」


 各々持っている武器を振りかざし殺気を纏う。

 命令なんてあってないようなものだ。

 一人ひとりなら対処が簡単だがこう人数が多いと狙いを定めるのがぐっと難しくなる。

 それに今回は補助なしだ。

 後ろにはセシリアもいる。

 遠くに離れるのは得策ではない。

 懐からソードブレイカーを取り出すべきか。

 照準を自分で合わせなければならないからできれば銃を両手で持っていたい。

 なら近づかれる前に動けなくすればいい。


「かかってこいよ」

「棒で戦うカモが!」


 他人の目にはそう映っているらしい。

 言われると滑稽に聞こえる。


「くっそバカにしやがって!」


 挨拶代わりに狙いを定め……。


「どうするんだ……これ」

「その銃口の先についてる小さい針みたいなやつを狙いたい奴に合わせて撃たちゃ当たるわよ」

「雑だけど了解」


 言われたとおりに狙いを定める。

 そして引き金引く。

 青色の魔法陣が浮かび上がり、灰色の弾が飛び出した。

 しかし弾の速度は遅くひらりと躱されてしまった。


「弾だけはやっておいたわ」

「ありがとうございます」


 しっかりとお礼をしておこう。


「な、なんだ!?これ!」 


 避けた男が喚いている。

 周りもどよめき足が止まった。


「当たんなかったんだけど……」

「いろんな事に気を配らないとダメだからよ。どう?少しはあたしのありがたみがわかった?」

「痛いほど痛感してるよ」

「痛感しすぎておかしな事言ってるわよ……」


 ごろつきの視線も痛い。

 セシリアまでそんな目でみないで……。

 一人でぶつぶつ言ってる人には関わっちゃだめと教えられたのかな?


「ちくしょう!お前ら全員嫌いだ!もう知るか!」

「精神がブレッブレね……」


 難しいお年頃なんだよ、とツッコミたくなる。


「ビビッてんじゃねぇぞ!所詮ガキだ!やっちまえ!」


 再び殺意を感じる。

 そのうちの二人が距離を詰めてくる。

 片一方を狙い撃つ。

 先ほどと同じ魔法陣、弾の色だ。

 距離も近いため狙いやすい。


「うおっ!?」


 弾は見事命中。

 ばさっと衝撃で後ろに倒れ仰向けで寝ている。


「おいっ!?」

「次はお前だぜ」


 突然隣の奴がぶっ倒れたりしたらそりゃビビるのな。

 その時できる隙を突く。


「ほら!お休み!」


 もう一人の男も眠らせる。

 だがそれでは終わらない。


「後ろでもバレバレだぜ!」


 すぐに振り返る。

 こそこそと近づこうとしていた男も同じように眠らせる。


「へっ、さすがごろつきだ。小賢しいのはいっちょまえだな」


 二人が引き付けてる間に人質を取る作戦だったらしいが簡単にはやらせない。


「これで半分片付けた。さあ、残りもテキパキ掃除してやるぜ」


 二人の男は退き気味だ。

 それでも一歩も退かなかった頭領と思われる女。


「なんだ、結構やるじゃないか。うちに欲しい人材だ」

「お褒めに預かり光栄だけどそっちに下るわけにはいかねぇ」

「なんでだい?」

「俺はてめぇらみたいな奴らが嫌いだからだ!」


 その声は平原に響き渡った。

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