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愚者の復讐  作者: 加賀谷一縷
第三章
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百十八話 クラインからの任務

 クラインの部屋に呼ばれたのはロイ、ラーシャ、セシリアだった。

 対面にはクライン、そして秘書が立っている。


「どうして呼んだんだ?」

「ああ、この前話したことの続きだがな」

「ああ、二週間後だろ」


 前に聞いた話だ。

 アリアス救出のため、二週間後にエリクフォルトの砦を攻めるというものだ。

 しかしこれには一つ、ロイには前々から疑問があった。


「俺からしたらこれほどありがたいことはないけどそこまでするもんか?」

「そういえばそうですよね。エリクフォルトの砦といえばその堅さ。帝国の防衛ラインを担っているほどですのに」


 ラーシャが同調する。

 それを生きおよく否定する言葉を発する。


「わかってねぇな。アリアスだって俺らの一員だ。一員が危機に瀕してるってのに動かないわけがないだろ。それに……」


 と、言いかけて止める。

 最初の勢いがよかっただけに気になる。


「なんだよ。そこまで言ったんなら言ってくれよ」


 しぶしぶながら口を開く。


「正直に言えばあそこを攻める理由がほしかった。戦力はある。対抗できるはずだ。あとはちょっとしたきっかけだけだったんだ」

「それがどうして詰まる理由になるんだ?」

「あんなぁ、ダシに使うんだぞ。特にお前らには言いにくいだろ……」


 呆れながらに笑う。


「ダシだろうがなんだろうが助けに行くのを手伝ってくれるには違いないだろ」

「確かにそうだな」


 二人して笑う。

 完全に打ち解けた雰囲気だ。


「そろそろ本題を」



 冷静に切り込んだのは秘書だった。


「おお、そうだそうだ。お前らにしてもらいたいことがある」

「ん、なんだ?」


 急に改まり、笑いも消え、リーダークラインが現れる。


「エリクフォルトの砦を攻めるにあたっての前準備、偵察だ」


 テイサツ?なにそれ。

 ぽかんとした表情とは対照的にラーシャ、セシリアは強張ったものとなる。


「それほど難しくはないだろう。安心しろ、こいつが先導する。イェーリン・ヤーグアールだ。」


 肩をポンとした人物は秘書だった。

 つり目でクラインを睨んでいる。


「経験豊富で戦闘技能、隠密技能も高い言う通りにしていれば危険はないだろう」


 クラインがそこまで言うなら相当に強い。


「さて、この四人で」

「ちょっと待ってくれ。もう一人連れて行きたい」


 腕を組み、頭を悩ませる。


「誰かによる。できるだけ危険は排除したいからな」

「その点に関しては大丈夫だ。狐人フクスだから」

狐人フクス!?」


 クラインは声を荒げた。


狐人フクスなんかどこで拾ってきた!?その辺の猫拾ってくるのとはわけが違うぞ!?」

「え、え、えぇと……」


 気圧されて言葉が出ないロイに代わり、ラーシャが前へと出た。


「違うんです。ロイさんは狐人フクスの方を助けたんです。それでっ」

「わ、わかったから。もういい。落ち着け」


 訴えるラーシャをなだめる。


「そいつは使えるんだな?」

「ああ、あの脚力は人間じゃない」

「本当に人間じゃない奴にそれ言っても意味ないぞ」

「ぐっ……!痛いとこ突かれた」


 話しているのをよそに、セシリアはラーシャの袖を引っ張る。


「どうかしたの?」


 言葉にこそしなかったが、お腹をさすっている。


「お腹がすいたの?」


 頷くセシリア。


「そうだな。すまないな。もういいぞ」

「よし、飯食うぞ~!」


 ロイは解放され、背筋を伸ばす。

 部屋を出てちょっと行ったところでセシリアは立ち止まった。


「ん、どうした?飯ならすぐそこにあるぞ?」


 首をぶんぶんと振って、辺りを警戒し、人がいないことを確認したうえで小声で言う。


「……あの人……嫌な感じがする」


 ひどく怯えたようすが目に焼き付いた。

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