表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の復讐  作者: 加賀谷一縷
第三章
103/149

百話 訓練の末

 目が覚めると、ラーシャがいた。

 やけに近いと思ったら、膝枕をされていた。

 後頭部が柔らかさを噛みしめている。

 日はまだ落ちていない。

 それほど長くは寝ていないようだった。

 半開きの目をこする。


「あっ、起きましたか?」

「おう。どれくらいたった?」

「そうですね~、一時間前後といったところだと思います」


 そうかと言って起き上がった。

 あ、くそ、もうちょっといたかったぜ。


「おお、起きたか。じゃ始めるぞ」


 寝起きでいきなりそんなことを言われるとついていけない。

 ぼけっ~っとした顔をしているロイに、ラーシャがいちから説明する。


「え~っとですね、レノーレさん曰く、その銃?というものの使い方を考えるらしいですよ」

「そうなのか」


 よっ、と立ち上がり、伸びをする。

 ぽきぽきと骨が鳴った。


「いいご身分だな。昼間っから」

「あれだけ動けばそうなるだろ」


 全身の傷がきれいさっぱり消えている。

 ラーシャとセシリアがやってくれたのだろう。

 それが消えているのはロイだけではなかった。

 ザミーラも傷一つなくなっていた。


「それにしても急にどうした?お前あんな動ける奴だったか?」

「本気出せばあれぐらい余裕だろ」

「だったら最初からやれって話だ」

「そこを突かれると弱い」


 近赤井はたまたま助かっただけだ。

 次もこう上手くいくとは限らない。

 やはり鍛錬が必要だ。


「さ、話もそろそろこの辺にして次だ」

「そうだな。じゃ、帰るか」

「戦わないのか?」

「実践は今日は終わりだ」


 ロイは納得がいかなかった。


「なんでだ?まだできるぞ?」

「お前が慌てる理由は知ってる。焦っても仕方ないぞ?」

「違う。だから」

「あんだけ動いたのは誰だ?」


 口をつぐむしかなかった。

 なおもレノーレは続ける。


「今日はもう休んだほうがいい。でもただ休むんじゃない。さっき聞いたろ?」

「戦い方を考える、か」

「そうだ。もういいか?」

「了解だ」


 レノーレはようやく安堵の表情を見せた。


「で、ワタシは?」

「もういいぞ。帰れ」

「え、ええぇ~!?」


 ザミーラは項垂れた。


「ちょっと扱いひどくない?ねぇ?」

「いや、正直思う」


 いや、こっち見られても。

 仮にも初対面だ。

 無難に返す。


「ほら、この人も言ってるしぃ」

「こ、この人……」


 なんか存在感ないのかな?戦った相手なのに。


「わーった、わーった。子供みたいに駄々こねるな。子供みたいな体型して」

「それは関係ないでしょ!」


 ザミーラ以外笑顔であった。

 冷たい風が通り過ぎる中、寒さも忘れ、暫し雑談をした。


「よぉし、腹も減ってきたな」

「ワタシも」

「お、じゃああそこまでくるか?」

「おっ、どこどこ?」


 いいのかレノーレ?勝手に人を連れ込んで、と思ったが自分もやってることたいして変わりませんでした。


「ロイさん」


 読んだのはラーシャだ。

 ん?と言って振り返る。


「きっとアリアスさんは無事です。私やセシリアも協力させていただきますので、絶対助けましょうね」


 ロイは大きく、力の込もった返事をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ