またですかっ!!
◆――またですか――(雄二視点)
俺は彼女、さっき自己紹介された。
ミシル・アクリオの話によると、この世界に来てしまった時に聞こえた声は、
アクリオの声だったらしい。
「ミシルでいいです」
「・・・勝手に俺の心を読むなよ」
「声に出してましたよ」
「マジか!!」
いつもだ。大体、考えたことは意識してないと、口に出してしまう。
俺は大きくため息をついて、それた話題を元に戻す。
「それで、この世界に俺を呼んだってどういうことだ?」
「それは・・・」
彼女は琥珀色の瞳に少し陰を入れて気まずそうにしていた。
なんで渋る・・・。
「あの、それは明日お話することじゃあ、だめでしょうか」
「ん、・・・ああ」
俺はその目に負けた・・・。
後ろでシルフィードさんが、苦い顔をしていたが言ってしまったのだからしょうがない。
「ありがとうございます。それじゃあ」
少し笑顔を浮かべて、立ち去ろうとするミシルを呼び止め、
「ちょっと待ってくれ、俺は戻れるのか?」
と一番気がかりなことを訊いた。ミシルは驚いていたが、
「それも、込みで明日ということで」
といい、
「それでは、また明日。ここで」
といって、森の中に走り去った。
するといつの間にか隣に来ていたシルフィードさんが肩をたたいてきた。
「あんた、ああゆう目に弱いのね」
「いや・・、そうでもないと・・」
ガスッ
「あたっ」
「うそ、言うな!!」
たたかれた頭をさすりながら恨めしそうにシルフィードさんを見上げた。
「何よ・・・。それより今日はうちに泊まりなさい。話したい事もあるし」
「あ、はい」
俺はそう、短く答えて、シルフィードさんと歩き始めた。
(って、俺、今日ここにいなくちゃいけないのか・・・)
一抹の不安を抱きながら、もと来た道を戻っていった。




