事件勃発!!
◆――怪獣?――(雄二)
さっきからなんだろう?この人?。
何だ?ハイグリードって・・・。
お茶を飲みながら考えている俺。
(なんか、変な感じがするんだよなぁ)
さっきから、何か考えるようにうつむいている青い瞳の女性。
(確か、シル・・・なんだっけ?なんか長ったらしい名前だったような)
頭から名前を搾り出そうとしていると、
「バァン!!」
と爆発音が鳴り響いた。
「何だ?!」
「何!?」
俺はシル・・・何とかさんのあとを追って、外に飛び出した。
青い髪を振り乱して辺りを見回す、
シル・・・、ああ、そうだ!シルフィードだ!!
俺がやっと思い出したとき、
「バキバキ」
と木が折れるような音がした。
その方向を見ると、金髪の少女が、くまのような怪物に襲われそうになっていた。
「誰かー助けて下さい」
今にも泣きそうな情けない声で、助けを呼んでいた。
その声はどこかで聞き覚えがあったが、どこだっけ?
また、俺が悩んでいると、シルフィードさんがいきなり俺の腕を取って、
「助けるわよ!」
と言い出した。
「あれからですか?!」
今、襲おうとしているのは、熊みたいな奴。
相手、長い爪、鋭いキバ=武器所持。俺=装備なし。
無理です。どうやっても無理です。
「早くしないと、あの子殺られちゃうわよ」
「そんな事言っても・・・」
躊躇していると、痺れを切らしたシルフィードさんが、頭に怒りマークをつけながら。
「いいから!早く逝く!!」
「ちょっと、字が違いませんか!?」
後ろから、グイグイ押されながら前に進んで行く。
「私も手伝うから。それなら、大丈夫でしょ」
それを聞いて、少し安心した俺は、うなずいて、少女を救うべく走った。
今まさに、少女に熊が手を振りかざしているところだった。
「きゃぁぁぁぁぁ」
悲鳴を上げて、うずくまる少女。
「やめろ、変体熊!」
勢いよく、熊に全体重で体当たりを食らわした。
熊は不意打ちに仰向けに倒れて、じたばたと動いていた。
「いつつつつ」
軽く頭をうってしまった俺は、頭をかかえながら立ち上がり少女に手を差し伸べた。
「大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫・・・だと思います」
少女は顔をあげて俺の顔をまじまじと見た。
(おわっ、また美人)
心の中で、その金髪の外人のような少女に驚いていると、
「なにしてんの?あんた」
と、ジトッとしたオーラが後ろにあった。
「何もしてないっすよ」
「そう、そんなことより、逃げないの?」
「あ、そうだった」
熊は、ゆっくりと起き上がっていた。
しかし少女は、俺の顔を見て立ち上がろうとしない。
「ほら、早く逃げるよ!」
「あの、さっきから、誰と話してたんですか?」
「へ?」
またわけの分からない事を言われた。
「誰って、さっきからそこにいる・・・」
と、さっきから突っ立っているシルフィードさんを指差すと、
彼女は俺の指差した方向を見て首を傾げると、
「誰もいないじゃないですか」
「へ?」
俺は自分でも思うほど素っ頓狂な声を出してしまった。
シルフィードさんに目で尋ねると、
「あとで、説明するから。今は逃げたほうがいいわよ」
そういって、シルフィードさんの指差す方向を見ると、熊が俺の真後ろに立っていた。
「やっば・・・」
熊が片手を振り上げたのが、見えた。
すかさず彼女をかばって前に飛んで熊と距離をとろうとした。
それと同時に、背中に激痛がはしった。そのまま、地面に倒れこんだ。
「きゃあああ、何するんですか。けだものですか?けだものなんですね?」
「何、言ってんだ。このやろう!」
俺はつっこみながら攻撃を食らった背中を確認した。背中は赤く染め上げられていた。
「あっ、血が・・・」
「こんちくしょう、痛ぇんだよ、バカ熊が」
そういうと、熊はまた俺に攻撃をしようと手を振り上げた。
「シルフィードさん、お願いします」
「ええ」
俺はボーっと背中の傷を見ている、彼女を抱き上げて、立ち上がった。
「何、するんですか?!」
「さっさと逃げるんだよ」
そういって俺は強く地面を蹴った。
すると、一気に熊から100メートルほど離れたところにいた。
「うあっ、早すぎねぇ」
後方確認、熊はもう追いかけてこないようだ。
「ふう、もう大丈夫だろ。あのさ、どっちに行けばいいのかなぁ?」
そう聞くと彼女は、顔を真っ赤にして縮こまっている。
「どうした?」
彼女は少し俺の顔を見て、
「早く降ろしてください!」
と怒鳴られてしまった。何で怒られなくちゃいけないんだ・・・。