ラウンド・ワン
◆――ラウンド・ワン――(雄二視点)
「あー、眠・・・」
「ハハハ、朝から元気ないね〜雄二」
元気ははつらつな笑顔を俺に向けているのは、今日の遅刻の原因だ。
「お前よく俺に向かってそんな事言えるな・・・」
俺は机の上につぶれながら芳紀をにらんだ。
「あんなことで、気ぃ失うなんて鍛え方足りないんじゃないの?」
(あんなことだと!)
心の中で盛大な突込みをしながら、表情は冷静さをキープ。
そのまま無視すると、芳紀はわざとらしく、
「あれ〜耳まで悪くなっちゃったのかなぁ。雄二君?」
と俺の頭を軽く叩き始めた。
(ピキッ)
「お前、調子に乗るなよ・・・」
俺が殺意をこめて、つぶやく。
「え〜何かなぁ、何か聞こえたような」
(ブチッ)
叩く強さはだんだんと強くなっていき、怒りがたまってきた。
「おまえなぁ・・・」
爆発寸前の怒りを押さえつけながら、芳紀ににらみを利かして、起き上がる。
すると、不意に芳紀の手が軽く頭の上に乗り、
「悪かったよ。あやまる」
と真面目な顔をして言ってきた。急な変化に戸惑いながら、
「分かりゃあ、いいけどよ」
と返すと、
「バーカ、自惚れんな。嘘だよ!」
と芳紀は、デコピンをかましはじめた。
(ブチッ!!)
「調子のんなぁー!!!」
そんな、かけ声とともに右ジャブを繰り出す俺。芳紀は余裕でそれをかわすと、
「騙されるほうが悪いんだよ」
と少し舌を見せて笑った。
「うるせえ!この怪物女!!」
そういうと、芳紀の笑顔は凍り、バキボキと指を鳴らし始めた。
「どうやら、死にたいみたいだねぇ」
「お前が始めたんだろ」
「朝から、夫婦喧嘩なんて元気だねぇ」
「「誰が夫婦だ!」」
そんなボケを言うのが白鴎 鳴戸顔はいいほうで、女子には結構な人気
だ。のほほんとした性格で俺達の歯止め役である。
「でも、息もぴったりで夫婦にしか見えないよ」
「うるせえ!何が悲しくてこんな女なんかと」
「あっ、言ったね!あんたにゃここで死んでもらうよ」
どちらかと言うと、あおっているようにしか見えないが・・・。
「おっしゃあ、やってやろうじゃねぇか!」
「おい、おまえら」
その声に、振り返ると桂木 青砥先生がタバコをくわえて入り口に立っ
ていた。教員が生徒の前でタバコ吸っていいのか?
「もう授業時間、始まってるんだけど」
その言葉に、時計に目を向けると、とっくに授業時間は過ぎていた。
「もうちょい待って、カッツー。すぐ終わるから」
「ハッ、そんなすぐには終わらせねぇよ」
ちなみに、芳紀は雄二よりむちゃくちゃ強い。
桂木はガタガタと机を動かし、スペースを空けている生徒を見てため息をつき、
「さっさと、終わらせろよ・・・」
とつぶやいた。止めましょうよ・・・。
ラウンドワン・ファイ!
勝負は始まった。
作:はぁ、だめだねぇ。雄二。
雄:・・・うるせぇな。
白:まあ、いつものことだからね。
桂:そのとうり。
雄:なあ、主人公がこんな扱いでいいのか?
芳:まあ、いいんじゃない。
作:だよねぇ。
雄:なんか、やだなぁ・・・。