異世界・・・
◆――異世界――(雄二視点)
どうなんのかなぁ、俺・・・。
「全く、あんたが異世界から来たなんてねぇ」
いやっ、俺から見れば、こっちが異世界なんだけど。
いすに座って向かい合いあっている。
「そういえば、あいつは何で、シルフィードさんが、見えなかったんですか?」
「シルフでいいわよ。私の愛称で」
なんで、そんなにいらついてるんだろう。
「そういえば、ちゃんとした私の紹介してなかったわね」
そういって、立ち上がると少しステップを踏んだと思うと、ふわりと体が宙に持ち上がった。
「は?」
目の前の光景が信じられなかった。
空中をゆっくりと歩くシルフさんは、風のように俺の目の前に降り立つと、
「私は、シルフィード・ハクリオウ。風の精霊です」
「・・・・」
なにを言ってるんだ、そんなわけないでしょ。
内心笑っていたが、ついさっき、空中を歩く姿を、見てしまったことを思い出した。
「信じてないの?」
「・・・・本当なんですか?」
その言葉に、少し驚いたようにしていたが、にこりと笑うと、
「本当よ」
とぼけっとしている俺の額を軽く小突いた。
「ええええええ!!」
この声は、心のそこから出た声である。
「っ、うるさいわねぇ。いきなり大声出さないで」
「大声だして、当たり前ですよ。ありえないじゃないですか」
「こっちの世界では当たり前よ。まあ、確かに珍しいけど」
「うっ」
いきなり、風の精霊とかありえないだろ・・・。
なんなんだこの世界は。
「この世界って、一体なんなんですか?」
シルフさんは、静かな微笑をして俺を見つめると、
「メディオン。・・・精霊と魔法が作りだす世界よ」
そう、彼女はつぶやくように言った。