プロローグ
ご感想を、ぜひお願いします。
◆――プロローグ――(雄二視点)
「ふぁ〜あ」
大あくびをしながらベッドから、這い出ている俺。
(全く、何でこんな早く起きなきゃならねぇんだよ)
俺は、心の中で文句を言いながら、制服に袖を通し始める。
今の時刻は、6:26分。学校に向かうには、早すぎる時間だ。
なぜ、俺がこんなに早いのかは、この話を読み続ければ分かることだ。
あのう・・・そろそろ自己紹介のほうを・・・。
「?」
頭の中で、変な声が聞こえた気がしたが・・・。まあ、いいや。その言葉に従おう。
俺の名前は、蒲柳 雄二、ただいま高校2年生で、この話の、主人公と
また面倒な役回りだ。俺は、窓を開けてベランダに出る。
「お〜い、芳紀〜」
俺がそう声をかけたが、返事は無い。
「しょうがねぇな・・・」
そうつぶやいて、俺は向かいのベランダに向かって思い切り跳んだ。その幅、3Mほど、俺は
屋根に、手をかけてそのまま、着地。審査員がいたら、間違いなく10点満点を出すだろう。
ゆっくり立ち上がって、窓に手をかける。
窓はいつも通り、鍵は開けられていて、すんなり開いた。
(一応、ここ女の部屋だよな・・・)
そういって、無防備な奴の部屋へ侵入する。なぜなら、あいつを起こすためだ。
ベッドの上を見たがそこに、芳紀の姿は無かった。
「もう、起きたのか?」
俺が探しているのは、幼馴染の湖陵 芳紀朝、起こすのは、俺の毎日の
日課になっている。
適当に目星をつけて、階段を降りる。
リビングに行くと芳紀の母、湖陵 香里が、ゆったりと何かを飲んでい
た。
「おはようございます。香里さん」
そう、声をかけると香里は、のったりと振り向いて柔らかい笑顔をつくると、
「おはよぉ〜、ユ〜ジく〜ん」
と間延びした声で、あいさつを返してきた。リビングを見渡すが、そこにも、芳紀の姿は無か
った。
「香里さん、芳紀知りません?上にいなかったんですけど」
「え〜、降りてきてないわよ〜」
そういって、首をかしげている香里さん。
なぜ、俺が香里さんと呼ぶのかは、後々話すとしよう。
「分かりました。もう一回、上、探してみます」
そういって、また階段を上がる。後ろから、
「頼んだわねぇ〜」
と声がして、俺はまた芳紀の部屋に入った。部屋の時計を見ると、もうすぐ7:00、
(やばいな)
そう思って、もう一度部屋を見渡す。
(やっぱ、いないよなぁ)
心でつぶやいて、もう一度ベッドの上を見直す、布団に触れるとまだ温かかった。
(まだ遠くへは行ってないか)
そう推測して、ベッドに腰をかけた。
「う、う〜ん」
「?」
今、芳紀の声がした。どこからだ?辺りを見回すが、芳紀の姿は見当たらない。
おかしい・・・。もう一度、座りなおす。
「う〜〜ん」
また聞こえた。俺はその声のした方に、目を向けた。
「まさか・・・」
俺は、ベッドと壁の隙間を覗き込んだ。
「はぁ〜〜」
大きなため息をついて、そこにいる人をベッドの上に引き上げる。
「あ〜ん」
まだ、眠っている。なんなんだ、この人の精神力は・・・。
たった今、発見されたこの人が、幼馴染の芳紀だ。
俺は、冷えた目でそいつの寝顔を見て、
「おい、朝だぞ。起きろ〜」
と軽く肩をゆすった。反応なし・・・。
「起きろ、遅刻するぞ〜」
今度はもう少し強く。
「う〜ん、あと5分〜」
この人の5分は、1時間に相当する。俺はそれにめげず、今度は顔の頬を引っ張った。
「お〜き〜ろ〜」
だんだんと強くしていく、しかしよく伸びるなぁ。
手を離すとゼリーのように震えながら元に戻った。今度は、無視を決めやがった。
(実力行使に出ても、いいですかねぇ♪)
俺の良心に確認をとる、いつものことだ。良心が大きな丸を手で作って笑顔を見せた。
俺は助走をつけて、芳紀の腹に狙いを定める。
「起きろっつてんだろ。コラー!!」
そのまま、とび蹴りをかます。
「うぐっ」
(決まりましたよ、見事に)
芳紀は、腹を痛そうにかかえている。これが、俺のいつもの日常だ。
どうでしょう、楽しんでいただけましたか?次の話もぜひ呼んでください。