オペレーション
その日の四人は、とにかく、弱いモンスターを倒しまくった。
レンの提案は、なるべく「魔法スキル」と「攻撃スキル」を積極的に使う、という戦闘方法だった。
ゲームでは、タップしたり、ボタンひとつで、魔法などのスキルは発動するが、この世界では、呪文書があり、呪文を詠唱しないと魔法は発動しない仕組みだ。
無論ゲームのように「ターン制」などではないので、タンク(盾役)がひきつけたり、ファイター(前衛の攻撃者)が戦ってる間に、呪文詠唱を行わないとならない。フォーメーションには、慣れと経験が必要だ。レンとキサラギは「攻撃スキル」や「防御スキル」、ハルとタクトは「攻撃魔法」や「防御魔法」の暗記と、素早い詠唱の特訓を行った。
スライム程度では、何ら練習にもならないので、ハウンドドックという、明らかに犬ではない、小柄で凶暴なモンスターで練習しているが、案外素早いターゲットで、苦戦していた。
「無理矢理、怖い!レンさんたのみます!」
「逃げるなキサラギ!盾が逃げてどうする、ぐぶぅ…」被ダメ
「聖なる御霊よりたまえみ…噛んだ(泣」
「ハルちゃん。俺さっき噛まれて死ぬかも、回復して」
タクトの顔に小袋が飛んできてべちっと音がした。
「遊んでないで、その薬草使え、魔法使い」
「いや、涙目になってるハルちゃんが可愛くて、思わず」
ハルは何度も詠唱を失敗し、それでも初めての治癒魔法が成功した。
レンは、この先が不安になった
むしろ、ぼっちの方が、よかったのではないかと。