表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カミドの街の錬金術師  作者: 現夢中
《夢追いし》営業中
8/45

《夢追いし》営業中(6)

「なんだよ……これ」


 僕は思わず呟いた。

丁寧語も、尊敬語も、全て抜けて素の言葉で。

 ただただ、この状況を理解しようと必死だった。


「……九朗。ともかく助けよう」


「あ、は、はい」


 さっきと同じように、リュックから白い宝石を取り出す。

水槽の傍に、赤く光る操作盤のようなものがあったので、そこに取り付ける。


「……すみません、僕の力量じゃまだ……」


 白い宝石に表示される意味不明の単語の羅列に、僕はなす術もなかった。

こんな時、ナヅキさんがいればすぐに解決できたはずだ。

 自分がまだ未熟だと思い知らされる。


「わかった、じゃあ下がっていろ」


 そういうとバルッタさんは、背中から片刃剣を取り出す。


「どうするつもりですか?!」


「叩き割る」


 そう言うとバルッタさんは、正面に刃を構える。

中の女の子まで斬ったらどうするんだと、僕が言う前にその刃は水槽を両断した。

 はたして女の子は……無事だった。


「九朗、その少女を受け止めろ!」


「は、はい!?」


 バルッタさんに言われるがまま、水槽のなかから重力にまかせて落下してくる

少女を抱き上げる。

 衣服も身につけていない、そんな女の子を僕はふわりと抱き上げた。

 軽かった、まるで体の中身がないんじゃないかと錯覚しそうなくらい。

力のない僕でも、抱きかかえることができた。


「いい反応だ、九朗……で、その少女は生きているのか?」


「え、えっと……」


 とりあえず、脈をはかる。

 とくん、とくん、とくん……。

……わずかに動いているのがわかる。


「い、生きてます!たぶん!」


「なら、俺の上着を着せておけ」


 ばさぁとバルッタさんは服をなげかける。


「ついでに、いつまで裸の少女を抱いているつもりだ?九朗。気持ちはわかるがな」


「え?あ、すっすみません!」


「あやまるなら、その少女が目をあけてからにしておけ」


 はっはっはっと笑うバルッタさんだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ