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チルチルサマー  作者: 戦刃 紫染 (慚愧)
第一章「デイズinサマー」
2/4

ストレイチルドレン1-1

終わりすぎた夏、ぼくはただ探し続けた。


○-------

●      /2

部屋の窓の金網にしがみついた蝉の鳴き声で、ボク、上条大河じょうじょうたいがは目を覚ました。

覚ました。といっても完全にというわけでなく意識はまだまどろみの中だ。

薄目で寝返りをうった先に見えた時計は、9時56分を指していた。

いつもだったらもうとっくに目を覚ましている時間だ。だが今日は、夜更かしした後なので、本日の睡魔はレベルが高い。

というのも、昨日の8月15日の夜「一戦しようぜ!!」と友人にオンライン対戦型戦略シュミレーションゲームの対戦を申し込まれた。

おい、今日は何の日か知ってるよな?と心の中で突っ込みつつその申し出に付き合ったのだが……

「あぅぅ……」

ボクとしたことが、ついつい熱くなってしまい深夜までやりこんでしまった。

その結果がこの様だ。規則正しい生活を送ってきた身としては、少々情けない。

しかし、この状況は非常にまずい。

このままだと、同居人に、迷惑をかけてしまう。だが困ったことにボクの体を動かす司令塔が機能していない。

『早く起きないと大変なことになるぞ!』と危険信号が脳に向かって発せられる。それに答えるように、脳が『この現状を打破する方法』を考え始めた。



その1『この家の誰かがボクを優しく起こしてくれる』


ボクは今、年下の双子の三人で一緒に暮らしている。両親は海外を飛び回る仕事をしているので、めったに家に帰ってくることはない。

本来なら年長である、ボクがしっかりしなければならないのだろうけれど、双子のほうは、実にしっかりとしていて、もうとっくに起きてリビングでボクが起きて朝ごはんを作ってくれるのを待っていることだろう。

だがそれまでは、ニュースや新聞に夢中でわざわざ起こしに来ることなんて、11時を回るまでは期待できそうにない。

よって破綻、というかそもそも他力本願過ぎる。


では、その2『パソコンのアラームが優しく鳴り始める』

ボクの部屋には、大きなパソコンがあるのだがそもそもアラームなんか設定した覚えなんかないし外に音が漏れるのを防ぐためにスピーカーはつけてない。音楽はヘッドフォンで聴くようにしていた。

例えどんな音楽がヘッドフォンから鳴り始めてもボクを覚醒させるには、力量不足だろう。

よってこれも破綻


では、その3『内なる秘められし力が解放され覚醒する』

……それができたら苦労はしていない。

というかもっとましな案はないのか。

いかん睡魔がさらに強くなってきた。



結局は、自力で何とかするしかないようだ……

ベッドの上で、もぞもぞと動き始める。体の気だるさを解消することによって睡魔を徐々に弱めていく。

ごろごろとベットを転がった先に見えた目覚まし時計

そこには9時59分と表示されていた。

あ、まずい、と思ったそのとき

すっかり、セットしていたことを忘れていた目覚まし時計が、鳴り出した。


「ひぃぃやぁぁぁあああああああああああっっっ!!!!!」


10時までに起きられなかったときに科せられた罰ゲーム、火災警報器のベルのような音が部屋中に鳴り響いた。

ボクは釣り上げられた魚のようにベッドの上で跳ね上がった。

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