傲慢貴族と元奴隷少女
アインが部屋から出ると、先に外に出ていたメーアがアインのことを見つけ、アインの方に駆け寄ってきた。
「アイン君、やっと出てきたぁ。試験どうだった?」
「別に大丈夫だと思うけど絶対って自信はないなぁー。そういうメーアの方はどうだった?」
ギクリと顔が引きつり、乾いた笑みを浮かべるメーア。
「あはは……試験でね召喚獣を出したんだけど暴走しちゃったんだよ。あの子ちょっと性格に難ありだから」
そして、二人のすこし離れた所で
一人の少女が三人の貴族らしき少年達に絡まれていた。
「おいおい、ここは王都マギクルスト学院だぞ。元奴隷民族が来ていい場所なんかじゃない。とっとと棄権したらどうだい?」
何も言わない、透き通るような白い肌を持つ少女。
何故、彼女が元奴隷と言われるかと言うと少女の民族は「ヴァイス・フェアレーター」と呼ばれているからだ。
奴隷民族とされた理由は古代、人々は東西の大神の味方をしていたが、ある民族だけ忌神に味方したと言われている。
その民族はその特徴から白い裏切り者と言う意味のヴァイス・フェアレーターと呼ばれるようになった。
彼女の民族の特徴は透き通るような白い肌に眩いほど輝く銀の髪。そして、地獄で燃え盛る炎のように赤い、緋色の目。
彼女は身体を震わせて、何も言わずにじっと耐えている。
それに気づいたアインは無言でその場まで行く。
「誰なんだ君は」
「俺か?俺はアインス・フリューゲルここの学院を受けるただの男だけど、でさ、あんた人をいじめて何が楽しいの?趣味悪いよ?」
アインがそう言うと貴族の少年はトマトよりも赤く顔色を変えた。
彼は激昂する。
「き、貴様!このブライト・ローレル・ジ・ハイド・シュナイゼルを侮辱したな!「長ぇよ。今お前の名前はどうでもいい。とりあえず、そこの女の子に土下座しろ嫌でも土下座しなくてもいいから謝れ」な、な、なんだと!」
ブライトの言葉に被せて喋るアイン。それをあわあわしながら見るメーア。
アインはなんとも思っていないらしい。貴族だろうが関係ないとか思っているみたいだ。
「や、やめて。私を助けないで。私の一族は何も悪いことしてないから奴隷なんて言われても我慢出来るから」
銀髪の少女がアインに止めるよいに言う。
「君は見てろ。おい、貴族の坊っちゃんお前は自分が一番偉いとでも思ってんのか?バカ言え、そんなわけないだろう。だいたいここではみんな一介の受験者だ。貴族とか関係ないし、お前が貴族だからと言って必ず合格するとは限らないんだからな。今はとりあえずこの子に謝れ……」
あまりにもはっきり言われたのでブライトは顔面蒼白になってしまう。
取り巻きの人間がアインを睨みつけるが所詮は取り巻き。
眼力などあるわけがなくアインが睨みつけると腰を抜かしてしまった。
そして、ブライトが剣に手をかけた。
剣を抜こうとした時、アインが驚くべき速さで剣の柄を握っている手を抑えた。
「っ⁉」
「ここで、こういう音沙汰を起こさない方がいいんじゃないの?貴族は表面が大事なんだろ?」
ニヤリと笑うアイン。
そして、その光景をじっと見ることしか出来ない銀髪の少女。
ブライトはその顔を歪める。
「ぎざぁまぁぁぁ!」
その時だった。
広間の中に魔法石を使ったアナウンスが響き渡る。
「えぇ、全ての試験が終了し採点も合否も出ましたのでこれより合否の発表を致します」
そう、アナウンスが流れると壁に合格者の数字が映し出された。
ブライトは興ざめたのかふんっ、と踵を返し、自分は合格しているかと目線は数字に移っていた。
「大丈夫か?」
アインは銀髪の少女に話しかける。
少女はアインを見て言う。
「あなたは何で私を助けたの?」
疑心の目をアインに向ける少女。
彼女を少しでも触れたら壊れそうな白百合のようで可愛いらしくもあり儚げでもあった。
「何でって、普通だろ?困っている人がいるなら助けるのがさ」
そう……なの。と下を向く少女。
「じゃあな、俺は合格発表見ないといけないから」
そう言ってアインは数字を見に行く。そして、メーアはてとてととアインについて行った。
はいはーい!キラッと輝かない如月くん登場
どうでしたか?楽しんでいただけたでしょうか?
名前は出ていませんが新キャラ登場ですねー
えっと元奴隷民族という設定なんですけど何で肌の色が褐色とかではないかと言いますとなんとなくですねー
貴族の坊ちゃんはモブですのであまり出てきません
さてさてあとがきもこのくらいにしましょうね。
次に会うとすれば八話のあとがきですねーまたお会い出来ることを心から願っておりますそれではまたお会い出来る時まで