表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1 魔王様との出会い

初投稿です。 ドキドキ

よろしくお願いします。

『絶対、呪いの呪文を頭にインプットしているのよ』


ケティは扉から顔半分だけだして、覗き見する。対する人物は、ただ黙って本を黙々と読んでいるように見えるだけなのだが。


『そうして、その呪術の練習台として私を…!』


そこから先は想像しただけで悶絶死出来そうだ。どうにもならない恐怖に地団駄を踏む。

ふとその物音に、顔を上げたその人物は、胡散臭そうに


「ケティ」


急に名前を呼ばれ、ドッキーンと心臓鷲掴みにされた感覚で驚き、瞬時に返事をする。


「へっへぇぇぇぇい!」


明きらかに声が裏返ったのを、たいして気に留める風でもなく、まるでいつもの事だと言わんばかりに平然と


「紅茶」


と、一言言い放つ。


「が…がってん承知いたしました!」


さぁ急がなくては!私は、シュバッと一発敬礼の挨拶をしたのち、覗き見を一時中断し、台所へ直行する。目指すは紅茶!ティーポット!紅茶で満足しているうちに!いつか『お前の血が飲みたい』などど言いださないうちに!私のご主人さま?である魔王様の為に私は台所まで全速力疾走。



あれは、今から半年前に遡る。私は、それまでいた養父母の元から逃げ出した。もとは孤児院育ちで今の養父母に引き取られてからというもの、来る日も来る日もこき使われ、毎日過重労働だった。そのくせ、16歳の年頃になった半年前から、なんだか養父の目つきが怪しく光る様になったのだ。

私がお風呂でお湯を浴びていると、偶然を装って入ってこようとしたり、やたらとスキンシップが過剰になってきた。まさに鳥肌もん。

身の危険を感じながらも、養父となるべく2人にならないように努めていたが、ある晩、養父は酒臭い息を吐きながら寝ている私のベットまで近づいてきたのだ。


-もう限界


我慢に我慢を重ねていた私は、力いっぱい養父を張り倒すと、兼ねてから細々と準備をしていたリュック一つとその身をまとうマント一つに靴も忘れずに、養父母の元を飛び出したのだ。もちろん、養父には、股間に一発乙女の怒りをお見舞いした。

そうして養父母の飼っていたロバにまたがり、いざゆかん。このロバは今までの労働の対価とエロ養父のせめてもの償いの品としてもらってやらぁ!と意気込み、ロバの腹を靴の踵で蹴り上げ、養父母の家を後にした。


夜の道を一人で走り、どこをどう走ったのかもわからないけど、私の心は、夜の道を一人突き進む恐怖もあったが、あの養父母の元から抜け出せた開放感もあり、これから先への不安などは正直二の次だった。星は綺麗に輝き、暗い夜道を照らしてくれていた。


これから先どうなろうが、まぁ、なるようになるさ!


あのままだったら、その先の人生は、養父にエロエロにされて泣く泣くの人生。まさに昼の労働に加えて夜の労働も加わり過重労働な人生。そんな人生送るより、ここらでいっそ飛び出して人生なるようになったほうがまだマシかもしれない。

半分やけっぱちの気持ちで、足を踏み入れたそこは-。



ホウホウホウホウ。


遠くでフクロウの鳴き声が聞こえる。やばい、完璧道に迷ったかもしれん。私は、いつの間にか、森を抜けるつもりが森にジャストイン。

つまり迷子。ここら辺の地形でいうと森を抜けて行くと近くに村があると聞いた事がある。



ワァオーン



狼の鳴く声に、私もロバもびくつく。あぁごめんね、ロバ。私に連れてこられたから、運命共同体だね。だけど、2人で頑張ろうね、

ロバが聞いたら、なんとも身勝手な理由で蹴られそうだが、今は隣にロバがいてくれるだけで少し安心する。

養父に食われるか狼に食われるかっていうまさに究極の選択かもなぁ。呑気に他人事のように考えていたが、

深い森の中、完璧に道に迷った私はもうギブアップ。とりあえず夜をしのげれば何とかなるかもしれないのに。


★☆★☆


灯りも何もない森で星灯りだけを見て進む。だんだん夜目も聞いてきた。その時、はるか前方に人のような気配を感じた私は、チャンスとばかりにロバを急かして突き進む。

だけど、この時点で気付けば良かったのだ…。

こんな深夜に人々が寝静まる時間に、行動する人はまともじゃないって事を…。


目的の人物に近寄って行くと、その人物は特に私に驚くでもなく、静かに私を見下ろしていた。

その人物は、月明かりに照らされて、細部まではわからないけど、整った顔立ちをしているのは、一目でわかった。加えて黒い服装に身を包み、マントも黒。同じく黒のたてがみがご立派な馬にまたがり、私を静かに冷たく見下ろしいて、一言口を開く。


「何者だ?」



いきなりそう問われても、ただの迷子ですってば!だけど、その夜にも光る白銀の色はもしかしてアレですか?剣ですか??



「こんな所で何をしている?」



鋭く問い詰める口調は、質問のようだが尋問だ。声と全身から発せられる威圧感に、私は震えあがる。

ここまで来てしまったら、いくら私でもおバカじゃない。ただならぬ人物に声をかけ、のこのこ自分から近寄るような行動をとった自分の思慮の浅さに後悔していた。


正体不明の相手に


「え…っと」


一応は、答えるそぶりを見せるが、心の中は、やばい、やばい、絶対ヤバいし、と超動揺していた。

そう思った瞬間、ロバにまたがり駈け出していた。


行け!ロバ!行け行け行けけ!


後ろを振り返った瞬間、黒服の男は、私を追ってきている。


ぎょーーーっへーー!マジでヤバいし、絶対絶命の大ピンチ。

そう思い、前を向いた瞬間、私の目に飛び込んできたのは、木の枝。しかも太いし極太だ。



ぶ つ か る


スローリーにそう思った瞬間、まさに予感的中。夜空の星だけではなく、私の頭にも星空が広がる。そして、ただ記憶にあると言えば、背中の重いお荷物が転げ落ち、軽くなったであろう体をこれ幸いと揺らしながら、一人、逃げ去っていくロバの後ろ姿だった。



ま…まてーー!ロバーーー!カムバーーーック!!



ロバに向かって差しだす手を、もちろんロバは拾い上げてはくれない。そこから先は記憶にない。




★☆★☆



むかし むかし


この地には『魔王』がいました。彼は夜を好み、まさに極悪非道の毎日。


『勇者』が現れて倒すまでは。


だからね、夜に出歩いては行けないよ。『魔王』にさらわれてしまうからね。


いいかい?ケティ。だから夜は早く寝るんだよ。


孤児院にいた時に、毎晩繰り返し繰り返し、話してくれたマザーエレンの優しい声を思いだす。。





「気がついたか」


マザーエレンの声とは似ても似てつかぬ声色に、瞬時に目が覚める。目の前にいた男は黒髪黒眼の全身真っ黒に怪しい空気を身にまとう何とも美形なあの人物だ。対する私の置かれている状況は、だたっぴろい、部屋に、これまた大きいベット。そしてふわふわのシーツと毛布にくるまる私。

部屋の暖炉はパチパチ音がして温かい。そして、私のおでこには、でかいたんこぶ。尋常じゃなく痛ぃ。そっと触ってみて、痛さとこぶのでかさに驚愕する。しかし、頭は痛いが生きていて良かった、ほっと胸をなで下ろそうとした瞬間、目の前の、この危険人物について思い出す。

その人物を見上げると、黒に身を包んだその格好も、長い黒髪に、黒い瞳。側にいるだけで、漂う威圧感、私の人生の中でこれまで見た事のない整った顔だちのこの人物は、私の中で即効瞬時に烙印された、



『魔王だ』



幼い頃に延々と聞かされた魔王が今、ここにいる。


あぁ、マザーエレン、言いつけを守らずに、夜に出歩いた為に、出会ってしまいました。


魔王様に。

自分が楽しんで書けたらいいなぁと思って書きました。


短編を予定です。


お付き合いありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ