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無臭の魅力

再び、会議が始まった。

メンバーは昨日のメンバーである。


トイレの件は、年長者ということで、私がすることになった。


「すみません。物理さん。面倒な役を引き受けていただいて」

チェスは申し訳なさそうにしている。


皆も頭を下げる。

私は目くばせで、わかったと伝える。

わかっているかどうかはわからないが。


「私の祖国は軍隊が強いのですが、今回はなぜ強いかを説明しましょうか?」

私は切り出した。


「それは興味がありますな。ぜひ」

軍師は答えた。


王女も前のめりだ。


「意外だと思われるかもしれませんが、衛生状態なのです」

私は言った。


「衛生状態?それはまたなぜ」

軍師は尋ねた。


「兵士たちが亡くなるのは、魔獣に襲われるだけですか?」

私は尋ねた。


「怪我の悪化。病気もありますね」

軍師は答えた。


「それが衛生状態が改善すれば、問題の多くは解決するのですよ」

私は言った。


「なるほど。見ていないので、よくわかりませんが、具体的にはどうしたらいいですか」

軍師は尋ねた。


「軍師殿、私の国ではトイレのニオイがしないと言ったら驚かれますか?」

私は言った。


「トイレのニオイがしない?そんな事ありえるのですか」

王女は前のめりになった。


「はい、私の国では莫大な資金をかけ、トイレを水で流すシステムを配備しました。おそらく国の50%以上は、トイレを水で流すシステムになっています。大都市では100%です」

私は言った。


「それはとんでもないお金がかかりそうだ」

王女は、現実を思い浮かべるように肩を落とした。


「そうですね。

しかし、私たちの策であれば、トイレのニオイをかなりマシにして、しかもそれで多少の富も得ることができます。そして衛生状況が改善すれば、兵も強くなります」

私は答えた。


「……富も、ですか」

王女は小さく聞き返した。


私は王女の目を見て、

うなづいた。


「どれくらいお金がかかりそうかな?」

王女は、上目遣いで私に尋ねた。


よっぽど魅力的な提案なのか。

昨日の王女とは打って変わった態度だった。


「この国の物価水準と、処理する量がわからないので、なんとも言えませんが、

用意するのは、木箱と竹、桶。あとは豚を何頭かくらいです」

私は答えた。


王女は、顎で軍師に指示をする。


「それですと、兵士一人分の一月の給料にも満たないくらいかもしれませんな。豚代が少しかかるくらいです。

これは毎月かかるものなのですか」

軍師は尋ねた。


「損耗するまでは使えます」

私は答えた。


王女は、うなづき顎で軍師に指示をする。


「では詳しいことをお聞かせください」

軍師は言った。


説明を化学に代わり、詳しいことを詰めていく。

軍師も王女も半信半疑だったが、コストがかからないということもあり、

まずは王城から初めて、上手くいけば、全国に展開しようという話になった。


マービンは、なぜかずっと居眠りをしており、何度か王女に頭を叩かれていた。


……


「一つよろしいですか?

皆様の国ではネズミは出ませんか」

軍師は尋ねた。


「ネズミはいますが、ここほどはいませんね」

ミリオタは言った。


「それは、なぜですか?

なにか特別な理由でも」

軍師は尋ねた。


「いやぁ。それはヌコタンのおかげだよ」

ハッカーは笑った。


一同うなづく。


「ヌコタンとは薬かなにかですか?」

軍師は尋ねた。


「猫です。私たちの国では、猫に愛を込めて、ヌコタンと呼ぶのです」

ハッカーは言った。


一同うなづく。


「猫に愛を込めてですか?我が国では、猫は不吉の前兆として、忌避されてますぞ」

マービンは目を見開いた。


「昔々の話です。猫を不吉として、扱った国がありました。その国は疫病で壊滅的なダメージを受け、最終的に猫を受け入れたことで、疫病から救われました。

私たちの国では、猫の置物が幸福を呼び込むと信じられています」

ハッカーは答えた。


「猫を集めてきなさい。王城で実験しましょう」

王女は言った。


「しかし猫は不吉の前兆ですぞ」

マービンは王女に言った。


「いいから。猫を集めてきなさい。私、実は猫が好きなのよ」

王女は叫んだ。


一同うなづく。

それは同士を見るような目だった。


……


王城は慌ただしくなった。

化学の指示の下、木箱が設置されていく。

糞尿は、外の木箱に運ばれるため、大幅に悪臭は改善した。

風下だったのも、効果が高かった。

トイレには香りの強いハーブを置いて、さらにニオイを緩和した。


私は、

「トイレに仕切りをつけると、さらに衛生的だ」

と、本当のようだが、根拠が少し曖昧なことを言い、仕切りをつけさせた。

トイレの環境は、かなりマシになった。


BSFはすぐには集まらなかったが、

3日後には虫嫌いの人に見せるには、モザイク処理が必要なくらいまでうごめいていた。


意外だったのが、化学がBSFを気持ち悪がっていたことだ。

リアルで見るのは初めてだったようだ。


今まで、嫌われものだった猫は、急に人々の態度が変わったことに、戸惑いつつも、餌をくれる人々に懐いていった。


……

再び軍議が始まった。


議題は先日の軍議の詰めだ。


今回は、王直轄の騎士団長と、近隣の猟師の代表者が一人参加した。

軍師から、騎士団長と、猟師に概要は説明しているようだった。


「では今回は前回の詰めを行うことにしましょう。

まず前回は

・襲ってきた場合の行動

を決めました。

これは各騎士団長に報告をし、こちらからは攻撃しないことで同意を取っています」

軍師は言った。


「私は戦史を好んで読みますが、騎士団には手柄目的で攻撃をしかける者もいます。

その対策は取っておられますか?」

ミリオタは尋ねた。


軍師は騎士団長を見る。


「あなたの言っていることはわかる。たしかに、騎士団の中にはそのような者もいる。

しかしだよ。今は我が国の騎士団は虫の息だ。

手柄目的で動く奴などおるまい」

騎士団長は、自信ありげに笑った。


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