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二十五話 神獣


『そろそろフェリーチェに神獣を作ってあげようと思うんだけど』



 突然ヴィーネに呼び出され、何かと思えば唐突に。神獣って神の使いってイメージがあるんだけどな。で、ヴィーネ曰く俺自身が神の使いみたいなものだから……神の使いが神の使いを従えてるってことだな。


『どういうこと?』

『神獣は、守護者を補佐する存在……かな? 神界って普通の人間も、守護者でさえも私が連れて来ないと来れないんだけど、神獣が居たらそれが出来るのよ。教会で魔力を放出しながら祈るだけでね』


『ほう……ヴィーネにも神獣って居るのか?』

『もっちろんよ! めちゃくちゃ格好良いんだからね!』



 その言葉に相槌を打つ前に、俺は真っ白な世界に飛ばされていた。ヴィーネが飛ばしたらしいから、ここが神界のようだ。

 無限牢獄は真っ黒だから新鮮ではある。ずっと居たいとは思えないけど。白って光を反射するから部屋を明るく見せたい時の壁紙には向いてるけど、ここは眩し過ぎる。

 それに、白に囲まれるってめっちゃ頭おかしくなりそう。



『フェリーチェ、この子が私の神獣よ』


 目の前にヴィーネの声で、ヴィーネの口調で現れたのは傾国級の美女。

 腰まである長い金髪は緩く巻かれていて、白のレースローブと天使の様な羽が印象的だ。ここが神界という場所だからか、初めて見た時よりも神々しく見える。脇に控えているのは銀色の九尾。毛先にいくにつれて赤色に染まっている。彼だか彼女だかが、ヴィーネの神獣。



『この子はデウスっていうのよ』

『デウス? 自分の神獣に神って名前付けたのか?』


『友達にも言われたわ、それ。私知らなかったのよね。デウスが神だって』



 まあ、地球人でもないヴィーネが知ってる訳無いか。友達が知ってたって事は、ヴィーネの交友関係の一つに地球の神が居るんだな。俺以外に守護者が居るとも思えないし。



『それじゃ、どんな神獣が欲しいか言ってごらんなさい?』

『うーーん。そうだな……じゃあ白蛇にしよう』


 憧れあったんだよなぁ。爬虫類勢の白蛇飼育とか。コーンスネークだとか、ボールパイソンだとか。色々な品種はあったけど、白蛇ってマジで綺麗なんよ。



『蛇? 意外ね。トカゲにするかと思ったのに。ほら、竜の子連れてるじゃない?』


『それ、ヒリュウの前で言ったら命無いぞ? 竜族はトカゲだけど竜人族は違うっていうのがヒリュウの主張なんだから』

『私からしたらどっちもそんな違い無いと思うんだけどねぇ……。まあ良いわ。白蛇ね。今作るわ』



 ヴィーネがそう言って数秒。真っ白だった空間が歪み、気が付いたら作った神社の前にいた。巫女さんが突然現れた俺に腰を抜かしかけている。何か、申し訳無い。


『あ、神力使い過ぎちゃったみたい。でも多分そっちに行ったわ、神獣』


 ヴィーネの言う通り、大蛇と言っても良いサイズの白蛇が目の前に顕現した。神々しい光を纏っているように見えるから、この子が俺の神獣。



「あたし、ママに産んでもらったの。神獣なの。お名前、付けて欲しいなの」


 少々変わった語尾と共にその大蛇は少女の声でそう言った。巫女さんには聞こえていない声なのだろう。彼女は何が何だか分からないと言った風にそそくさと去って行った。考えるのを止めたか、俺に気を遣ったか。



「ブラン。今日から君の名前はブラン。俺の事はフェリーチェって呼んで」

 ブランは、ヴィーネに白蛇を希望した時点で考えていた名前。そのまま、白という意味。


「分かったの。フェリーチェって呼ぶの」

 フワフワした口調で大蛇が近付いてくる。これ、もしアナコンダとかにしてたら恐怖感ヤバかっただろうな……。



 地面に降り立ったブランは、小学校中学年くらいの身長の少女に変化、俺の額に唇を付けた。


「契約完了、なの」

 嬉しそうに笑うブラン。契約に口付けが必要だというのはもっと早めに言って欲しかったのだが、口にされなかっただけまだ良いと言えよう。

 理久に見られてたら間違いなく俺はあの世行きだった。冗談抜きでガチで。それがもし俺の意志に反した事故ちゅーだろうと関係ない。危険思想の持ち主、それが理久。



『いや、キスは要らないわよ。契約には』

『は? 要らない? 何の冗談だよ』


『冗談じゃ無いわよ。私とデウスもキス契約なんてしてないんだから。完全にその子の独断よ』



 心外だ、とブツブツ言うヴィーネ。必要無いのに何で口付けなんてしたんだ? ブランは。

 一目惚れ? 有り得ないな。大学生だった前世ならともかく、今の俺は十歳。何だ? 大きくなったらパパと結婚する、的なやつか? それなら納得だけど。初めて見た人間を親と認識する動物って一定数居るから。蛇がそうとは限らないけども。



「ブラン」

「……?」


「口付けは、契約に必要無いみたいだ」

「知ってるの。でも、格好良かったからしたの」

「俺はフリーじゃないからな?」

「奪わないから、関係無いの」



 この子、ちょっと怖いかも。考え方が前世のストーカーおじさんに似てる。

 今世ではストーカー被害には遭ってないけど、前世は童顔のせいでキモいショタコンに誘拐されかけたり、俺と理久が北海道に住み始めてからも家凸されたりと散々だった。

 誘拐が未遂で済んだのは、理久直々に手を下したからだったし。あ、言っておくと、殺してはいない。



 そういうキモい奴等が決まって言うのだ。

『恋人が居るのは知っている。でも、同性なら遊びと思うじゃん? 別に奪おうとしたわけじゃ無い』


 大体警察でそう主張する。遊び人と思った、みたいな。

 ブランはソイツ等を限界までまろやかにしたような感じを覚える。まだ産まれたてで、世間知らずだから多少の事は許容はしてあげるけど。


 驚かせてしまった巫女さんに謝罪した上で、俺達は階段を下る。日本の神社に狛犬が居る所って多いけど、うちには居ない。神獣のデウスを模した石像を作ってもらいたい。



 勿論、許可は取らないとと思って確認はした。

『禁止してないし、構わないわ』


 とのことだったのだ。九尾の石像、制作決定。素材は花崗岩になるかな。丈夫らしいし。ただ、うちには無いと思うから、別の国行って調達して来ないと。金は結構持っている。

 エトワール伯爵家の資産、サンが根こそぎ持ち出してたのが。俺に黙って強奪、サプライズでプレゼントされた。それを使えば石は買える。ただ、まだ良いかな。一応聞いてみるか。一応ね。



「花崗岩は無いね。大理石ならあるらしいけど」

「何で大理石?」

「新しく魔族の国に加わった種族に、人魚族っていうのが居るんだけど、彼等は無から大理石を生み出せるらしいんだよ。まあ、大理石以外は無理っぽいけどね」



 魚人族は居ないのに人魚族はいるんだ。魚人は下半身が人間、人魚は上半身が人間。上半身と下半身、どっちが魚になってるかの違いしか無いと思うんだけど……。


 大理石か……。確かミロのヴィーナスとかが大理石だったような。それじゃあ、外には置きたくないな。




 …………グッズにするか? 


『ヴィーネ、神獣ってストラップとか置き物とかにしても良いのか?』

『別に良いわ。ただ、私の像だったら力が使えるけど、デウスの形じゃ何も出来ないわよ?』

『存在だけで十分だ。うちに金を作ったら神社の側に土産屋作ってそこで販売しても良いなって思ってる』



 ついででブランのも作ってもらおう。産まれたてではあるけど、神獣に変わりは無い。うちはともかく、近隣諸国は神獣もヴィーネも信仰してるから。

 うちはなぁ……半分近くが俺信仰だから……。何も心当たりが無いんだけど、一体何があったんだか。


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