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十六話 魔鉱山の存在


 新たに仲間が出来てから島はどんどん発展してきた。民家は全員に行き渡り、魔法による簡易的な治療院も誕生した。そして遂に、俺の終生の住処となる屋敷も完成。



 見事な寝殿造り。外装だけだけど。

 中は完全内履き制のフローリング。部屋は引き戸で仕切られていて、本当に大事な部屋だけは鍵が掛けられる現代式の扉だ。



 ここに住むのは俺と家族、マリーの家とオリヴァーの家。

 それと、ルナとサン。この二人に関してはオリヴァーと俺の助手なので当然だろう。ほぼ家族みたいなものだし。


 完成を確認したら、各々家具や仕事道具を持って部屋を作りに行った。当初は畳張りにしようかとも考えていたが、こっちの生活スタイルに合わせるという事になり、畳は部屋の一角になった。


 フローリングのフロアから一段上がった所に畳のスペースを設けるタイプで。内装だけ見たら和モダンな現代インテリアといった感じだろうか。



 俺は家具職人から受け取ったベッドは合わなかったので畳のスペースに雑魚寝スタイルになると思う。ベッドから何度落っこちた事か。

 前世はずっと雑魚寝だったから慣れない。今世でもベッドは使ってきていなかったし。小さい時は箱のような物の中、一人で歩けるようになってからは窓枠。それも寝っ転がると落ちるので、ルナと一緒に寝た時以外はずっと座って寝ていた。寝相が悪い訳では無いのだが……ベッドとの親和性が高く無かっただけ。



「フェリーチェ様、良いのですか? お城でなくて」


 ヨーロッパ風の貴族として産まれたサンがそう疑問を抱く。確かにその意見もご尤もだとは思う。建国者は俺だから必然的に国王は自分となる。

 エクレシアでは国王=お城に住む存在とされているからこの問いも当然だ。だが、俺の中で城は住むものではない。軍事基地だ。存在がまだ知れ渡っていない以上、別に作るのは今じゃなくても構わないのだ。



「サンの意見もご尤もだけど、俺の作りたい城は住むための物、というよりも防衛の為の軍事基地としておきたいんだ。食料や武器の貯蔵施設としても使えるし。サンも軍事基地には住みたくないだろ?」

「そういうことだったのですね。軍事基地としてだけでなく、貯蔵施設としても使えるとなると有用性の高い施設になるのでしょうね」


「そういうことだ。後、城はサンの知ってる様なとんがり屋根は無いぞ。こんな感じの雰囲気なんだ」



 予め作っておいたイメージイラストを見せると、興味深そうに見入っている。モデルは特に無い。モデルを作って、もし破損するなんてことが有ったら嫌だから。不謹慎。

 後は、細部をよく覚えていないというのもある。自分好みに魔改造された城(日本風)の完成だ。


「この溝は何の為の物ですか?」

「ああ、それは堀。城が剥き出しであると簡単に攻め落とされるだろうから時間稼ぎのために掘る物。この中水で埋めるからそこから水引いて農業用水にしてくれて構わないしさ。便利だろ?」


「そうですね。水の心配が無くなるなら、街の皆も安心するでしょう」



 飲料水にするのだけは断固阻止せねば。お堀の水飲んでお腹下されるのは困る。あ、でも水属性があるならあんまり心配しなくても良いか。

 いや、でも級が下だと大した量出せないんだっけ。風呂満杯に出来る人も居ればコップ一杯の水を出しただけでダウンしちゃう人も居る、みたいな。



 それならウォーターサーバーみたいな物があった方が良いな。ちょっと遅いけ感は否めないけど無いより楽だろうし。蛇口っていう便利道具がまだ作れないから。


「サン、作りたい物が有るんだけどさ」

「はい、何でしょう」

「こんな感じのやつ」

「給水機、ですか……。似た様な物でしたら存在します」



 結論から言うと、ウォーターサーバーもとい給水機はこの世界にも有る。だが、水を安定的に補給するのには魔鉱石という、魔力を宿した鉱石が必要。

 しかしその魔鉱石は通常の鉱山からは産出されず、魔鉱山という場所でのみ採取が可能。世界的に見ても片手で収まるくらいしか魔鉱山は無く、給水機は王族やそれなりに資産のある家しか購入が出来ないのだとか。

 しかも魔鉱石は給水機で使った場合、十年程で寿命を迎える。高い上にすぐ駄目になってしまうから流通はしていないとのこと。十年って、火災警報器と同じくらいしか寿命が無いって事だよな。下手したらそれより短命だぞ。



「まずは魔鉱石を手に入れる所から始めないとって事だな」

「そうなります。普通の鉱石に一定レベルの魔素を浴びせれば魔鉱石に変質する……という説も有りますが出回っていないとなると、それもデマである可能性が高いですね……」


 一定レベルの魔素、か。それは守護者の魔力でも駄目なんだろうか。



『ヴィーネ、俺が鉱石に魔力を浴びせ続けたら魔鉱石になったりしない?』

『うーーん……。鉱石を変質させるのは難しいから可能性は低いわね。でも、この辺は魔物が大量に居るから魔鉱山が有る可能性は高いわ。で、魔鉱石は魔物が存在する限りは尽きない様になってるから一回見つけちゃえば勝ちね。因みに、魔鉱石には魔力を込められるわ』

『分かった。ちょっと探してみる』



 魔物って確か泉みたいな所から湧くんだったよな。狩っても狩っても湧き続けるから、食料調達班の狩人達が喜んでいたような。

 これは、出来るか分からない鉱石変質に時間を割くよりも魔鉱山を探した方が早いかもしれない。



 話によると、魔物が湧く森はこの大陸にしか無く、ここは独立した一つの島らしい。魔物が居る島ってことで、他の大陸よりも質の良い魔鉱石が採れるかもしれない。


「サン、魔鉱山がこの島に有るかもしれない。少し探してみる」

「お手伝いいたします」


 今までは水属性の中でも結構魔力量が多い人が給水役として居たらしい。もう少し早く溜池的な物を作っておくべきだったな。それにしても、魔力の強さってどうやって測ってるんだ? 俺は聞けば目の前の人間が何級か教えてもらえるけど。



「なあサン」

「はい」

「サンって魔力の階級って知ってるか? 五級から有るんだけど」

「……いえ、存じ上げません。何かの指標でしょうか?」

 貴族でも知らないか。


『ヴィーネって階級を調べる為の道具とかって作れるのか?』

『ええ。人間でも作れるわよ。魔法具を使えば簡単に分かるようになるわ』

『その魔法具にも魔鉱石がいるとか……?』


『必要ね。でも作れたら便利よ。魔力をメインで使う仕事だと計測から始めるのが普通だけど、応募できる級に制限を設けたらその手間も減るわけだから』

『じゃあその開発もしないとな。あ、こういうのも教会的な物建てた方が良いのか?』

『私は関与出来ないから必要無いけど、心情的に、有ったら安心よね』



 じゃああれ一つだけじゃ無くて、もっと大量に神社は作った方が良いな。直接ヴィーネが加護を与えたのは初めて作った神社の御神体だけだが、分身のような感じで他の教会にもある程度の力を及ぼす事が出来るそうなので。

 じゃなきゃ俺の所にずっと居たりしない。神様は引っ張りだこなんだから。



『分かった。それについてはまた仕組みから考える』

『そうね。曲作りはその後で良いわ』


 譜面に起こす時間が中々取れない。当然だが、俺も建国した事は無いからまだまだ分からないことだらけで。領地の立て直し系は結構読んだんだけどなぁ……。あれは元々の地盤があってのだし。建国って、やろうと思って出来る物でも無かった。



 日本は誠実な政治家が絶滅危惧種で、高齢化も少子化も進んだ国だったが一定レベルの生活は送れるようになっていたから。反旗を翻そうなんて考えもしなかった。今後を見据えてやっとけば良かったか? いや、転生先の環境までは予想出来ないか。




「えっと、フェリーチェ様……?」

「え、あ、何?」

「魔力の階級についてなのですが、何かの指標ですか?」


「ああ、そんな感じだ。階級を付けることで魔力の強さを測る手間が減るんじゃないかって、ヴィーネ神が。階級は五級、四級、三級、二級、準一級、一級、守護者の特級の七つ。サンは一級らしい。級の数字が小さいと、出来ない事が無くなっていく」

「出来ない事が、無い……。火属性ですと、どうなるのでしょう……」



 どうなんだろ。火災が起きた時に炎を取り込んでゴリ押し消化、とかも普通に出来そう。俺がやったような人間瞬間蒸発魔法みたいなのは微妙かもしれないけど、青い炎くらいなら。


「まずは出来る事から探してみます。フェリーチェ様の盾となれるくらいには使いこなしてみせます」

「別に俺の身代わりにならなくても……。俺はサンに死んで欲しい訳じゃないし」

「では、相殺出来るくらいには」



 命に関わる事で、目標の修正は構わない。というか、守護者が負けるレベルの敵が来たらこの島ごと消滅してそうだけどなあ。


 あ、オリヴァーにも魔鉱山の事伝えておいた方が良いな。俺よりも高頻度で街の全体像を把握しに出てるから





「魔鉱山? 魔法具っていうのはまだよく分からないけど、あったら便利そうだね。意識して情報を集めてみるよ」

「ありがとう、オリヴァー。助かる」


「平気。フェリーチェの方が大変そう」

「まあ……。でも分かってて始めたことだから、このくらいは大丈夫だ。結構楽しいしな」



 徹夜が続く様になるとちょっとヤバいかもだが、今の所は。


「楽しんでるなら良いよ。一人で抱えるのしんどくなる前に、僕に声は掛けてよ? フェリーチェが倒れたら何も出来なくなっちゃうからさ」

「そうする。俺のこと信じてくれた人に迷惑は掛けたくないし」

「いや、迷惑とは思わないけど……。心配はすると思うよ、皆」



 心配……してもらえるように信頼とか勝ち取れる行動はどこかで取っておこう。

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