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蜀主二代ー三国志・劉焉と劉璋ー  作者: 涼風隼人


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第41回 劉璋、家臣の激論を聞く

 この荊州の動きに注目したのが、劉璋の配下である張松と法正である。

 劉備は、劉表の荊州を同族のよしみで手を出さなかったことを美談とし、張魯との対決のため、劉備を益州に招き入れたらどうか、という提案を行ったのである。

 

 劉表と劉備が同族であれば、劉璋も当然同族である。

 三人とも、宗族を名乗っていたからである。

 

 劉璋は、劉表の押さえていた荊州を取らずして、僻地である益州に興味は示さないのでは、と考え、劉備の益州入りを進めていいのではと考えた。

 

 この時の賛成派は、劉璋を筆頭に、張松、法正、孟達である。

 一方、有力な反対派は、王累、黄権、劉巴、張任、厳顔、などである。

 

 賛成派と反対派で激しい議論が行われた。張松が言う。

 「劉備殿は義に厚いお方であります。実際、混乱に乗じて荊州全体を取る事が出来たにもかかわらず、それをしなかった。それだけでも、信がおけると私は思います。」

 

 劉巴が言う。

 「しかし、その後、荊州南部の四郡を押さえたのは如何なものか。話によれば、呉軍が曹操軍の追撃を行う最中、同盟しているにも関わらず、そちらには協力をせずに、その隙をついての行動は盗人同様ではないか。」

 

 法正が言う。

 「盗人とは、如何に劉巴様といえども、言い過ぎではないでしょうか。話によれば、荊州四郡に関しては、孫権が劉将軍に貸している、ということです。隙をついて盗み取ったわけではありますまい。」

 

 王累が言う。

 「では、劉備はこの後、荊州四郡を返還してどこに行くというのだ。もし、この益州に劉備軍を招き入れたのならば、この益州を狙うのは自明の理ではないか。」

 

 張松が言う。

 「劉備殿が狙うは我が益州ではなく、曹操の有する荊州北部と聞いている。荊州北部を有すれば、荊州四郡の返還が行われるでしょう」

 

 黄権が言う。

 「劉備が独力で、曹操に対することが出来るはずはございません。同盟を結んでいるとはいえ、荊州北部は呉の孫権も喉から手が出るほど欲している場所。劉備に力を貸すわけございません。」

 

 孟達が言う。

 「そうなれば、孫権が荊州北部を領して、その代わりに劉備殿に荊州四郡を与えるということになるのではないか。いずれにしても、劉将軍がこの益州を狙っている、という話にはなりますまい。」

 

 張任と厳顔が言う。

 「我が君。どうか、我々に漢中進撃の下知をお与えください。劉備の力を借りずとも、益州軍一丸となり、張魯軍を壊滅させます。」


 劉璋が言う。

 「皆の意見は良く分かった。各々が、この益州の事を心から大事に思ってくれていることも理解した。今日はひとまず散会とする。最終的には私が決める。しばらく、時間をくれ。」


 こうして、劉備を益州に迎え入れるか否かは、劉璋の決断次第、ということになったのである。

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