第36回 劉璋、龐羲に欺かれる
龐羲が東州兵統率のための将軍職に就いた。
その時から、東州兵の横暴は、驚くほどになくなったのである。劉璋は大いに喜び、褒美を与えた。
劉璋の信任を得たと自信をもった龐羲は、東州兵の他に自分の意のままになる私兵を集め出した。名目上は、張魯との戦いに備えて、ということであったが、劉璋は私兵の増強はまかりならん、と珍しく強い姿勢でたしなめ、龐羲は謝罪をして何とか許しを得た。
この龐羲に対する姿勢には、趙韙の報告と助言がその裏にあった事が後にわかり、龐羲は趙韙を恨む原因となった。
以後、龐羲は意図的に、趙韙と昵懇の仲である豪族を中心に、東州兵を使っていざこざを起こすように仕掛けていた。
また東州兵の暴走が始まったことで、豪族たちは趙韙になんとかするよう願いでた。劉璋も、さすがに今回の件であれば、龐羲が趙韙に対する嫌がらせをしているのは明白で、龐羲をはじめ東州兵に何らかの処置をするであろうと期待をしていたが、劉璋は多少のいざこざで私を煩わすな、といって取り合わなかった。
実は、龐羲が先んじて、豪族たちが東州兵に報復を兼ねて嫌がらせをしてきている、という報告を劉璋にしていたのである。
趙韙としては、劉璋の父である劉焉の益州入りの時から仕えてきた自負があり、劉璋が自分より龐羲を信じたということが口惜しくてたまらなかった。
その最中、龐羲は追い打ちをかけるように、豪族の一部が反乱を起こす気配あり、などと言った根も葉もない噂を劉璋の耳に入るように仕向け、趙韙は呼び出されて譴責を受けた。
趙韙としては、我慢の限界であり、それは趙韙に心を寄せる豪族たちも同じであったのである。
そしてとうとう、趙韙は立ち上がることになるのである。




