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蜀主二代ー三国志・劉焉と劉璋ー  作者: 涼風隼人


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第27回 劉焉、東州兵を編成する

 劉焉は、雒県から綿竹の州都の移転を、賈龍をはじめとする豪族に、税の徴収に関する件を董扶に、そして自前の軍を編成することを趙韙に任せた。

 

 趙韙が編成した軍は、後に「東州兵」と呼ばれ、以後、劉焉を支えていくことになる。

 東州兵は、先にも書いたが中原や東方からの流民で構成されている。趙韙はやはり、武官としての才があったのだろう。

 流民の中から使えそうなものを選りすぐり、調練を重ねて、着々と自前の軍を整えていった。

 

 この動きに警戒感を示したのが、賈龍をはじめとする豪族たちであった。劉焉が着任早々、自前の軍を作り出すことは想定していなかったからである。

 

 賈龍は豪族代表として、直接、劉焉に東州兵の事を尋ねに来た。劉焉は賈龍を立ち上がって迎え、歓迎の意を表し、賈龍は拝礼にて答えた。劉焉は賈龍に言う。

 「賈龍よ、州都の移転、雒県の復興と重要な仕事を任せているが、その進捗はどうだ。」

 「はい。雒県の復興は少々時間を頂きますが、綿竹の州都機能の移転は間もなく完了し、もう少しで劉焉様にお入り頂く環境が整います。」

 「そうか、さすがは豪族を仕切る賈龍である。心より感謝する。」

賈龍は恐縮し、拝礼した。しかし、今回は州都移転の進捗を報告しに来たのではない。賈龍は言う。


 「劉焉様。今、趙韙殿を中心に新しい軍の編成を進めておられるようですが・・・。」

 「よく知っておるな、左様。中原や東方から流れてきた者たちに食い扶持を与えるため、私の方で雇い入れることにしたのだ。」

 「なるほど・・・。しかし、劉焉様が自前の軍を持ちましたら、我々豪族は無用な存在になりませぬか。」

 「なぜ、その様な話になるのだ。」

 「率直に申し上げて、何か有事があれば、我ら豪族が表に立てばよい、と思っていましたので。その実力をわかって頂くために、馬相も先んじて討った次第です。」

 「なるほど。例え、私が自前の軍を持ったとしても、実際に使えるようになるには、かなりの時間を要するであろう。最終的な頼みは賈龍、そなたを中心にした豪族たちだ。」

 「そうですか・・・。わかりました。本日はこれにて失礼いたします。」

 賈龍は拝礼して、その場を去った。


 賈龍の帰りを、豪族たちは賈龍邸で待っていた。賈龍は、劉焉との一連のやり取りをありのままに伝えた。

 一人の豪族が言う。

 「賈龍よ、劉焉が言うことには筋は通っているが、本当にそのまま信じていいのだろうか。奴らが集めている兵士たちは、東州兵、と呼ばれているらしいが、それなりの規模になりそうだぞ。」

 別の豪族が言う。

 「確かに。俺は調練を一度見たことあるが、あの趙韙という武官は中々の才の持ち主と見た。ひょっとしたら、俺たちは用済みになるかもしれんぞ。」

 賈龍が言う。

 「仮に、劉焉の東州兵がその規模も実力も我々を上回ったとしても、その兵をこちらに向けてくることは無いであろうし、万が一、外部から侵攻してくる反乱軍や異民族があれば、我々の実力は馬相を討つことで証明済み。頼らぬはずがあるまい。」


 他の豪族が言う。

 「賈龍、あんたの言う通り、軍に関してはわかった。しかし、こちらは、なかなか容認出来ない話を、俺は聞いた。」

 「何を聞いたのだ。」

 「董扶とその手下が、俺たちの土地に入り込み、税に関して民や商人に聞きまわっているらしいぜ。」

 「何だと、税のことを。」


 豪族たちはざわついた。

 今までも、国に対して税を全く収めてこなかったわけではないが、自分たちがどれだけ徴税しているかの詳細はうやむやにし、ほんの少し納税するだけで済ませていたのだ。

 賈龍が答える。

 「税の話は、そう易々と認めるわけにはいかんからな。我らの自由と生活が懸かっておる。」

 

 こうして、劉焉と豪族たちの関係に、少しずつではあるが隙間が生じ始め、それがいずれ、取り返しのつかないものへと発展していくのである。

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